4月パソコン国内出荷8.1%減, 小型ノートは堅調 出荷金額は増加続く

電子情報技術産業協会(JEITA)は5月23日、2023年4月のパソコン(PC)国内出荷台数が前年同月比8.1%減の44万8,000台だったと発表した。デスクトップPCが20%減の8万台、ノートPCが5%減の36万9,000台だった。ノートPCのうち、小型モバイルノートは20.6%増の15万9,000台。大学などの対面授業が再開したことに伴い、持ち運びしやすい製品を選ぶ消費者が増えた。出荷金額は前年同月比3.9%増の553億円だった。部材コストの上昇や円安を受けた値上げにより、2022年6月から11カ月連続で前年同月を上回っている。

東工大など4者が「富岳」で生成AIの言語モデルの研究開発開始

東京工業大学、東北大学、理化学研究所、富士通の4者は5月22日、スーパーコンピュータ「富岳」を活用した大規模言語モデルの分散並列学習手法の研究開発を、2023年5月から実施すると発表した。大規模言語モデルはChatGPTをはじめとする生成AIの中核として使用される深層学習のAIモデルで、4者は今後、今回の研究開発の成果物を公開することで、アカデミアや企業が幅広く使える大規模言語モデルの構築環境を整え、国内のAIの研究力向上に貢献し、学術および産業の両面で「富岳」の活用価値を高めることを目指す。

NTT西日本 地方自治体のDX加速へ日本マイクロソフトと協業

西日本電信電話(本社:大阪市都島区、以下、NTT西日本)は5月22日、国が掲げる「デジタル化社会の実現に向けた構造改革」および「デジタル田園都市国家構想の実現」に向け、地方自治体およびそれを支える地域ベンダーのデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)を加速させるため、日本マイクロソフト(本社:東京都港区)と協業を開始すると発表した。両社は、ICTに精通した専門職員が不足している地方自治体のDX推進について、アプリケーション群の提供を通して、地方自治体を支えている地域ベンダー各社とも連携しながら、進めていくことで合意した。

福井・永平寺町で国内初の自動運転レベル4運行サービス ソリトン

ソリトンシステムズ(本社:東京都新宿区)は5月22日、産業技術総合研究所、ヤマハ発動機、三菱電機と共同で開発を進めてきた自動運転システムにより、21日から福井県永平寺町で遠隔監視のもと、自動運転レベル4の運行サービスを国内で初めて開始したと発表した。このシステムは経済産業省から、上記の4法人が2021年度から開発を受託しているもの。自動運行の区間は永平寺町内「永平寺参ろーど」の南側約2kmの区間。運行は「まちづくり株式会社ZENコネクト」が担当。
今回開発の遠隔監視システムは、一人の遠隔オペレーターが、必要に応じ標準最大4台の自動運転車両を監視できる。さらに複数車両の運行管理制御を行う管制システムとのシステム連動を行うことで、効率的かつ的確な監視と、異常発生時における安全確保その他必要となる措置の迅速化を図っている。

マルハニチロ 中国で冷凍介護食事業 高齢者が食べやすい食事提供

マルハニチロ(本社:東京都江東区)は5月22日、中国現地のグループ会社および現地パートナーとの協業により、中国で冷凍介護食事業を始めると発表した。現地工場で生産し、病院や介護サービス事業者向けに販売する。同社は日本国内で2005年から噛む力や飲み込む力が弱くなった人でも食べやすい冷凍の介護職事業を手掛けている。日本の全人口を上回る規模の高齢者人口を擁する中国だけに、市場拡大に伴う安定した事業が見込めると判断した。
中国都市部を中心に①病院医療向け②シルバーサービス関連施設向け③在宅介護の利用者向けーの3つの販売チャネルを開拓していく。2023年3月から総合病院医療向けは着手、シルバーサービス関連施設向けを6月から開始する。在宅向けも順次試験販売に着手する。
中国では咀嚼力や嚥下機能が低下した高齢者に対し、粘度や固さを変えた、食べやすい食事を提供する病院医療施設は数少なく、在宅介護向け商品のラインアップも限られている。今後一段と高齢化が進む中国では、高齢者が食べやすい介護食需要の大幅な伸びが見込まれる。
国家統計局によると、中国の65歳以上の人口は2021年末時点で、中国全人口の14.2%に相当する約2億56万人に上り、2035年には60歳以上の人口が4億人を超える見通し。

アズビル インド工科大学ルールキー校とデジタルSで協業の覚書

アズビル(本社:東京都千代田区)は5月22日、インド工科大学ルールキー校(以下、IIT Rookee)と革新的なデジタルソリューションの共同研究について覚書を締結したと発表した。両者は戦略的パートナーシップを締結し、今後、共同技術活動、デジタル化促進プロジェクト、専門知識と人材の相互提供、特定の科学、技術、工学、数学分野における人材育成などを予定。インド工科大学ルールキー校は1847年の設立以来、国に技術人材とノウハウを提供する重要な役割を果たしている。

パナソニックHD 30年度にEV向け電池生産能力4倍へ, 重点投資

パナソニックホールディングス(HD)は、EV(電気自動車)向けの電池事業に重点的に投資していく方針を決めた。2030年度に生産能力を現在の4倍に拡大する。
同社はすでに米国西部ネバダ州の工場でEV大手テスラ向けなどに電池を供給しているが、2024年度には中西部カンザス州で建設中の工場が稼働する予定。これら2つの工場へのさらなる設備投資や米国政府からの補助金なども考慮して現地で3カ所目となる工場建設について検討を進める。
また、日本国内では大阪・住之江区や門真市にEV向け電池の新たな研究開発拠点を設けて、新型電池や材料の開発などを進める方針。

エーザイ アルツハイマー病薬「レカネマブ」 英国で販売承認申請

エーザイ(本社:東京都文京区)は5月22日、米国バイオジェン(本社:米マサチューセッツ州ケンブリッジ)と共同開発する早期アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について、英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)に販売承認申請した。MHRAはレカネマブについて、革新的な医薬品の発売までの時間を短縮するプログラム「ILAP」に指定した。
レカネマブは早期アルツハイマー病の患者を対象としており、症状の悪化を27%抑えるとされる。脳内に蓄積されるアルツハイマー病の原因物質の一つ、たんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」を取り除く効果があるという。
レカネマブは、米国では条件付き承認にあたる「迅速承認」を得ているほか、日本、欧州、中国、カナダでも承認申請している。

兼松 3社合弁でインドネシアでの外食運営事業に参画

兼松(東京本社:東京都千代田区)は5月19日、外食企業大手、物語コーポレーション(本社:愛知県豊橋市)と、インドネシのコングロマリット企業、ワルガジャヤグループのPT.Prospect Motorとの合弁で、インドネシア市場で外食運営事業を行うため合弁契約を締結したと発表した。
物語コーポレーションは焼肉業態で国内売上高首位、ラーメン業態では同2位で、多くの業態を運営する大手外食企業。同社の創成期より、兼松は主に食材の供給を通じ良好な関係を育んできた。また、ワルガジャヤグループとも祖業の繊維事業から協業、インドネシアにおけるビジネスパートナーとして多くの合弁事業に取り組んでいる。

産総研・JST バイオマス由来のPBSとPA4組み合わせた新素材

国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)触媒化学融合研究センターと、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)は5月19日、共同でバイオマス由来のポリエステル(PBS)とポリアミド(PA4)を組み合わせた新しいプラスチック素材を開発したと発表した。この新素材は透明なフィルムとして成形することが可能で、フィルムは汎用プラスチック水準の強度があり、引き伸ばすほど強度が増すという特徴があるという。このため、この新素材の複合材料は、既存の汎用プラスチックフィルムや繊維の代替品や、医療プラスチックへの応用が期待される。

LCCベトジェットエア 7/19からハノイー広島便を就航, 週2便

ベトナムのLCC(格安航空会社)最大手のベトジェットエアは5月19日、首都ハノイと広島を結ぶ直行便を就航すると発表した。7月19日からハノイのノイバイ国際空港と広島空港(所在地:広島県三原市)間で週2便を運航する。同社にとっては東京、大阪、名古屋、福岡に続く、5つ目の日本ーベトナム間の路線になる。

ホンダ 個人向け電動スクーター「EM1 e:」 8/24 30万円弱で発売

ホンダは5月19日、交換式バッテリー1個を動力源に採用した原付一種(第一種原動機付自転車)の電動二輪、個人向けスクーター「EM1e:(イーエムワンイー)」を、8月24日に全国のホンダ二輪EV取扱店で発売すると発表した。メーカー希望小売価格は消費税込み29万9,200円。国内年間販売計画は3,000台。

理研・インテル 量子計算機、スパコンを共同研究の覚書

理化学研究所と米インテルは5月19日、量子計算やスーパーコンピューター(スパコン)などの分野で共同研究を進める覚書を締結したと発表した。人工知能(AI)の高度化などに対応できる計算能力を確保する。理研は量子計算と従来のコンピューティング技術の掛け合わせなどにより、計算基盤を高度化する。インテルは量子コンピューターを動作させる制御チップや、ソフトウエアの開発キットなどを手掛ける。両者の協力により、求められる「ゼタ(ゼタは1兆の10億倍)」スケールの計算能力に必要な技術や応用の可能性などを探る。

パナソニックHD, 丸紅 商用EV普及,サポートサービスで合弁設立

パナソニックホールディングス(HD)と丸紅は5月19日、商用電気自動車(EV)向けフリートマネジメントサービスの提供を目的とし、合弁会社を設立することで合意したと発表した。合弁会社の所在地は東京都内で、折半出資により6月に設立する予定。
パナソニックグループが培ってきた電池関連の知見や技術と、丸紅のモビリティ・EV分野での知見や営業基盤を活かしながら、人々の暮らしを支える商用EVの普及を促す。多数の商用車を扱う事業者のEV導入から運用までを一元的にサポートし、EV普及を加速させ、脱炭素社会の実現に寄与する。

日立, 東芝インフラS 台湾高速鉄道車両144両 約1,240億円で受注

日立製作所および東芝、東芝インフラシステムズなどで構成されるHitachi Toshiba Supreme Consortium(以下、HTSC)は5月18日、台湾の高速鉄道事業者、台灣高速鐵路股份有限公司(以下、台湾高鐵)より、新型高速鉄道車両12編成(144両)を受注したと発表した。受注金額は約1,240億円。
HTSCは東海旅客鉄道の最新型N700をベースとした車両を2026年から順次納入する予定。1編成あたりの長さは約300mで、最高速度時速300kmで営業運転する。台湾高鐵は日本の新幹線システムを導入して2007年に開業し、台北と高雄間の350kmを結んでいる。

ルネサス 25年から高崎工場で次世代パワー半導体生産

ルネサスエレクトロにクスは5月19日、炭化ケイ素(SiC)を使い、電力損失を少なくした次世代パワー半導体の生産を2025年に開始すると発表した。投資額や生産規模は未定。シリコンを使うパワー半導体を手掛ける高崎工場(所在地:群馬県高崎市)で生産を予定する。電気自動車(EV)向けの需要を取り込む。
Sicを使ったパワー半導体は、従来のシリコン使いよりも耐熱・耐圧性に優れ、EVに採用すれば航続距離を伸ばせる。また、蓄電池など再生可能エネルギー分野で市場拡大が見込まれている。

中国1〜3月の自動車輸出107万台で世界首位に 日本を抜く

中国汽車工業協会(CAAM)がまとめた税関総署のデータによると、中国の2023年1〜3月の自動車輸出台数は前年同期比58.1%増の107万台となった。一方、日本自動車工業会のデータによると、日本の輸出台数は同5.6%増の95万4,000台だった。この結果、日本は前年同期の1位から2位に転落した。
中国の1〜3月自動車輸出額上位の仕向け先はロシア、米国、メキシコ、英国、ベルギー、日本、オーストラリア、ドイツ、アラブ首長国連邦(UAE)、韓国など。

山九 シンガポールに全温度帯管理の最大級高機能物流センター

山九(本社:東京都中央区)は5月18日、海外現地法人、山九シンガポール(私人)有限公司(SANKYU SINGAPORE PTE LTD)が、シンガポール西部のトアス地区にトアス物流センター(仮称)を建設すると発表した。既存倉庫の建て替えにより施設面積をこれまでの2.2倍に拡張し、東南アジア地域における同社最大級の物流センターとして2025年9月の開設を予定。バイオメディカルや医療・医薬関連の物流需要の取り込みを図る。
同センターは鉄筋コンクリート4階建て。敷地面積1万9,230㎡、施設面積3万7,975㎡(うち事務所1,253㎡)。全フロアに22℃±2℃の温度帯管理機能を完備し、保管効率の高いVNA(Very Narrow Aisle)型物流センターとする計画。屋上にソーラーパネルを設置し、CO2排出量を削減する。

家庭から排出される廃プラスチックを水素へ 官民の検討会発足

岩谷産業、豊田通商、日揮ホールディングスの3社は5月18日、廃プラスチックガス化設備を活用した低炭素水素製造事業の実現に向けて、14の会員自治体と12のオブザーバーとともに、廃プラスチックのケミカルリサイクルによる水素製造検討会を発足し、第1回検討会を実施したと発表した。水素製造開始は2020年中ごろを目標とする。水素製造能力は1.1万トン/年(廃プラ回収量:8万トン/年)。
同検討会では、再商品化手法の一種であるガス化ケミカルリサイクルを用いた各地域の大規模プラスチック資源循環システムの構築と、中部圏での先進的な地産地消低炭素水素供給システムの確立を目的とし、各地域で発生する廃プラスチックの効率的な収集を検討していく、

核融合発電の京大発ベンチャーに17社が105億円を出資, 後押し

次世代のエネルギー減として期待される核融合発電の研究開発を手掛ける京都大学発ベンチャー企業に、政府系ファンドや電力会社、大手商社など17社が合わせて105億円を出資し、官民で実用化に向けた動きを後押しすることになった。
この企業は、京都大学エネルギー理工学研究所の研究者らが立ち上げた「京都フュージョニアリング」で、世界初と鳴る小規模な実験用の発電プラントの建設を進めている。出資するのは政府系ファンドのJICベンチャー・グロース・インベストメンツ、三菱商事、三井物産、関西電力のグループ会社など。