川崎重工 水素30%混焼大型ガスエンジン実証設備を建設

川崎重工は4月15日、発電出力8MW級の大型ガスエンジン発電設備で、水素30%混焼フルスケール実証設備の建設工事に国内初めて着手したと発表した。この工事は同社の神戸工場で稼働している都市ガスを燃料とする発電出力7.5MWのガスエンジン発電設備を水素混焼対応仕様へ改造するもの。主に水素供給システムの追設とエンジン燃焼室の改造を行う。設備は2024年5月に竣工し、同年10月より水素混焼ガスエンジン発電設備として運用を開始する予定。
水素を体積比30%の割合で都市ガスと混焼した場合、都市ガスだけを燃焼させた場合と比べ、約420世帯分の年間排出量に相当する約1,150トンのCO2を削減する。

カネカ, 大成建 建物と一体化の太陽電池M販売で新会社

カネカ(本社:東京都港区)と大成建設(本社:東京都新宿区)は4月15日、2019年に両社が共同開発した建物の外壁や窓と一体化させた太陽電池モジュールで発電する外装発電システム「Green Multi Solar」を販売する共同事業を目的とする「G.G.Energy」(所在地:東京都中央区)を設立し、4月より本格的に営業を開始すると発表した。
両社はこの合弁会社を通じ、Green Multi Solarの販路拡大、普及・促進を図る。今後、新築およびリニューアル物件の創エネルギー技術ととして、環境意識の高い企業や官公庁施設などに対し積極的に提案していく。

川崎汽船, 伊藤忠など6社でアンモニア商用船を共同開発

川崎汽船は4月11日、伊藤忠商事などと6社でアンモニアを燃料とする商用船を共同開発すると発表した。10日付けで6社間の覚書を結んだ。脱炭素に向け、次世代燃料として注目が集まるアンモニア船の実用化で、各社の強みを持ち寄り早期開発を目指す。2028年度までにアンモニア燃料の実用化を目指すNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援事業の一環。
参画するのは既述の2社のほか、三井E&S、日本製鉄系のNSユナイテッド海運、日本シップヤード、独フォルクスワーゲン傘下の船舶用エンジンメーカー、MANエナジー・ソリューションズの6社。

三井不 核融合新興に出資 脱炭素電源に開発段階から出資

三井不動産(本社:東京都中央区)は4月11日、京都大学発の核融合スタートアップ企業の京都フュージョニアリング(本社:東京都千代田区)に出資したと発表した。コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を通じて出資した。投資額は明らかにしていないが、京都フュージョニアリングは同日、三井不動産系のCVCを含む3社から総額15億6,000万円を調達したことを明らかにしている。
三井不動産は再生可能エネルギーへの投資に取り組んでおり、核融合が実用化すれば、脱炭素電源を安定的に調達できるようになる可能性があり、開発段階から参画する。

中国の億航智能「空飛ぶクルマ」の量産許可を取得

中国のドローンメーカー、億航智能はこのほど、中国民用航空局から電動垂直離着陸機(eVTOL)(=「空飛ぶクルマ」)の量産許可を取得したと発表した。今回、量産許可を取得したのは2人乗りで、航続距離は30km。これによりeVTOLの量産が開始され、早ければ2024年中にも観光向けの商用サービスで利用が始まるとみられる。

東洋製罐 缶底耐圧強度向上技術で最軽量アルミ缶を開発

東洋製罐グループホールディングス(本社:東京都品川区)は3月26日、連結子会社、東洋製罐が飲料缶の底部をリフォームして強化し、軽量化を可能とする缶底耐圧強度向上技術を使用することにより、204径SOT(ステイオンタブ)缶で国内最軽量となるアルミDI缶を開発したと発表した。これにより、温室効果ガス(GHG)排出量のさらなる削減が期待される。
千歳工場・基山工場を皮切りに、全国の工場で350ml、500mlの最軽量アルミ缶の量産を、2024年4月から順次予定している。

東レ 廃水再利用へ高耐久性逆浸透膜を開発 耐薬品性2倍

東レ(本社:東京都中央区)は3月21日、工場廃水の再利用、下水処理等での厳しい条件のもとで、これまでの除去性を維持したまま、長期間安定して良質な水を製造できる高耐久性逆浸透膜を開発したと発表した。今回の開発品は、膜の洗浄時の薬品に対する耐久性を従来品の2倍に向上させたほか、交換頻度を半減させている。
現在、量産準備を進めており、2024年上期に市場が急拡大する中国での販売を目指し、日本を含むその他の国・地域に向けた製品開発に活用していく計画。

東京ガス, 大阪ガス 合成メタン普及へ国際団体設立発表 

東京ガスや大阪ガスは3月19日、都市ガスの脱炭素化を進めるため、水素と二酸化炭素(CO2)を原料につくる合成メタン(e-メタン)の普及に取り組む国際団体を設立すると発表した。団体名は「e-NG Coalition(イーエヌジーコーリション)」で、6月までに設立する。
ベルギーのツリー・エナジー・ソリューションズ(TES)社が代表幹事に就く。日本勢は東京ガス、大阪ガスに東邦ガスと三菱商事が加わるほか、仏トータルエナジーズ、や米センプラ・グループなど計8社が加盟することで合意している。合成メタンはガス利用時のCO2排出を実質ゼロにでき、都市ガスと主成分が同じでガス機器も変換せずに使える。

KDDI スタートアップ3社と連携, メタバースを一括支援

KDDI(本社:東京都千代田区)は3月14日、仮想空間「メタバース」関連事業を手掛けるスタートアップ3社と連携すると発表した。連携するのはSTYLY(本社:東京都新宿区)、monoAI technokogy(本社:神戸市)、REALITY XR cloud(本社:東京都港区)の3社。これら複数のメタバースプラットフォームが連携した日本最大級のメタバースアライアンス「オープンメタバースネットワーク」を発足させた。各社の知見を持ち寄り、メタバース制作や拡張現実(AR)導入、イベント企画の支援などを企業・自治体向けに展開する。

鹿島 大阪万博でCO2排出7割削減したコンクリートでドーム

鹿島は3月13日、2025年大阪・関西万博の会場に、製造時や現場施工時発生する二酸化炭素(CO2)排出量を7割削減したコンクリートを使用したドームを建設すると発表した。万博会場の西ゲート付近に建て、環境教育のための展示施設として使用される。鉄筋コンクリート造りで、高さが5.45m、幅23m、奥行きが18mの楕円形とする。
低炭素コンクリートと、同社がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「グリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクトの一環としてデンカや竹中工務店などと共同開発した、CO2の排出量よりも削減効果の方が大きいコンクリートを組み合わせる。全体でCO2を約17.9トン、従来比で7割削減した。

東大発スタートアップELYZA 国内最大規模の生成AI開発

東京大学発スタートアップ企業、ELYZA(イライザ、所在地:東京都文京区)は3月12日、日本語への対応に優れた、日本国内最大規模の生成AIの基盤技術」を開発したと発表した。この生成AIは基盤となる大規模言語モデルの学習量を示す「パラメータ数」が700億で、これまで各社が手掛けた国産の生成AIとしては最大規模の処理能力がある。
大規模言語モデルの開発はオープンAIやグーグルなど米国テクノロジー企業が先導してきたが、イライザの曽根岡侑也・最高経営責任者(CEO)は「先行する米国企業の生成AIと同等の日本語の処理能力がある」としている。
イライザは、チャット形式の生成AIを今後、一般に公開するほか、企業や自治体などに向け順次提供を始める予定。

スペースワンの小型ロケット打ち上げ直後に爆発、失敗

宇宙スタートアップのスペースワン(本社:東京都港区)が3月13日午前11時すぎ、和歌山県串本町のロケット発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げた小型ロケット「カイロス」初号機が打ち上げ直後5秒ほどで爆発、打ち上げは失敗した。発射場近くに設けられた見学会場には、朝早くから発射を待ちわびる人たちが続々と集まって見守っていたが、打ち上げ失敗のアナウンスに悲鳴が漏れた。
日本の民間ロケットで初めて人工衛星を宇宙空間の軌道に投入する計画だった。同社は詳細については調査中とするコメントを発表、原因究明を急いでいる。カイロスの全長は18mで、H2Aロケットの3分の1程度。重さは23トン。
スペースワンにはキヤノン電子、IHI子会社のIHIエアロスペース、清水建設などが出資している。

アデランス 米ステムソン社と毛髪再生でライセンス契約

毛髪・美容。健康のウェルネス事業をグローバルに展開するアデランス(本社:東京都品川区)は3月11日、iPS細胞の再生力を活用した毛髪再生の研究を手掛ける米ステムソン・世羅ピューティクス(本社:米国カリフォルニア州サンディエゴ、以下、ステムソン社)と、細胞培養による毛髪再生の知的財産権のライセンス契約を2月22日に締結したと発表した。同社が毛髪再生の知的財産権のライセンス契約を結ぶのは今回が初めて。
これによりステムソン社は、アデランスのグループ会社、アデランス・リサーチ・インスティチュート(本社:米国ジョージア州アトランタ、以下、ARI)がフェーズ2の臨床試験として取り組んでいた「細胞治療毛髪再生プログラム」の実施を再開し、既存の脱毛細胞治療開発パイプラインに統合することが可能となる。両社が協力することで、脱毛患者や毛髪再生を望む多くの方に対する毛髪再生治療薬の開発、商品化の実現に繋げていく。

東レ 次世代電池用イオン伝導ポリマー膜を創出

東レ(本社:東京都中央区)は3月11日、イオン伝導度を従来開発品比10倍に向上した次世代電池用イオン伝導ポリマー膜を創出したと発表した。ホッピングサイト構造の改良とサイト数を増強した新規ポリマー設計により、ホッピング伝導型のポリマー膜としては最高レベル(東レ調べ)となる、10ー4S/cm台のイオン伝導度を実現した。
このポリマー膜は、全固体電池や空気電池などの金属リチウム負極電池の実用化を加速させ、電気自動車(EV)や産業用ドローン、UAM(Urban Air Mobility)などの航続距離拡大に貢献する。

伊藤忠 核融合エネルギー米スタートアップBLF社と提携

伊藤忠商事(本社:東京都港区)は3月7日、核融合エネルギー関連スタートアップのBlue Laser Fusion Inc.(本社:米国カリフォルニア州パロアルト、以下、BLF社)の第三者割当増資を引き受けるとともに、フュージョンエネルギー関連ビジネス、およびBLF社が開発するレーザー技術を応用した関連ビジネスにおける戦略的業務提携契約を締結したと発表した。
BLF社は、高輝度青色発光ダイオードの発明でノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏が共同創業者の一人として2022年11月に設立されたスタートアップ企業。自社で開発を進めるハイパワーレーザーを用いたレーザー方式核融合炉の商用化を目指している。

コマツ ナトリウムイオンバッテリー搭載フォークリフト

コマツは3月7日、ナトリウムイオンバッテリーを搭載した電動式フォークリフトのコンセプトマシンを開発し、3月から取引先顧客の現場で実証実験を開始すると発表した。ナトリウムイオンバッテリーを搭載するのは同社として初めてで、フォークリフトへの搭載は世界でも先駆的な取り組み。
ナトリウムイオンバッテリーは①エネルギー密度は低いものの、急速充電が可能②サイクル寿命(充放電を繰り返せる回数)が長いことから、ランニングコストの低減が期待できる③地球上に豊富に存在するナトリウムを用いるため、安定した調達が可能で、将来的にコスト削減が見込まれるーなどが利点。
同社は電動式フォークリフトの選択肢を増やすことで、あらゆる現場の電動化を加速させ、環境負荷低減とカーボンニュートラルの実現に貢献する。

23年の国際特許出願 前年比1.8%減 減少は14年間で初

世界知的所有権機関(WIPO)によると、2023年の特許の国際出願件数は前年比1.8%減の27万2,600件にとどまった。前年に比べ出願件数が減るのは、この14年間で初めて、
国別では中国が引き続き1位だったが、件数は6万9,610件と前年比微減だった。2位の米国は5.3%、3位の日本は2.9%それぞれ減少した。世界的な金利上昇によりイノベーションへの投資資金が回りづらくなっていることが主な要因としている。

西松建設 アサヒ飲料と協業しカーボンネガティブコン開発

西松建設は3月6日、アサヒ飲料とともに製造過程でのCO2の排出量がマイナスとなるコンクリートの開発に着手したと発表した。これはアサヒ飲料の「CO2を食べる自販機」により、大気中のCO2を吸収した特殊材を活用し、コンクリートに練り混ぜることによって、CO2排出量がマイナスとなるカーボンネガティブなコンクリートを実現するもの。両社は十分な強度を持つコンクリート材料となることを確認し、今後実施工への適用に向けた取り組みへ進める。
日本国内での生コンクリート年間出荷量は約7,500万㎥(2022年度)とされる。例えばこのうちの0.1%を開発中のコンクリートに置き換えるだけで、毎年27万本の杉の木と同等のCO2削減効果が見込まれる。これは森林の広さで東京ドーム約77個分に相当する。

SkyDrive スズキと磐田市で「空飛ぶクルマ」製造開始

「空飛ぶクルマ」および物流ドローンの開発を手掛けるSkyDrive(本社:愛知県豊田市)は3月7日、スズキ(本社:静岡県浜松市)の協力のもと、製造子会社Sky Works(所在地:静岡県磐田市、スカイワークス)を通じて、スズキグループの磐田市の工場で空飛ぶクルマの製造を開始したと発表した。
スカイワークスは、従業員の約半数がスズキからの出向で自動車の組立の経験・知見が豊富。2023年9月から空飛ぶクルマの試作および組立手順書の作成など準備を進めてきた。
同工場ではまず大阪・関西万博で飛行を計画している「SKYDRIVE(SD-05型)」、その後、顧客に販売していく製品を順次製造していく予定。

関電 空飛ぶクルマで韓国Solyuと提携, 充電設備を供給

関西電力(本社:大阪市北区)は3月4日、韓国の航空機リース会社、Solyu(ソリュ−、本社:ソウル)と、空飛ぶクルマの充電設備を供給することで業務提携したと発表した。関電、ソリュ−両社は空飛ぶクルマの充電設備のリース先などを探る新たなビジネスモデルにも取り組む。
関電は現在SkyDriveやAerospaceなどの空飛ぶクルマの機体メーカーと連携し、充電設備開発に取り組んでおり、今後とも開発、導入を進め、空飛ぶクルマの社会実装を推進していく。