カワサキモーターズ、スズキ、ホンダ、ヤマハ発動機の国内二輪4社は5月17日、二酸化炭素(CO2)を排出しない「水素エンジン」について、二輪車向けの研究開発で協業すると発表した。すでに5月11日に、小型モビリティ向け水素エンジンの基礎研究を目的とした「水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合(所在地:東京都中央区、HySE:Hydrogen Small mobility & Engine Technology)」の設立に向け、経済産業省の認可を得た。
HySEの特別組合員として川崎重工業とトヨタ自動車が参画する。HySEは2023年6月設立予定。活動期間は5年間。二輪車では各社が電動化の取り組みを進めているが、航続距離が短いなどの課題がある。4社が中心となって、電動化以外の脱炭素の選択肢として水素エンジンの実現性を探る。
JA全農,クボタ,BASFジャパン 営農支援システム連携の実証実験
全国農業協同組合連合会(所在地:東京都千代田区、以下、JA全農)、クボタ(本社:大阪市浪速区)、BASFジャパン(本社:東京都中央区)は5月15日、JA全農とBASFが国内で開発・推進する栽培管理システム「xarvio(R)FIELD MANAGER(以下、ザルビオ(R)フィールドマネージャー)」と、クボタが開発・推進する営農・サービス支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」のシステム連携の実証実験を開始したと発表した。
この実証実験は、人工衛星センシング画像からザルビオ(R)フィールドマネージャーが作成した可変施肥マップのデータをKSAS経由で取り込んだクボタ製田植機で施肥作業を行い、システム機能や操作性を確認する。担い手の減少、高齢化の進行等による労働力不足が課題となっている中、スマート農業の導入による生産性向上を探る一環。
住友林業 米国で10階建て木造ビルの振動台実験を開始 世界初
住友林業(本社:東京都千代田区)は5月12日、参画する米国の「NHERI Tallwood Project」で4月20日、世界初となる10階建て木造ビルの振動台実験を開始したと発表した。
米国カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)で実施する本実験は、第1フェーズ(4月20〜6月6日)を米国研究者が米国西海岸の耐震基準で実施する。第2フェーズは、第1フェーズ終了後、同社オリジナル試験体に改修し、日本の耐震基準を検証する。NHERI Tallwood Projectはコロラド鉱山大学を中心とする米国科学財団(NSF)および米国森林局(USFS)の助成プロジェクト。
米国では各州の建築基準の規範となるIBC(米国の建築基準)が2020年に改正され、18階建てまでの木造建築が可能となった。この改正に伴い、第1フェーズの実験は米国研究者によりポストテンション構造という中大規模木造建築の新たな構法の耐震性検証を目的として実施される実大振動台実験。
カカクコムとDG 次世代技術でスマートEC事業で合弁会社
ファミマ 脱炭素で25年度までにFC小型トラック30台導入へ実証
ファミリーマート(本社:東京都港区)は5月10日、物流部門での脱炭素化を目指し、FC小型トラック(水素燃料電池小型トラック)の実用化に向けた走行実証を、2023年5月15日から福島県郡山市、同16日から東京都府中市・調布市を中心とした店舗の商品配送で実施すると発表した。
6月以降は、東京都八王子市・日野市と、江戸川区葛西を中心とした店舗配送でも開始し、車両台数は2025年度までに東京都と福島県で約30台まで拡大する予定。導入するFC小型トラックはいすゞ自動車の「エルフ」をベースとした最大積載量3トン。2室2温度帯(3〜8℃/18〜22℃)。航続可能距離は約260km。軽油使用の内燃車と比較してトラック1台あたり年間約23トンのCO2削減効果が見込まれるという。
ファミリーマートは商品の店舗配送において、トラックから排出されるCO2を2030年度までに2017年度比30%削減することを物流部門の目標としている。
JALと米Wisk 安全な「空飛ぶクルマ」の社会実装で連携
大阪ガス シェルと海外のCCSバリューチェーン構築で連携
大阪ガス(本社:大阪市中央区)は5月9日、Shell Singapore Pte.Ltd(以下、シェル)と、国内工場などのCO2排出源からCO2を回収し、海外の貯留地にCCS(Carbon Dioxide Capture and Storage)することを目指したCCSバリューチェーン構築でに関する共同検討を開始する契約を締結したと発表した。
CO2の排出削減に課題を抱える国内の鉄鋼・セメント・化学産業の工場などのCO2排出源から回収したCO2を集約・液化した後、アジア太平洋地域の貯留地まで船舶輸送し、地中に圧入・貯留することを想定したCCSバリューチェーン全体の事業性評価を2023年5月から実施する。
JERA タイ石油公社PTTと水素・アンモニア供給網構築で連携
アサヒ飲料 6月からCO2吸収する特殊材搭載の自販機で実証実験
アサヒ飲料(本社:東京都墨田区)は5月9日、国内初で待機中のCO2を吸収する自動販売機を活用したCO2の資源循環モデルの実証実験を6月から開始すると発表した。この自販機は庫内にCO2のみを吸収する特殊材を搭載した”CO2を食べる自販機”。吸収したCO2は肥料やコンクリートなどの工業原料に活用する。
1台当たりのCO2吸収量は、稼働電力由来のCO2排出量の最大20%を見込んでおり、スギ(樹齢56〜60年)に置き換えると約20本分の年間吸収量に相当するという。2024年から本格展開を予定。大気中のCO2吸収を可能にした自動販売機と、その自動販売機を活用したCO2の資源循環の取り組みはともに特許出願中。
メディカロイド 手術ロボ「hinotori」シンガポールで薬事承認申請
メディカロイド(本社:神戸市中央区)とシンガポール現地法人Medicaroid Asia Pacific Pte.Ltd.は5月8日、手術支援ロボットシステム「hinotori(TM)サージカルロボットシステム」について、4月28日付でシンガポールのHealth Sciences Authority(健康科学庁)へ薬事承認申請したと発表した。
hinotoriは国産の手術支援ロボットシステムとして、2020年8月に厚生労働省より製造販売承認を取得し、同年12月より日本国内で総販売代理店のシスメックスを通じて販売開始。以降、多数臨床使用され、症例数は1,000例以上に上っている。国外での薬事承認に向けた申請は今回が初めて。
アスエネ シンガポールのパビリオン・エナジーと業務提携
アスエネ(本社:東京都港区)は5月2日、シンガポールの政府系最大手エネルギー会社Pavilion Energy Pte.Ltd.(以下、パビリオン・エナジー)と業務提携を締結したと発表した。パビリオン・エナジーの保有するボランタリーカーボンクレジット取引を実行して、日本・シンガポールのネットゼロを推進する。
両社間ですでに実行されているこのボランタリーカーボンクレジット取引で、南米の熱帯林の植林の取り組みが行われ、購入する企業は気候変動抑制に貢献することができる。アスエネはパビリオン・エナジーが保有するカーボンクレジットを「アスゼロ」の導入企業に提供することで、CO2排出量見える化から削減までをワンストップで支援し、企業のネットゼロ達成に貢献していく。
INPEXと出光興産 カーボンニュートラル燃料をANAへ供給
INPEX(本社:東京都港区)、出光興産(本社:東京都千代田区)および全日本空輸(以下、ANA、本社:東京都港区)の3社は5月1日、ジェット燃料サプライチェーン全体の脱炭素化に取り組むと発表した。
INPEXと出光興産が原油の生産からフライト運航時の消費に至るジェット燃料サプライチェーン全体で発生するCO2全量をニュートラル化するべくカーボンクレジットを調達し、出光興産がカーボンニュートラル化されたジェット燃料としてANAに供給する。
サプライチェーン全体のCO2排出量全量を実質ゼロ化したジェット燃料の航空会社への供給は国内初の取り組み。5月19〜21日に開催予定のG7広島サミットに際して、ANAが5月中(5月1日〜31日)に運航する広島空港を離発着するすべての便を対象に、CO2排出量実質ゼロのフライトを実現する。
JRバス東北 福島で「水素燃料バス」運行開始 脱炭素で
リンナイと岩谷産業 豪で水素100%燃焼給湯器実証に着手
4社参画のCJPT 東京都に燃料電池小型トラックを導入開始
Commercial Japan Partnership Technologies(本社:東京都文京区、以下、CJPT)は4月21日、東京都に燃料電池(FC)小型トラックが導入開始されたと発表した。CJPTはトヨタ自動車、いすゞ自動車、スズキ、ダイハツ工業が参画している会社。
同社はカーボンニュートラル実現に向けた商用電動車の選択肢の一つとして、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の一環として、FC小型トラックを共同で企画・開発を進めてきた。
今回の導入開始は、参画パートナーの荷主、物流事業者や東京都と連携、普及に向けたモデル構築の第一歩となる。CJPTはこれからも商用電動車の本格的な普及に向け、FC小型トラックを順次導入し、取り組みを加速していく。
AGC インドネシアの塩ビプラントでPデジタルツインの運用開始
川崎重工 UAE国営企業と中東で初の協業 水素供給網を構築
出光興産 米HC社と廃棄物原料から水素製造事業 日本国内で
出光興産(本社:東京都千代田区)は4月13日、ファンドを通じた出資先のH-Cycle社(以下、HC社)と協働し、4月に都市ごみ等廃棄物を原料とした国産クリーン水素製造の事業化を検討開始したと発表した。HC社は米国カリフォルニア州を本拠とするスタートアップ企業。
これは日本国内で排出される都市ごみなどの廃棄物を原料とし、HC社が日本で独占的に展開する権利を持つプラズマによるガス改質を用いたガス改質炉を使用し、廃棄物を高効率で水素に変換する手法。
各地域の廃棄物処理施設として、このガス化改質炉を設置して廃棄物を処理するとともに、水素を製造することで”地産地消”型のクリーン水素供給拠点を展開することができるとしている。同社は今後各地域の自治体やパートナー企業などの協力を得て、2030年代前半に約200〜300トン/日の初期プラントを建設することを目指す。