脱炭素へ次世代航空交通システムの試験飛行 米シアトルー成田で

国土交通省によると、飛行中のパイロットが地上の管制官などと相互にやり取りして、最適な経路を決め飛行する次世代の航空交通システムの試験飛行が初めて行われ6月12日、このシステム米国・シアトルを出発した便が成田に到着した。この試験飛行は11日から6日間かけて実施されている。
国交省によると、通常、飛行中の航空機が気象条件の変化などで経路を変更する場合、地上の管制官などの指示通り飛行するが、現場のパイロットが実際に遭遇している風速や風向きなどが加味されず、燃費や二酸化炭素(CO2)の排出量などで最適な経路を選べないという。今回の試験飛行はこうした現状を踏まえたもの。

経産省 脱炭素へCO2地下貯留 国内外の7事業を重点支援

経済産業省と独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は6月13日、火力発電所などから出る二酸化炭素(CO2)を回収して地下に貯留する技術について、国内外の計7プロジェクトを重点的に支援すると発表した。支援する事業は「CCS」と呼ばれ、国が掲げる2050年のカーボンニュートラル達成に必要とされる。
支援対象プロジェクトは、北海道電力、出光興産、ENEOSなどが進める国内5事業、マレーシア、オセアニア地域での海外輸送の2事業が選定された。政府は2030年までに年600万〜1,200万トンのCO2貯留を目標に掲げており、これら7事業の実現で年1,300万トン分が確保できるとみている。

日立「量子ビット」の効率制御で新手法 実用化を加速 

日立製作所は、ケタ違いの計算能力を持つ次世代コンピューターについて、その頭脳にあたる集積回路を構成する「量子ビット」を効率よく制御する新たな手法をを発表した。実用化に向けて開発を加速する方針。
量子ビットについて、場所を固定せずに移動させることで、構造をシンプルにできるほか、隣り合うことでできる起きるエラーを抑える仕組みになっていて、量子ビットの数が増えた場合も効率よく制御できるという。
量子コンピューターは、国内で理化学研究所が国産の初号機を開発し、今年3月にサービスを開始したほか、NECは東芝などでも開発を進めている。

日産自 次世代LiDAR技術活用の交差点事故回避技術を公開

日産自動車(本社:横浜市西区)は6月9日、次世代LiDAR(ライダー)を活用した運転支援技術を搭載した試作車による交差点事故回避技術を公開した。この技術により、信号や標識を見落とした車両が目の前に現れたときには、相手の位置や速度の変化を高い精度で計算し、必要なグレーキ操作を瞬時に判断して衝突を回避する。急ブレーキを作動させた後も、危険を回避し次第ブレーキを解除するなど、状況の変化に直ちに対応するという。

JERA,日本触媒,千代田化工 水素供給網構築でNEDOの事業に採択

JERA(本社:東京都中央区)、日本触媒化学(東京本社:東京都千代田区)、千代田化工建設(本社:横浜市西区)の3社は6月9日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」に採択されたと発表した。
この事業はアンモニアを水素エネルギーキャリアとして有効活用することを目的に3社の知見を合わせることで、既存の技術より競争力あるアンモニア分解技術の確立に向けて、アンモニアから水素を取り出すための触媒の開発を行うもので、2025年度までの約3年間にわたって実施する。

Skydio ドローンの遠隔操作による目視外飛行の許可取得

自律飛行技術によるグローバルリーダー、米国のドローンメーカーのSkydio(スカイディオ、本社:米国カリフォルニア州)は6月7日、国土交通省航空局より無人航空機の飛行「カテゴリーⅡ」で、「無人飛行機の飛行に関する許可・承認」を得たと発表した。同飛行許可取得は、Skydioが日本国内で展開するすべてのドローン機体と、その搭載ソフトウェア種類を対象とするもの。一部例外を除いた日本全国で、場所・時間を問わず、運用規模を広げて、遠隔操作による目視外飛行を柔軟に行うことを可能にする。Skydioは米国最大のドローンメーカーで、自動飛行技術のグローバルリーダー。

クボタ 東京農工大と営農型太陽光発電で3年間の共同研究開始

クボタ(本社:大阪市浪速区)は6月6日、東京農工大学と営農型太陽光発電設備下での、最適な作物の栽培方法の確立を目指した共同研究を開始したと発表した。両者の共同研究の実施期間は2023年1月〜2025年12月。東京農工大学敷地内、約25aで行う。栽培作物はブルーベリーほか。

シスメックス 網膜疾患の原因特定へ試薬 販売承認取得

血液検査機器大手のシスメックス(本社:神戸市中央区)は6月5日、医薬品医療機器総合機構(PMDA)から、眼の網膜の働きが損なわれて物が見えにくく鳴る「遺伝性網膜ジストロフィ」の原因遺伝子を特定する試薬や解析プログラムの製造販売承認を5月31日に取得したと発表した。
遺伝性網膜ジストロフィとは、遺伝性変異で網膜の機能に障害が生じる疾患の総称。代表的な病気には徐々に視野が失われる「網膜色素変性症」がある。

丸紅と富山地鉄 黒部市内路線バスで顔認証決済の実証実験

丸紅(本社:東京都千代田区)と富山地方鉄道(所在地:富山市、以下、富山地鉄)は6月1日、富山地鉄が運行する黒部市内路線バスの生地循環線で、顔認証技術とアプリ型プリペイドカードを連携させた顔認証決済の実証実験を同日開始したと発表した。期間は6月1日〜8月31日。
今回の実証実験を踏まえて、公共交通機関や利用者の手ぶらニーズが高い分野で顔認証決済の早期事業化を目指す。

安川電機 米Oishii社と資本業務提携し植物工場を完全自動化へ

安川電機(本社:福岡県北九州市)は5月31日、Oishii Farm Corporation(本社:米国ニュージャージー州、以下、Oishii社)と30日に資本業務提携したと発表した。
Oishii社は米国ニュージャージー州を拠点に、いちごを製造・販売するベンチャー企業。将来的にいちごの完全自動生産の実現を目指している。
今回の両社の資本業務提携で、Oishii社が今後建設予定の工場で行う全行程(播種・育苗〜収穫・検査〜箱詰め・出荷)の自動化の取り組みに対して、安川グループが持つロボットなどの製品およびソリューションを提供していく。

双日 次世代再生可能燃料のNEXTに出資, SAF製造事業に参画

双日(本社:東京都千代田区)は5月29日、100%子会社の双日米国を通じて、米国で環境負荷の少ない次世代再生可能燃料の製造を目指すNext Renewadle Fuels,Inc.(本社:米国テキサス州、以下、NEXT)に出資したと発表した。
NEXTがオレゴン州ポートウエストワードに建設を計画するプラントでは廃食油、植物油、動物油脂などを燃料として進めている、SAF(サステナブル・アビエーション・フューエル)の製造事業に参画する。2026年に商業運転を開始する予定。

トヨタの液体水素エンジン車 24時間耐久レースに初参戦

トヨタ自動車は5月27日、液体水素を燃料とするエンジン車を24時間耐久レースに出場させた。これまでは気体水素で出場しており、液体としてのレース参戦は初めて。また、液体水素を燃料として搭載した車両のレース参戦は世界で初めてという。過酷な環境のレース参戦で課題の洗い出し、量産車の開発に生かしていく。液体は航続距離を伸ばすことができるが、充填や貯蔵で高い技術が求められる。

東芝テック 店舗DXを加速するスマートストアを期間限定で出店

東芝テック(本社:東京都品川区)は5月26日、AIカメラを用いた最新のチェックアウトや防犯対策システムを取り入れ、店舗運営の省人化や自動化を実現する次世代スマートストアを、2023年度に期間限定でパートナー企業と共同出店すると発表した。この次世代スマートストアで店舗DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速するための実証実験を計画している。

三菱電機 台湾電力から初の電力系統用STATCOMを受注

三菱電機は5月26日、台湾電力公司(所在地:台湾・台北市)から台湾で電力系統安定化用途としは初めて、自励式静止型無効電力補償装置(以下、STATCOM)を受注したと発表した。台湾電力公司南科変電所に新たに設置されるSTATCOM変電所へ納入する。台湾で最大の定格容量となる±200MVA(メガボルトアンペア)を実現することで、半導体工場やディスプレイ工場などが集積する台南サイエンスパークの安定稼働に貢献する。納入時期は2025年上期の予定で、2026年上期中の運用開始を予定。

「ジャパンモビリティショー」に変更 今秋4年ぶりに開催

日本自動車工業会は5月24日、「東京モーターショー」を今回から「ジャパンモビリティショー」に変更し、4年ぶりに今秋開催する、その概要を発表した。今回の最大の特徴は、モーターショーでは表現しきれない、”モビリティ”とうたうことで、幅広く異業種との連携によって新たな車づくりを進めようと100社以上のスタートアップ企業の参加を目指している点。開催は10月26日からの11日間。メイン会場は東京都江東区の東京ビッグサイト。スタートアップ企業が投資家にアピールしたいビジネスプランやPR用スペース、空を移動する未来のモビリティを体感できるスペースなどを設ける。

3社が次世代バイオディーゼル燃料使用し西鉄バスを実証運行

スターフライヤー(本社:福岡県北九州市)、西日本鉄道(本社:福岡市、以下、西鉄)、ユーグレナ(本社:東京都港区)の3社は5月24日、次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を使用した西鉄バスの実証運行を、6月から行うと発表した。実証期間は6月1日から11月30日まで。
3社は西鉄が運行する路線バスの燃料に、ユーグレナ社の「サステオ」を試験的に導入し、スターフライヤーの運航する福岡空港へ乗り入れる路線で実証運行する。
サステオは持続可能性に優れたバイオマス原料を使用した燃料で、既存のディーゼルエンジンに加工処理などを行わずに、そのまま使用できることが特徴。原料である植物や藻類が成長過程で光合成する際のCO2を吸収するため、燃料を使用した際に発生するCO2の排出量が実質的にはプラスマイナスゼロとなるカーボンニュートラルの実現に貢献すると期待されている。

福井・永平寺町で国内初の自動運転レベル4運行サービス ソリトン

ソリトンシステムズ(本社:東京都新宿区)は5月22日、産業技術総合研究所、ヤマハ発動機、三菱電機と共同で開発を進めてきた自動運転システムにより、21日から福井県永平寺町で遠隔監視のもと、自動運転レベル4の運行サービスを国内で初めて開始したと発表した。このシステムは経済産業省から、上記の4法人が2021年度から開発を受託しているもの。自動運行の区間は永平寺町内「永平寺参ろーど」の南側約2kmの区間。運行は「まちづくり株式会社ZENコネクト」が担当。
今回開発の遠隔監視システムは、一人の遠隔オペレーターが、必要に応じ標準最大4台の自動運転車両を監視できる。さらに複数車両の運行管理制御を行う管制システムとのシステム連動を行うことで、効率的かつ的確な監視と、異常発生時における安全確保その他必要となる措置の迅速化を図っている。

コマツとトヨタ 鉱山現場で自動走行するライトビークル開発で協業

コマツとトヨタ自動車は5月17日、鉱山現場のライトビークルの自動化を目指し、無人ダンプトラック運行システム(以下、AHS)上で自動走行するライトビークル(以下、ALV)の開発で協業開始すると発表した。現在、コンセプト車両で試験を実施しており、2024年1月ごろをめどに顧客現場での実証実験を開始する予定。
コマツはAHSの管制システム上にALV用管理プログラムを新たに開発し、トヨタは乗用車で培った自動運転技術を応用し、AHSの管制システムからの指令により自動で走行するALVを開発する。無人ダンプトラックとALVを、コマツのAHS管制下で協調制御して自動走行させることで、鉱山現場のさらなる安全性と生産性向上の実現を目指す。

国内二輪4社 脱炭素へ「水素エンジン」の研究開発で協業

カワサキモーターズ、スズキ、ホンダ、ヤマハ発動機の国内二輪4社は5月17日、二酸化炭素(CO2)を排出しない「水素エンジン」について、二輪車向けの研究開発で協業すると発表した。すでに5月11日に、小型モビリティ向け水素エンジンの基礎研究を目的とした「水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合(所在地:東京都中央区、HySE:Hydrogen Small  mobility & Engine Technology)」の設立に向け、経済産業省の認可を得た。
HySEの特別組合員として川崎重工業とトヨタ自動車が参画する。HySEは2023年6月設立予定。活動期間は5年間。二輪車では各社が電動化の取り組みを進めているが、航続距離が短いなどの課題がある。4社が中心となって、電動化以外の脱炭素の選択肢として水素エンジンの実現性を探る。

JA全農,クボタ,BASFジャパン 営農支援システム連携の実証実験

全国農業協同組合連合会(所在地:東京都千代田区、以下、JA全農)、クボタ(本社:大阪市浪速区)、BASFジャパン(本社:東京都中央区)は5月15日、JA全農とBASFが国内で開発・推進する栽培管理システム「xarvio(R)FIELD MANAGER(以下、ザルビオ(R)フィールドマネージャー)」と、クボタが開発・推進する営農・サービス支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」のシステム連携の実証実験を開始したと発表した。
この実証実験は、人工衛星センシング画像からザルビオ(R)フィールドマネージャーが作成した可変施肥マップのデータをKSAS経由で取り込んだクボタ製田植機で施肥作業を行い、システム機能や操作性を確認する。担い手の減少、高齢化の進行等による労働力不足が課題となっている中、スマート農業の導入による生産性向上を探る一環。