脱炭素へコマツ, 日立, デンヨーが水素混焼発電機 最大50%混焼可能

脱炭素へコマツ、日立製作所、デンヨーの3社は8月8日、開発を進めていた250KW水素混焼発電機の製品化に成功したと発表した。同発電機は、燃料に水素を最大50%混合した発電が可能で、軽油のみを燃料とした場合に比べ、発電時の二酸化炭素(CO2)排出量を最大50%削減できるという。コマツは同発電機の初号機を小山工場に導入し、2023年9月中の本格稼働を目指している。

日本製鉄 高炉水素還元技術の試験炉でCO2排出量22%削減を確認

日本製鉄は8月4日、東日本製鉄所君津地区の水素還元試験炉(内容積12㎥)で、世界最高水準となる高炉本体からのCO2排出量を22%削減する効果を確認したと発表した。さらに2023年内をめどに、30%以上のCO2削減を目指した試験を予定している。これらの実証試験を重ね、大型高炉でのSuper COUSE50技術(CO2排出量50%以上削減)確立の早期化に取り組んでいく。

第一三共 初の国産コロナワクチン承認取得 供給はせず

第一三共(本社:東京都中央区)は8月2日、同社が開発した新型コロナウイルスワクチン「ダイチロナ」の国内での製造販売承認を取得したと発表した。国内企業が開発した初の国産ワクチンとなる。これはメッセンジャーRNA(mRNA)タイプで、従来型ウイルスに対応した1価ワクチン。同タイプの米ファイザーや米モデルナのワクチンが冷凍が必要なのとは異なり、2〜8度の冷蔵で流通・保管できるという。ただ、様々な変異型が横行している中、同クチンは出荷せず、同社も変異型ワクチンの開発を進める。

アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」厚労省8/21に承認判断

厚生労働省が、日本のエーザイと米国のバイオジェンが共同で開発を勧めてきたアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」について、8月21日に開く専門部会で承認するかどうかを判断することが分かった。承認されれば、国内初の薬となる。
レカネマブは最終段階の治験で、この薬を投与された患者は偽の薬を投与された患者と比べて、1年後の認知機能の低下がおよそ27%抑えられ、症状の進行を緩やかにする効果が確認されている。米国では7月上旬、日本に先駆けて治療薬として正式承認されている。

アステラス製薬 胃がん治療薬を中国で承認申請 当局が受理

アステラス製薬は8月1日、開発中の胃がん治療薬「ゾルべツキシマブ」について、中国国家薬品監督管理局(NMPA)の医薬品評価センターが承認申請を受理したと発表した。海外では米国や欧州でも申請しており、日本では6月に厚生労働省に製造販売承認を申請している。
同社はゾルベツキシマブを重点戦略製品と位置付け、世界でのピーク時の売上高を最大年2,000億円と見込んでいる。ゾルベツキシマブは胃腺がん、食道胃接合部腺がんの治療薬として開発されたもの。
胃がんは世界中で5番目に多く診断されるがん。同社によると世界で新たに診断される胃がん患者数のほぼ半数を中国人患者が占め、2020年には47万8,000人以上が胃がんと診断されているという。

トヨタと三菱重工 29年打ち上げの月面探査機開発で連携協力

宇宙航空研究開発機構(JAXA)、トヨタ自動車、三菱重工業は7月21日、2029年の打ち上げを目指す有人月面探査車「ルナ・クルーザー」の開発で連携・協力していくことになったと発表した。トヨタ、三菱重工の両社は今後、トヨタがこれまで培った自動運転の技術を用いて、三菱重工の無人探査機の開発をサポートする一方、三菱重工は2025年に先行して立ち上げる予定の無人探査機で得られる月面の様々なデータを提供するなどして、トヨタの有人探査機の開発を後押しする。

岩谷産業 25年万博 水素燃料電池船の旅客運航事業者に決定

岩谷産業は7月20日、2025年大阪・関西万博会場へのアクセスとして、中之島ゲートと夢洲(ゆめしま)をつなぐ国内初の水素燃料電池船の旅客運航事業者に決定したと発表した。運航実務は京阪グループの大阪水上バス(本社:大阪市)に委託する。今回の水素燃料電池船は、2021年に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択され、開発が進められている。走行時にCO2など環境負荷物質を排出しないほか、におい、騒音、振動の少ない優れた快適性を実現するとしている。

岩谷産業, トーヨーカネツ 液化水素の大型タンク共同開発へ

岩谷産業とトーヨーカネツは7月19日、液化水素を貯蔵する円筒形の大型タンクの共同開発案件が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択されたと発表した。国内で実用化されている球体タンクの約20倍にあたる、容量5万㎥のタンクの開発を目指す。予定事業期間は2023〜2027年度。水素貯蔵に強い岩谷産業と液化天然ガス(LNG)向け大型タンクなどで実績のあるトーヨーカネツがノウハウを持ち寄る。最終的に内部の直径が40m、高さ60m程度の円筒型のタンクの開発を目指す。

積水ハウス 水素を製造・貯蔵・使用できる電力自給住宅を実証

積水ハウス(本社:大阪市北区)は7月14日、太陽光発電による再生可能エネルギーの電力を用い、自宅で水素をつくり、住宅内の電力を自給自足する住宅メーカー初の水素住宅の2025年夏の実用化を目指し、2023年6月から同社総合住宅研究所で実証実験を開始したと発表した。これによりCO2が一切発生しない、日常生活におけるゼロカーボン化と電気の自給自足の実現を目指す。

日揮HDなど3社 NEDOの水素サプライチェーン構築事業に採択

日揮ホールディングス(本社:横浜市西区)、クボタ(本社:大阪市浪速区)、大陽日酸(本社:東京都品川区)の3社は7月6日、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」に共同で応募し、採択されたと発表した。3社は年産11万トンの大規模な水素製造事業への参入を視野に、輸入したアンモニアを熱分解して水素を得る「大規模外部加熱式アンモニア分解水素製造技術の研究開発を提案していた。研究開発の実施期間は2023年度〜2024年度。

JAXA, 慶大など 月面整備・作業小型ロボの実証実験を公開

宇宙航空研究開発機構(JAXA)や慶應義塾大学などは7月6日、JAXAの相模原キャンパスで、月面で作業する小型ロボットの実証実験を公開した。月面を模した実験場で砂の硬さを計測したほか、凸凹の地面をローラーで押し固める作業などを披露した。
政府の大型プロジェクト「ムーンショット小型研究開発事業」の一環。慶応大学のほか、九州工業大学、奈良先端科学技術大学院大学が開発状況を報告した。

東大と三井不 KOIL MOBILITY FIELDで走行中給電の検証実験開始

東大と三井不動産は7月3日、首都圏最大級の屋外ロボット開発拠点、KOIL MOBILITY FIELDで走行中給電用コイルを埋設した走行レーンを民間で初めて新設し、フィールド検証実験を開始したと発表した。これにより、両者は日本初の電気自動車(EV)への走行中ワイヤレス給電の公道での実証実験に近づくことになる。
今回埋設した送電コイルは60秒間充電すると、約6km走行できる試算となっている。将来的に6km走行する間に60秒間の充電が可能なインフラ整備や街づくりを進めることができると、駐車して特定の充電設備を使うことなく、断続的に充電しながらバッテリーの正味消費電力をゼロにでき、小型なバッテリーだけで連続走行が可能となる。

三菱造船と日本郵船 アンモニアと液化CO2兼用輸送船 承認取得

三菱重工業子会社の三菱造船と日本郵船は6月29日、日本海事協会からアンモニアと液化二酸化炭素(CO2)を運べる輸送船の基本設計承認を取得したと発表した。脱炭素社会のニーズに向け、燃焼時CO2を排出しない次世代燃料として期待されるアンモニアと、貯留地への運搬が課題の液化CO2の両方を扱える輸送船を開発する。アンモニア・液化CO2兼用輸送船の実用例はこれまでなく、建造されれば世界初となる。

ニデックとソフトバンク HAPS向け高性能モーターを共同開発

ニデックとソフトバンクは6月27日、成層圏通信プラットフォーム、HAPS向け軽量・高効率・高信頼性のモーターを共同開発したと発表した。このモーターはソーラー発電のみでHAPS向け無人飛行機の長時間飛行を可能にする性能を備えており、ソフトバンク子会社のHAPSモバイル(本社:東京都港区)が目指す2027年度のHAPS向け無人飛行機「Sunglider(サングライダー)」の実用化に役立てる。

AGC 世界初 実生産炉でのアンモニア燃料でガラス製造の実証に成功

AGC(本社:東京都千代田区)は6月27日、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託事業として、AGC横浜テクニカルセンターで取り組んでいる「燃料アンモニア利用・生産技術開発」で、世界初となる実生産炉でのアンモニアを燃料に利用したガラス製造の実証試験に成功したと発表した。
この事業は大陽日酸、国立研究開発法人 産業技術総合研究所、東北大学と共同で技術開発に取り組んでいる。2024年以降、スケールアップしたバーナー試験やAGC他拠点のガラス溶解炉での実証試験を計画。アンモニア燃焼技術の活用範囲を見極めたうえで、2026年以降の本格導入を目指す。

トヨタなど3社 バイオガスから水素製造装置 タイで年内稼働

トヨタ自動車、豊田通商、三菱化工機の3社は6月26日、鶏糞や廃棄食料由来のバイオガスから水素を製造する装置をタイ国内に初めて導入すると発表した。同装置は三菱化工機が製作を担当。トヨタ自動車と豊田通商が協力してバイオガスや水素の圧縮、貯蔵、輸送に関わる全体のシステムの構築および導入、運用体制の構築を検討する。
3社および、それぞれの現地事業体とも連携を図り、議論しながら進めていく。水素を「つくる・はこぶ・ためる・つかう」ための、タイでの一連の取り組みの一環として、この装置を活用していく予定。

東芝 混合ガスのCO2濃度を1.7秒で測定センサー, 26年に実用化

東芝は6月26日、混合ガスに含まれる二酸化炭素(CO2)の濃度を短時間で調べられるセンサーを開発したと発表した。これまでの検知装置と比べ200分の1に小型化し、わずか1.7秒で物質の濃度を測定できるという。2026年をめどに実用化したい考え。今回開発した装置は6.5センチメートル四方で、高さは2.5センチメートルと手のひらに乗るサイズ。

凸版印刷など3社 包装材料のマテリアルリサイクルで実証開始

凸版印刷(本社:東京都文京区)、三菱ケミカルグループ(本社:東京都千代田区)、共栄社化学(本社:大阪市中央区)の3社は6月22日、包装材料の製造工場から排出される廃プラスチックを水平リサイクルすることを目的とする、マテリアルリサイクル生産プロセスを共同開発する契約を3月15日に締結。6月より、生産実証プロセスの原理検証機の導入を含む、マテリアルリサイクルの生産プロセスの実証試験を開始する。
今回開発する技術は、プラスチック複合素材の包装材料を剥離・脱墨・分離し、素材別の樹脂として取り出すことが可能だ。取り出された各々の樹脂は品質劣化が少なく、洗剤やシャンプーなどのトイレタリー製品や食品の包装材に使用するフィルムの原料としての利用を検討している。3社は2027年度の社会実装を目指す。

大王製紙 東北大・東大などとCNF半導体材料開発を開始

大王製紙(本社:東京都千代田区)は6月21日、セルロースナノファイバー(以下、CNF)の新たな用途開発として東北大学、東京大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)と共同で、半導体材料開発を開始すると発表した。この開発テーマは、このほど国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」に採択され、今年度より4社で共同研究を行う計画。
植物由来のCNFが半導体特性を示すことはすでに東北大学の研究で見出されており、東北大(橋田特任教授グループ)、東大(磯貝特別教授グループ)、産総研(セルロース材料グループ、化合物半導体デバイスグループ)の4グループと共同で研究開発を進めていく。

SkyDrive 仏タレス社とフライトコントロールSのサプライヤー契約

空飛ぶクルマ(以下、eVTOL)および物流ドローンの開発を手掛けるSkyDrive(本社:愛知県豊田市)は6月22日、航空業界のグローバルトップリーダー、Thales(本社:フランス・パリ、以下、タレス社)とフライトコントロールシステムのサプライヤー契約を締結したと発表した。フライトコントロールシステムは、空飛ぶクルマで最も重要な要素の一つであり、パイロットの操縦装置からの入力を受け取り、機体の姿勢や速度を制御する機能を持ち、高い安定性・信頼性を担保する。これにより、同社はタレス社のeVTOLの「FlytRise」を、現在開発中の「SKYDRIVE」(SkyDrive式SD-O5型式)に搭載する。

ワインの天然醸造にブドウ皮の常在菌が大きな役割 大学研究G

奈良先端科学技術大学院大学と京都大学の研究グループは6月20日、ワインを天然醸造する際にブドウの皮にいる常在菌が大きな役割を果たしているとする研究成果を発表した。グループは酵母による発酵の条件を調べようと、ブドウの皮の表面にいる常在菌に着目。この常在菌と酵母をブドウの表面につけて発酵させる実験を行った。その結果、菌を加えた場合は、酵母だけの場合に比べて発酵する速度が大幅に速まったという。ワインができるメカニズムの解明につながる成果として注目される。

豊田合成 パウデックと横型GaNパワー半導体を共同開発

豊田合成(本社:愛知県清須市)は6月20日、パウデックと共同で太陽光発電などに応用される電力変換装置の性能向上につながる、高性能な横型GaNパワー半導体を開発したと発表した。これにより、世界トップクラスとなる800Vで100万分の1秒でのオン・オフ動作を確認したとしている。今後安定した連続動作と耐久品質の確保を通じて、早期実用化を目指す。

スカイドライブ スズキと空飛ぶクルマ製造で基本合意

空飛ぶクルマの開発を進めるスタートアップ企業、スカイドライブ(本社:愛知県豊田市)は6月19日、スズキ(本社:静岡県浜松市)と製造に向けて基本合意したと発表した。スズキグループの工場を活用し、2024年春の製造ラインの稼働開始を目指す。また、スカイドライブは電動の垂直離着陸航空機、eVTOL(イーブイトール)の製造を目的とする完全子会社を設立する。

次世代ペロブスカイト太陽電池の実証事業 東京都 開発2社と協定

東京都は6月19日、次世代太陽電池として期待される「ペロブスカイト太陽電池」の実用化に向け、開発企業2社と実証事業に関する協定を締結したと発表した。都が場所を提供し、2社が発電性能の検証などを行う。この2社はペロブスカイト太陽電池の開発を進める、京都大学発スタートアップのエネコートテクノロジーズ(所在地:京都府)と、センサーを開発するマクニカ(所在地:横浜市)。
ペロブスカイト太陽電池は薄く、折り曲げることも可能で、重装備の設備が不要で設置場所の自由度も高い簡易型電池。実証事業では都庁舎の一室に同太陽電池を活用したIoT(モノのインターネット)センサー5台を設置予定。2024年5月31日まで実施し、結果を公表する予定。

出光興産 全固体電池の固体電解質の小型実証プラントの能力増強

出光興産(本社:東京都千代田区)は6月19日、全固体リチウムイオン二次電池の普及・拡大へ向け、固体電解質の小型実証設備第1プラント(稼働開始2021年11月)の生産能力を増強すると発表した。完工時期は2024年度の計画。また、2023年7月より小型実証設備第2プラントの稼働も開始。全固体電池の開発を進める自動車・電池メーカーなどへ、固体電解質を着実に供給していく。

INPEX, 大阪ガス 脱炭素げ世界最大級のメタネーション試験設備 

INPEXと大阪ガスは6月16日、共同でNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から採択された助成事業のもと、2021年より進めている都市ガスのカーボンニュートラル実現へメタネーションの実用化に向けた技術開発事業で、新たに千代田化工建設とEPC契約を締結したと発表した。これに基づき建設開始した試験設備は、世界最大級となる家庭用1万戸分に相当する400N㎥-CO2/h。メタネーションの実証事業期間は2021年度下期〜2025年度末の予定。

クボタ コンバインも無人自動運転 主要農機を無人自動化

クボタ(本社:大阪市浪速区)は6月14日、無人で自動走行するコンバイン「アグリロボコンバインDRH1200A-A」を2024年1月に国内で発売すると発表した。まず国内で販売し、年間50台の販売を見込む。価格は約2,200万円からと、従来機種と比べ20〜30%高い。
同社はすでにトラクターと田植機は無人自動運転を実現しており、今回のコンバイン投入で、主要農機で無人自動運転機種が出揃うことになる。これによりヤンマーホールディングスや井関農機など同業他社に先行する。
無人自動運転コンバインは、レーザー光を使ったセンサーと、人工衛星からの位置情報を使って自動走行する。機体の前後左右に設置したAI(人工知能)カメラで障害物も検知する。リモコンで遠隔操作して運転を止めることも可能という。

塩野義 新型コロナ治療薬「ゾコーバ」製造販売の本承認を申請

塩野義製薬(本社:大阪市中央区)は6月9日、国内で2022年11月に厚生労働省から緊急承認を受けた新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」について、8日付で製造販売の本承認を同省に申請したと発表した。緊急承認の際、本承認に向けて、臨床試験(治験)データの追加提出をしたうえで1年以内の申請が求められていた。

エーザイ認知症薬レカネマブ 米FDA諮問委が正式承認勧告

米食品医薬品局(FDA)は6月9日、エーザイと米バイオジェンが共同開発するアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」に関する諮問委員会を開き、正式承認を推奨すると勧告した。これを受け、FDAは7月6日までに可否を判断する予定。米国ではレカネマブは2023年1月にFDAが下した”仮承認”ともいえる迅速承認の状況にある。
米国で正式承認されれば日本や欧州など世界で一気に普及が進む可能性がある。レカネマブはFDAが迅速承認した際、提出された治験のデーターでは、早期アルツハイマー病患者に対し、認知機能の悪化スピードを27%遅らせる効果が示されている。