レンゴー 子会社が第二世代バイオエタノールの生産実証

レンゴーは2月20日、連結子会社の大興製紙がBiomaterial in Tokyoと提携し、持続可能な航空燃料SAF(Sustainable Avuation Fuel)の原料になる第二世代バイオエタノールの生産実証事業を開始すると発表した。同実証事業はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成および委託を受け実施する。
大興製紙は建築廃材などの未利用バイオマス資源から生成するクラフトパルプを原料として産業用微生物による自製酵素を用いたバイオエタノール生産技術の開発・実証を行い、2027年までに年間2万klのバイオエタノール生産を目指す。このバイオエタノールは販売先の燃料事業者でSAFに転換され、航空燃料として使用される予定。

日本触媒 米Trevi Systemと次世代システムで海水淡水化

日本触媒(本社:大阪市中央区)は2月15日、Trevi System Inc.(本社:米国カリフォルニア州、以下、Trevi System社)と次世代の海水淡水化/水処理システムの正浸透(FO)システムの基幹部材である浸透圧発生剤(Draw Solution、以下、DS)を共同開発したと発表した。
Trevi System社は、米国エネルギー省から400万ドルの資金援助を受けてハワイ島で、共同開発したDSを用いて海水から淡水をつくるプロジェクトを2022年6月から開始し、すべてのデータ取得を2023年9月に完了している。

世界初 宮崎・都農町で「クエタマ」の陸上養殖に成功

宮崎・都農町、岡山理科大、NTT東日本、NTT西日本の4者による養殖プロジェクトの中間成果報告が2月13日、都農町であった。これはICTと好適環境水を活用し、ハタ科で世界最大級の在来種「タマカイ」、タマカイと高級魚クエを掛け合わせた交雑魚の通称「クエタマ」の世界初の完全閉鎖循環式陸上養殖で、両魚種とも9割前後の生残率で、実験は成功した。タマカイの成長率は他県の約3倍を記録した。
この水産業夢未来プロジェクトは、4者により2022年12月からスタート。2023年4月から都農町に設置した試験養殖施設(7.4トン水槽2基)にタマカイの体長7〜8cmの稚魚224匹と、体長35cmのクエタマ53匹を収容して開始した陸上養殖。

明大発スタートアップ ヒトへの臓器移植用ブタ誕生

明治大学発スタートアップのポル・メド・テック(所在地:神奈川県川崎市)などのグループは2月13日、ヒトに臓器移植する「異種移植」を想定した3頭のブタが11日に誕生したと発表した。これは米バイオテクノロジー企業のイージェネシスがゲノム編集技術で開発したブタの細胞の提供を受け、同社がクローン技術を使って生産したもの。
このブタは臓器移植しても免疫による拒絶反応が起きにくいように、ブタの遺伝子を改変済みという。ポル・メド・テックグループは動物で安全を確認して、2025年度にも臨床試験の開始を目指す。ヒトへの臓器移植を想定したブタが国内で生まれたのは初めて。

TOPPAN 米IBMと2ナノ半導体の回路原版を共同開発

TOPPANホールディングス(本社:東京都文京区)のグループ会社、トッパンフォトマスク(所在地:東京都港区)は2月7日、米IBM(本社:米国・ニューヨーク州)と半導体のウエハーに回路を焼き付ける際に使う原版「フォトマスク」で、最先端の回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)向けの製品の共同開発契約を締結したと発表した。これに基づき2024年2月から5年間、アルバニー・ナノテク・コンプレックス(所在地:米国・ニューヨーク州)とトッパンフォトマスクの朝霞工場(所在地:埼玉県新座市)で開発を進める。2026年の量産開始を目指す。

NTTデータザム 製造業向け大型金属3Dプリンター販売へ

NTTデータザムテクノロジーズ(本社:東京都港区)は1月24日、製造業向けの大型金属3Dプリンター、AMCM M 8Kを2024年内に販売開始すると発表した。これはs世界最大クラス、800✕800✕1,200mmサイズの部品の造形を狩野とするだけでなく、1KWレーザー8本搭載することで造形時間を短縮し、生産性を劇的に向上させる。また、顧客ごとの用途に適した造形可能サイズや光学系を自由に組み合わせることが可能で、ニーズに合わせたカスタマイズ装置を活用することでユーザーは市場での競争力を高められるという。

農研機構など 水田用自動抑草ロボの抑草効果を実証

農研機構、有機米デザイン、東京農工大、井関農機は1月23日、全国36カ所で行った水田用自動抑草ロボット「アイガモロボ」の抑草効果を確認する実証実験の結果を発表した。雑草の発生量が水稲の収量に影響を及ぼさない程度に抑えられることを確認した。また、アイガモロボの導入により、導入しない場合と比べて収量は平均10%増加し、機械除草の回数が58%減少、水稲有機栽培における省力的な雑草除去技術としての活用が期待される。

日機装 eVTOL用CFRP部品をJoby Aviationへ初出荷

日機装(本社:東京都渋谷区)は1月22日、連結子会社の宮崎日機装が運営する宮崎工場から米国のJoby Aviation社(以下、Joby社)へ、eVTOL(電動垂直離着陸機=空飛ぶクルマ)に使用される部品を初出荷したと発表した。Joby社は2025年のeVTOLの商業運航の開始を予定している。
日機装は2021年にJoby社が開発を進めているeVTOLの構成部品のサプライヤーに選出され、技術交流を重ね、出荷に向け準備を進めてきた。今回初出荷した部品はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製の構造部品。
日機装は、世界シェアが9割を超えるジェットエンジン用ナセル部品「カスケード」を中心に、CFRP製の航空部品を40年以上にわたって設計、量産している。

大成建設・カネカ 建材一体型太陽光発電パネルを開発

大成建設とカネカは、建材一体型太陽光発電パネルを「T-Green(R) Multi Solar」を共同開発した。太陽電池を世界で初めてLow-Eペアガラスに挟み込むことで、外装そのものが発電システムとなるのが最大と特徴。
オフィスビルの外装や住宅のバルコニーなど様々な規模の新築、リニューアルに採用できる。また、建物単体で自立した電源を有するため停電時の備えとなり、街全体のレジリエンスも高まる安心に発電システムだ。

スズキ SkyDriveに追加出資 24年春 空飛ぶクルマ製造開始

スズキ(本社:静岡県浜松市)は1月10日、SkyDrive(本社:愛知県豊田市)が実施した第三者割当増資を通じて2023年12月に追加出資したと発表した。今回の資本業務提携強化を背景に、これまでの試作機の改良段階を経て、いよいよSkyDriveは2024年春ごろ「空飛ぶクルマ」の実機「SKYDRIVE(SD-05型)」の製造開始を目指している。
スズキは2022年3月にSkyDriveと空飛ぶクルマの事業・技術提携に関する協定を締結し、同年9月に出資した。そして2023年10月にスズキグループが静岡県磐田市に保有する工場を活用し、空飛ぶクルマの製造協力契約を締結していた。

鹿島 牛のげっぷ中のメタンガス抑制へ海藻の量産培養手法

ゼネコン大手の鹿島(本社:東京都港区)は1月9日、牛のげっぷに含まれるメタンガス排出量低減に寄与する海藻「カギケノリ」の量産培養手法を開発したと発表した。メタンガスはCO2に次いで地球温暖化の原因となっている気体。カギケノリは牛などの反すう動物の餌(えさ)に混ぜることで、胃の中で発生するメタンガスを抑制する効果を持つ海藻。
今回同社は鹿島技術研究所の葉山水域環境実験場(所在地:神奈川県三浦郡葉山町)で、これまでの海洋環境保全の研究で蓄積したノウハウを基に、カギケノリの形状を自然に近い形態である直立形状から球状に変えることで、人の管理のもと陸上の水槽で安定的に量産できる技術を確立した。

ソニー・ホンダ マイクロソフトと提携 EVに生成AI搭載

ソニーグループとホンダの共同出資会社、ソニー・ホンダモビリティは1月8日、生成AIを使った対話型システムの開発で米マイクロソフトと提携すると発表した。ソニー・ホンダが開発中の電気自動車(EV)「AFEELA(アフィーラ)」に搭載する。
米ラスベガスで9日から開幕するテクノロジー見本市「CES」を控え、ソニーグループが開いた事前会見で明らかにした。先進運転支援システム(ADAS)にAIを活用することも公表した。

12社が「自動車用先端SoC技術研究組合」設立 技術結集

自動車メーカー・電装部品メーカー・半導体関連企業12社は12月28日、高性能デジタル半導体(System on Chip、以下、SoC)の車載化研究開発を行う「自動車用先端SoC技術研究組合」(本部所在地:名古屋市西区、Advanced SoC Research for Automotive、以下、ASRA)を12月1日に設立したと発表した。今後、チップレット技術を適用した自動車用SoCを研究開発し、2030年以降の量産車へ搭載することを目指す。
参画企業はSUBARU、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、マツダ、デンソー、パナソニックオートモーティブシステムズ、ソシオネクスト、日本ケイデンス・デザイン・システムズ、日本シノプス、ミライズテクノロジーズ、ルネサスエレクトロニクスの12社。
日本国内の自動車・電装部品・半導体の技術力と経験知を結集し、世界に先駆けた技術研究集団として国内外・産官学の連携をともに進め」ていく。

JX石油開発 NEDOと地下水素製造技術実証で委託契約

JX石油開発(本社:東京都千代田区)は12月26日、同社の地下水素製造技術に関する取り組みが、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募する「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業」の実証要件適合性等調査に採択され、調査委託契約を締結したと発表した。これは、枯渇油田に取り残された炭化水素を原料として地中の化学反応で水素を製造する一方、同時に副生されてしまうCO2の多くをそのまま地中に留めることで、クリーンな水素を回収するという新たな水素製造方法がNEDOの国際実証事業として成立し得るかを検証するもの。

IHI 天然ガス熱分解による水素製造試作機での実験開始

IHIは12月25日、横浜事業所で12月から天然ガス熱分解による水素製造試作機の実験を開始すると発表した。水素製造量10kg/日相当の運用を開始し、商用化に向けた様々な基礎データの取得を始める。
この水素製造技術は、天然ガスを加熱し水素と固体の炭素に分解する技術。従来の水蒸気改質による水素製造技術に比べ、単位当たりの水素を生成するために必要なエネルギーが約4割削減できるという。また、炭素は90%以上を固体で回収されるため、CO2排出量の大幅な削減が期待される。触媒には鉄鉱石を使用し、鉄鉱石のハンドリングにはIHIが長年保有してきた流動層技術を活用することで、最大100トン/日の水素製造を目指す。

シスメックス スタートアップiPS企業を子会社化

シスメックスは12月21日、京都大学発のスタートアップのメガカリオン(所在地:京都市)を連結子会社化したと発表した。メガカリオンはヒトのiPS細胞から血小板を生産する技術を持つ。シスメックスなどば2017年にメガカリオンに出資し、直近の出資比率は0.9%だった。今回、12月20日付で株式を追加取得し80.9%まで引き上げた。出資額は非公表。
シスメックスは高品質かつ安全性の高いiPS細胞由来の血小板製剤の事業化を加速する。今後、製造工程を自動化するシステムの開発などを共同で推進し、再生細胞医療の確立を目指す。

ノーリツ 水素100%燃焼の家庭用給湯器開発 切り替え可

湯まわり設備メーカー、ノーリツ(本社:神戸市)は12月14日、燃焼した際にCO2を排出しない水素100%を燃料とし、安全に安定した出湯が可能な家庭用給湯器を開発したと発表した。2025年以降の実用化を見据え、現行の家庭用給湯器の最大能力24号に対応。導入時のインフラを考慮し、従来ガスから水素への切り替えも可能としている。

日本郵船 JERA, レゾナックと燃料アンモニア船舶で協働

日本郵船(本社:東京都千代田区)は12月13日、船舶のゼロエミッション化を目指し、世界初となる燃料アンモニアの船舶供給で、JERA(本社:東京都中央区)およびレゾナック(本社:東京都港区)と共同検討することで契約を締結したと発表した。現在アンモニア燃料エンジンを搭載した船舶へアンモニアを補給した事例はなく、この共同検討によって海運分野における燃料アンモニアの普及促進が期待される。

コマツとGM ダンプトラック向け水素燃料電池を共同開発

コマツ(本社:東京都港区)とゼネラル・モーターズ(GM、所在地:米国ミシガン州)は12月13日、コマツの大型ダンプトラック930E向け水素燃料電池モジュールを共同開発することで契約締結したと発表した。両社は2020年代中ごろに米国アリゾナ州にあるコマツのアリゾナ試験場でGMのハイドロテック水素燃料電池を搭載したプロトタイプの試験を計画している。このプロトタイプは2メガワット以上のハイドロテック水素燃料電池を搭載する予定。

空飛ぶクルマ 万博での商用運航へ有人でテストフライト

2025年の大阪・関西万博での国内初の商用運航を目指している「空飛ぶクルマ」の有人飛行によるテストフライトが、大阪市此花区の万博会場に近いヘリポートで12月11日、行われた。このテストフライトには、経済産業省と万博で運航を予定する日本航空などが参加。ドイツ製の試験用の機体にパイロットを乗せて実際に操縦する形で行われた。
試験機はプロペラを回し始めてゆっくりと浮かび上がりおよそ30mの高さまで上昇。そして上空をおよそ500四方で旋回した後、再び元の場所まで戻って着陸した。
万博では①全日空ホールディングスと米ジョビー・アビエーション②日本航空とドイツのホロコプター③丸紅と英国バーティカル・エアロスペース④スカイドライブ(自社開発)ーの4事業者グループが空飛ぶクルマを運航する予定。ただ、機体の安全性についての基準などが現在も定まっておらず、目標とする商用運航に向けて多くの課題が残されている。