スズキ SkyDriveに追加出資 24年春 空飛ぶクルマ製造開始

スズキ(本社:静岡県浜松市)は1月10日、SkyDrive(本社:愛知県豊田市)が実施した第三者割当増資を通じて2023年12月に追加出資したと発表した。今回の資本業務提携強化を背景に、これまでの試作機の改良段階を経て、いよいよSkyDriveは2024年春ごろ「空飛ぶクルマ」の実機「SKYDRIVE(SD-05型)」の製造開始を目指している。
スズキは2022年3月にSkyDriveと空飛ぶクルマの事業・技術提携に関する協定を締結し、同年9月に出資した。そして2023年10月にスズキグループが静岡県磐田市に保有する工場を活用し、空飛ぶクルマの製造協力契約を締結していた。

鹿島 牛のげっぷ中のメタンガス抑制へ海藻の量産培養手法

ゼネコン大手の鹿島(本社:東京都港区)は1月9日、牛のげっぷに含まれるメタンガス排出量低減に寄与する海藻「カギケノリ」の量産培養手法を開発したと発表した。メタンガスはCO2に次いで地球温暖化の原因となっている気体。カギケノリは牛などの反すう動物の餌(えさ)に混ぜることで、胃の中で発生するメタンガスを抑制する効果を持つ海藻。
今回同社は鹿島技術研究所の葉山水域環境実験場(所在地:神奈川県三浦郡葉山町)で、これまでの海洋環境保全の研究で蓄積したノウハウを基に、カギケノリの形状を自然に近い形態である直立形状から球状に変えることで、人の管理のもと陸上の水槽で安定的に量産できる技術を確立した。

ソニー・ホンダ マイクロソフトと提携 EVに生成AI搭載

ソニーグループとホンダの共同出資会社、ソニー・ホンダモビリティは1月8日、生成AIを使った対話型システムの開発で米マイクロソフトと提携すると発表した。ソニー・ホンダが開発中の電気自動車(EV)「AFEELA(アフィーラ)」に搭載する。
米ラスベガスで9日から開幕するテクノロジー見本市「CES」を控え、ソニーグループが開いた事前会見で明らかにした。先進運転支援システム(ADAS)にAIを活用することも公表した。

12社が「自動車用先端SoC技術研究組合」設立 技術結集

自動車メーカー・電装部品メーカー・半導体関連企業12社は12月28日、高性能デジタル半導体(System on Chip、以下、SoC)の車載化研究開発を行う「自動車用先端SoC技術研究組合」(本部所在地:名古屋市西区、Advanced SoC Research for Automotive、以下、ASRA)を12月1日に設立したと発表した。今後、チップレット技術を適用した自動車用SoCを研究開発し、2030年以降の量産車へ搭載することを目指す。
参画企業はSUBARU、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、マツダ、デンソー、パナソニックオートモーティブシステムズ、ソシオネクスト、日本ケイデンス・デザイン・システムズ、日本シノプス、ミライズテクノロジーズ、ルネサスエレクトロニクスの12社。
日本国内の自動車・電装部品・半導体の技術力と経験知を結集し、世界に先駆けた技術研究集団として国内外・産官学の連携をともに進め」ていく。

JX石油開発 NEDOと地下水素製造技術実証で委託契約

JX石油開発(本社:東京都千代田区)は12月26日、同社の地下水素製造技術に関する取り組みが、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募する「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業」の実証要件適合性等調査に採択され、調査委託契約を締結したと発表した。これは、枯渇油田に取り残された炭化水素を原料として地中の化学反応で水素を製造する一方、同時に副生されてしまうCO2の多くをそのまま地中に留めることで、クリーンな水素を回収するという新たな水素製造方法がNEDOの国際実証事業として成立し得るかを検証するもの。

IHI 天然ガス熱分解による水素製造試作機での実験開始

IHIは12月25日、横浜事業所で12月から天然ガス熱分解による水素製造試作機の実験を開始すると発表した。水素製造量10kg/日相当の運用を開始し、商用化に向けた様々な基礎データの取得を始める。
この水素製造技術は、天然ガスを加熱し水素と固体の炭素に分解する技術。従来の水蒸気改質による水素製造技術に比べ、単位当たりの水素を生成するために必要なエネルギーが約4割削減できるという。また、炭素は90%以上を固体で回収されるため、CO2排出量の大幅な削減が期待される。触媒には鉄鉱石を使用し、鉄鉱石のハンドリングにはIHIが長年保有してきた流動層技術を活用することで、最大100トン/日の水素製造を目指す。

シスメックス スタートアップiPS企業を子会社化

シスメックスは12月21日、京都大学発のスタートアップのメガカリオン(所在地:京都市)を連結子会社化したと発表した。メガカリオンはヒトのiPS細胞から血小板を生産する技術を持つ。シスメックスなどば2017年にメガカリオンに出資し、直近の出資比率は0.9%だった。今回、12月20日付で株式を追加取得し80.9%まで引き上げた。出資額は非公表。
シスメックスは高品質かつ安全性の高いiPS細胞由来の血小板製剤の事業化を加速する。今後、製造工程を自動化するシステムの開発などを共同で推進し、再生細胞医療の確立を目指す。

ノーリツ 水素100%燃焼の家庭用給湯器開発 切り替え可

湯まわり設備メーカー、ノーリツ(本社:神戸市)は12月14日、燃焼した際にCO2を排出しない水素100%を燃料とし、安全に安定した出湯が可能な家庭用給湯器を開発したと発表した。2025年以降の実用化を見据え、現行の家庭用給湯器の最大能力24号に対応。導入時のインフラを考慮し、従来ガスから水素への切り替えも可能としている。

日本郵船 JERA, レゾナックと燃料アンモニア船舶で協働

日本郵船(本社:東京都千代田区)は12月13日、船舶のゼロエミッション化を目指し、世界初となる燃料アンモニアの船舶供給で、JERA(本社:東京都中央区)およびレゾナック(本社:東京都港区)と共同検討することで契約を締結したと発表した。現在アンモニア燃料エンジンを搭載した船舶へアンモニアを補給した事例はなく、この共同検討によって海運分野における燃料アンモニアの普及促進が期待される。

コマツとGM ダンプトラック向け水素燃料電池を共同開発

コマツ(本社:東京都港区)とゼネラル・モーターズ(GM、所在地:米国ミシガン州)は12月13日、コマツの大型ダンプトラック930E向け水素燃料電池モジュールを共同開発することで契約締結したと発表した。両社は2020年代中ごろに米国アリゾナ州にあるコマツのアリゾナ試験場でGMのハイドロテック水素燃料電池を搭載したプロトタイプの試験を計画している。このプロトタイプは2メガワット以上のハイドロテック水素燃料電池を搭載する予定。

空飛ぶクルマ 万博での商用運航へ有人でテストフライト

2025年の大阪・関西万博での国内初の商用運航を目指している「空飛ぶクルマ」の有人飛行によるテストフライトが、大阪市此花区の万博会場に近いヘリポートで12月11日、行われた。このテストフライトには、経済産業省と万博で運航を予定する日本航空などが参加。ドイツ製の試験用の機体にパイロットを乗せて実際に操縦する形で行われた。
試験機はプロペラを回し始めてゆっくりと浮かび上がりおよそ30mの高さまで上昇。そして上空をおよそ500四方で旋回した後、再び元の場所まで戻って着陸した。
万博では①全日空ホールディングスと米ジョビー・アビエーション②日本航空とドイツのホロコプター③丸紅と英国バーティカル・エアロスペース④スカイドライブ(自社開発)ーの4事業者グループが空飛ぶクルマを運航する予定。ただ、機体の安全性についての基準などが現在も定まっておらず、目標とする商用運航に向けて多くの課題が残されている。

KDDI 国内初 基地局に「曲がる太陽電池」24年2月から実証実験

KDDI(本社:東京都千代田区)は12月6日、KDDI総合研究所(所在地:埼玉県ふじみ野市)、エネコートテクノロジーズ(所在地:京都府久世郡久御山町)とともに、国内で初めて薄くて曲がる次世代太陽電池、ペロブスカイト太陽電池を基地局に設置する実証実験を始めると発表した。2024年2月から最大1年間、群馬県大泉町で実施する。太陽電池を設置しづらい電柱型の基地局にポールを付けて巻き付ける。実証実験はペロブスカイト型、CIGS型の2種類の次世代太陽電池を使う。発電効率や耐久性を確かめ、曲がる太陽電池を使った省エネ基地局の全国展開を目指す。

東レ フッ素系「PFAS」使わず水をはじく衣料用新素材開発

東レは11月30日、環境への影響が指摘される有機フッ素化合物の「PFAS(ピーファス)」を使わずに、水をはじく機能を持つ衣料品向け新素材「デューエイト」を開発したと発表した。これは太い繊維に細い繊維を絡ませて紡いだ糸を使った、表面に微細な凹凸構造がある生地。ハスの葉やチョウの羽などの表面の構造を参考にしたもので、水滴が付着しても生地表面の凹凸の間に空気の層ができ、表面を水滴が転がり落ちる仕組みだ。
今回、原料にはポリエステルを使用したが、将来的にはナイロンでの使用もあり得るという。国内外向けを合わせ2025年度に20万㎡、2027年度に50万㎡を販売する計画。用途は男性、女性用上着、ズボンが主体。生地価格は中高級価格帯を想定。

東芝 コバルト不使用のリチウムイオン新型電池 28年実用化めざす

東芝は11月28日、レアメタルの一種、コバルトを含まない5ボルト級高電位正極材を使った新たなリチウムイオン電池を開発したと発表した。新型電池は5分間で80%充電できるという。2028年の実用化を目指す。電動工具など小型から始め、将来的には車載用途への展開を目指す。

厚労省 第一三共の新型コロナワクチン承認 国産初の実用化

厚生労働省の専門部会は11月27日、第一三共が開発したメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの承認を了承した。承認されたのは第一三共が開発したオミクロン型派生型「XBB1.5」対応ワクチン。厚労省と第一三共はすでに140万回分のワクチン購入で合意している。今後、厚労相による正式承認を経て、12月上旬にも医療機関への配送が始まり、現在実施中の接種での仕様を予定している。これにより、国産では初となる新型コロナウイルスワクチンが使用されることになる。

沖縄に自然体験型テーマパーク「JUNGLIA」25年開業目指す

刀(本社:大阪市)と同社が筆頭株主であるジャパンエンターテイメント(本社:沖縄県名護市)は11月27日、沖縄北部テーマパークプロジェクトについて、そのコンセプトとブランド名およびロゴを発表した。コンセプトは「Power Vacance!!(パワーバカンス)」、名称は「JUBGLIA(ジャングリア)」。アジアの富裕層に照準を置き、2025年の開業を目指す。
神秘と生命力に満ちた広大な世界自然遺産「やんばる」の地で、都会にはない興奮と贅沢を満喫、体感してもらうーとしている。

大阪ガス 脱炭素化へメタネーション研究開発拠点建設・起工式

大阪ガス(本社:大阪市中央区)は11月10日、都市ガスの脱炭素化に向けてメタネーション(CO2と水素を合成して都市ガスの主原料となるメタンを製造する)技術の開発を進める大阪・此花区の新たな研究開発拠点の起工式を行った。同地の酉島地区におよそ20万㎡の敷地に地上4階建ての研究棟や実証実験のための施設が建設される予定で、2025年の完成を見込む。起工式には幹部らおよそ30人が参加し、工事の無事を祈った。

大林組とトヨタ CFRP廃棄物をコンクリート材に再生技術を開発

大林組とトヨタ自動車は11月9日、共同で燃料電池車「MIRAI」の水素タンクに使用される炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の端材を、コンクリート補強用短繊維として再生利用する新たな技術「リカボクリート(TM)工法」を開発し、トヨタ明知工場内の部品置き場床面に初適用したと発表した。
リカボクリート工法の特長は①独自の熱加工により、CFRP端材表面からCFRPを剥がす技術を確立した②再生加工したコンクリート補強用短繊維は、同じ目的で従来使われてきたポリプロピレン短繊維の3分の2の添加量で同等以上の圧縮強度や曲げ靭性を発揮する③新品の炭素繊維と比べてCO2排出量を15分の1に低減できる。これにより、CFRPの廃棄物を削減し、循環型経済の推進に貢献する。

慈恵医科大, 横浜市立大など 光免疫療法の戦略手法を確立

東京慈恵会医科大学、横浜市立大学、米国国立がん研究所らの研究グループは11月6日、光免疫抗体を用いることで、生物種や薬剤耐性に関係なく様々な標的を選んで破壊、除去できる光免疫治療戦略の基準となる手法を確立したと発表した。
光免疫療法はウイルス、細菌・細胞といった標的に光免疫抗体を結合させ光を当てることで、標的のみを破壊、除去できるが、この研究では標的に結合する抗体(モノクローナル抗体)と、近赤外光に反応するプローブが結合した光免疫抗体を用いることにより、多種多様な細胞や微生物を光免疫療法の対象とする手法を確立した。

日米欧など28カ国、企業が「AI安全サミット」初の国際会議

急速に進化する人工知能(AI)の安全性を議論する国際会議「AI安全サミット」が11月1、2日、英国・ロンドン近郊で開かれた。同会議には世界の日米欧など28カ国やイーロン・マスク氏など企業経営者らおよそ150人が参加した。スナク英首相は記者会見で「新たなAIモデルの安全性評価で同志国や企業が協力する」と述べた。