医薬品メーカーの興和(本社:名古屋市)はこのほど、ミノムシが吐く糸を使った繊維を世界で初めて製品化したと発表した。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と組み合わせて強度を高め、スポーツ用品や自動車や航空機ののボディなどでの活用展開を目指す。
ミノムシが吐く糸はクモの糸を上回り、自然界で最も強度が高いとされる。同社は2017年から農業・食品産業技術総合研究機構と共同研究を続け、実用化を検討してきた。今回、人工飼育のミノムシに糸を吐かせ、シート状の繊維製品をつくる手法を確立。シートをCFRPに貼り合わせることで、より衝撃に強く、壊れにくくなる。
荏原 ロケット 電動ターボポンプで極低温流体試験に成功
荏原製作所(本社:東京都大田区)は11月8日、2022年から開発を進めているロケットエンジン用電動ターボポンプで、2024年9月にに実施した液体窒素による性能試験に成功したと発表した。今回、試験を実施した電動ターボポンプは、ロケットエンジンに液体メタンを燃料として供給することを想定。試験は9月6〜13日、宮城県のJAXA角田宇宙センター内の極低温ターボポンプ試験設備で実施された。
実際のロケットエンジンの燃料と同様に極めて低い温度の液体窒素(−196℃)を作動流体として使うことで、低温環境独特の課題に対する設計・製造条件を確認した。この試験の成功は荏原が目指す宇宙への低コストで自由度の高い輸送手段の確立に向けた大きな第一歩としている。
光量子計算機 年内稼働へ 国内初 室温で高速度 理研,NTTなど
理化学研究所とNTTなどのチームは、次世代の計算機「光量子コンピューター」を年内にも稼働させると発表した。国内では初めて。
量子コンピューターは、ミクロの世界に特有な物理法則「量子力学」を利用して計算を行う。日本では昨年、理研や富士通、大阪大学などが相次いで国産の量子コンピューターを稼働させている。ただ、いずれも計算を実現させる素子「量子ビット」に超伝導回路を使う方式で、極低温の冷凍機内で稼働させる必要があった。
今回の光量子コンピューターは室温で稼働可能で、消費電力を抑えることができ、「光」を使うため計算速度が速く、高度な計算処理ができるという。インターネットのクラウドを介して、共同研究を行う大学や研究機関の研究者が利用できるとしている。
川崎重工 水素3割混焼の大型発電エンジン安定運転に成功
川崎重工業は10月29日、工場内に電力を供給する大型ガスエンジンの燃料に、燃やしても二酸化炭素(CO2)を排出しない水素を3割混焼して安定的に発電することに成功した大型発電エンジンを公開した。
同社の神戸市の自社工場の設備は、燃料の3割を都市ガスから水素に置き換えて発電することができる。担当者が制御室で操作すると3分ほどで全燃料に占める水素が3割まで上昇。大型混焼発電エンジンの安定運転を実証した。
工場の建物の横に都市ガスと水素を混ぜる設備を設置したほか、着火しやすい特性のある水素が漏れた場合に、いち早く検出できるよう検知器を設置している。
同社のよると、水素を3割混ぜることで都市ガスだけの場合に比べて、年間のCO2排出量を420世帯分に相当するおよそ1,150削減できるとしている。
岩谷産業 国内初の旅客用水素燃料電池船「まほろば」完成
トヨタ, 岩谷産業 液体水素を車に充填 既存インフラで初実証
中国のCATL 航続距離最長400kmのPHV向け新型電池を発表
ノーリツ 豪州で水素100%燃焼家庭用給湯器の実証実験
ノーリツ「(本社:神戸市)は10月22日、グループ会社のDux Manufacturing Ltd(所在地:オーストラリア、以下、Dux)が、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みをを加速させるため、西オーストラリアを中心としたエネルギーインフラ会社、ATCO Gas Australia Pty Ltd(以下、ATCO)と共同で、2024年12月から水素100%燃焼の家庭用給湯器の実証実験を開始すると発表した。
ノーリツ、Dux、ATCOの3社は協定書を締結。ノーリツが開発した水素100%燃焼の家庭用給湯器をATCOの水素住宅に導入し、2024年12月から約2年間、日常生活での稼働状況を検証する。Duxは実験中の機器メンテナンスを担う。
アステラス 英バイオ企業から認知症治療薬の開発権取得
トヨタ eVTOL開発の米ジョビー社に5億㌦追加出資
第一工業製薬 広島大と共同研究でCNF複合磁性粒子を開発
千代田化工 植物による有用タンパク質の量産技術開発へ
万博”空飛ぶクルマ” 全事業者が商用運航見送り, デモ飛行のみ
ペロブスカイト太陽電池 量産化へ導入補助 政府が普及促進策
政府が次世代の太陽光発電の切り札と位置付けるペロブスカイト太陽電池について、今秋にもまとめる普及促進策の骨子案が判明した。ペロブスカイトの導入費用を補助する支援策を盛り込むのが柱。政府の後押しで需要をつくり出すことでメーカーの量産化を促し、価格低下を図る。
骨子案では「官民で連携して量産技術の確立、生産体制の整備、需要創出を三位一体で進める」としたうえで「早期に国内市場の立ち上げを進める」と明記。補助制度で太陽光パネルとの価格差を埋め、国内市場を育成する。
ペロブスカイトは2009年に日本で最初に開発された技術で、軽量で薄く、曲げられるのが特徴。このため、ビルの壁や車の屋根のほか、強度の低い木造の屋根や倉庫などにも設置でき、開発の余地が大きい。ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を持つ化合物を発電層に使う。この主要原料のヨウ素は日本が世界生産量の約3割を占める、強みを持つ。
大阪メトロ「空飛ぶクルマ」SkyDriveと資本業務提携
スペースワン 小型ロケット2号機の12月打ち上げを発表
宇宙スタートアップのスペースワン(所在地:東京都港区)は8月25日、小型ロケット「ヵイロス」の2号機を12月に打ち上げると発表した。初号機と同様、和歌山県串本町に整備したロケット射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。2号機は5つの人工衛星を搭載する。具体的な打ち上げ日程は現時点では未定。2号機で再び宇宙軌道への人工衛星の投入を目指す。
同社の豊田正和社長は、同射場で3月に行った初号機の打ち上げ失敗の原因について、燃焼させてロケットの推進力とする”推進薬”の燃焼速度の計測過程で問題があり、実際よりも高く推進力が出ると予想していたことを、その一つに挙げた。
スペースワンにはキャノン電子、IHIエアロスペース、清水建設などが出資している。
日本電気硝子 耐熱仕様の全固体NIB二次電池サンプル出荷
竹中工務店 25年万博会場内に「森になる建築」8月に着工
竹中工務店(本社:大阪市中央区)は7月26日、「Seeds PaperPavilion(シーズペーパーパビリオン)」を、未来社会ショーケース事業出展(グリーン万博)の「森になる建築」として25年大阪・関西万博の会期中(2025年4月13〜10月13日)の来場者が休憩等に使うことができる仮設建築物として会場内に施設提供すると発表した。この建築物は8月に着工後、現地で3Dプリントを行い、2025年4月の完成を予定している。
Seeds PaperPavilionは、2020年ぁら2021年にかけて同社グループ従業員を対象に実施した「竹中グループが提案する25年万博パビリオンに関するアイデア」提案コンペで最優秀賞の選定されたもの。使い終わると廃棄物になる建築ではなく、みんなでつくる建築が種となり、使い終わったら森になるという未来の建築を描いた提案。最先端の3Dプリント技術と手づくりを融合させてつくる建築。すでに2023年5月より千葉県印西市の竹中技術研究所で大型3Dプリンターでの試驗を開始。今年4月に実物サイズの出力試驗に成功している。