鹿島 環境配慮型コンクリートの採用で施工時のCO2排出量削減

鹿島(本社:東京都港区)は7月4日、グループ社員用の実務体験型研修施設「鹿島テクニカルセンター」(所在地:横浜市鶴見区)の建設にあたり、自社開発した2種類の環境配慮型コンクリートを採用し、建設時におけるCO2排出量を約31トン削減したと発表した。これは高さ20mの杉の木2,200本が1年間に吸収する量に相当するという。
採用したコンクリートは、戻りコンを原料として再利用した「エコクリート(R)R3」(アールスリー)と、製造時にCO2を吸収・固定する「CO2-SUICOM(R)」(シーオーツースイコム)。今回それぞれのコンクリートを新たな用途に採用したことで、環境配慮型コンクリートの実用化の幅が広がった。

三菱ケミカルG 沖縄市と連携し生分解性樹脂使用の紙コップ

三菱ケミカルグループは7月3日、沖縄市と連携し、同社グループの植物由来の生分解性樹脂「BioPBS(TM)」を使用した紙コップを起点とする資源循環型システムの実証実験を行うと発表した。
沖縄市は2023年8月25日より開催される「FIBAバスケットボール ワールドカップ2023」の開催地。大会PRを目的に沖縄市が製作した4万個のオリジナルデザインの紙コップの内側には、耐水性付与のためのBioPBS(TM)が使われている。
使用済みの紙コップは、琉球管理産業が回収・運搬し、共和化工と琉球大学が同大学内の堆肥化施設で牛糞と一緒に堆肥化を行う。堆肥は沖縄市内の緑化活動などに用いる計画で、この取り組みを通して沖縄市における資源循環型システムの実証を行う。

三井物産 マレーシアでペトロナス,仏トタールとCCS事業で連携

三井物産(本社:東京都千代田区)は6月27日、マレーシアの国営石油会社ペトロナスおよびフランスの総合エネルギー会社トタール・エナジーズのCCS事業会社、トタール・エナジーズ・カーボン・ニュートラリティ・ベンチャーズとの間で、マレーシアでのCO2貯留サイトの共同開発に関する契約を締結したと発表した。アジア太平洋地域でのCO2の回収および貯留(以下、CCS)、輸送を含むバリューチェーンを構築する。2030年ごろまでに同事業を開始することを目指す。日本、韓国、台湾の製鉄会社や製造業から排出されるCO2の受け入れを想定している。

シスメックス 微量の血液から脳内Aβの蓄積状態を測定する検査試薬

シスメックス(本社:神戸市)は6月22日、微量の血液からアルツハイマー病の原因となる脳内アミロイドベータ(Aβ)を測定する検査試薬を、6月から日本で発売すると発表した。この試薬は血液中のAβペプチドの比率を測定することで、アルツハイマー病の特徴の一つである脳内Aβの蓄積状態の把握を補助するもの。
日本における認知症患者数は、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人に相当する、675万〜730万人に達すると推計され、大きな社会課題となっている。

出光興産 次世代営農型太陽光発電 実証事業 営農・発電の両立追求

出光興産(本社:東京都千代田区)は6月21日、千葉県木更津市の圃場(水田)で、2023年6月に農業と再生可能エネルギー発電を両立する次世代営農型太陽光発電の実証を開始したと発表した。実証機関は2025年9月まで。発電出力は45KW。
この実証には太陽光を自動追尾して可動する架台と両面受光型の太陽光パネル(両面モジュール)を導入。太陽の動きに合わせて自動的に両面モジュールの向きを調整することにより、農作期にはパネル下で栽培する農作物への太陽光照射を優先する。これにより従来の営農型発電に比べ、「営農」と「発電」の両立を一層追求した事業モデル構築を目指す。

モスフードサービス バイオマスプラレジン用コメを本格生産へ

モスバーガーを展開するモスフードサービス(本社:東京都品川区)は6月20日、CO2削減の取り組みの一環として、国産非食用米由来のバイオマスプラスチックレジン用コメを熊本で本格的に生産開始すると発表した。
同社は2022年8月から、バイオマスプラスチック「ライスレジン(R)」を25%配合したテイクアウト用スプーン、フォークを導入。今回同用途で使用する非食用米の生産を、同社が出資する農地所有適格法人、モスファーム熊本(所在地:熊本県八代市)で本格的に開始することになった。今季の生産量は40トン程度の予定。これはモスバーガーが全店で使用する環境対応スプーン、フォーク1年分を賄うことができる量という。

JAPEXなどマレーシアCCSスタディと連携したバリューチェーン連携

石油資源開発(本社:東京都千代田区、以下、JAPEX)、日揮ホールディングス(本社:横浜市西区)、川崎汽船(本社:東京都千代田区)、JFEスチール(本社:東京都千代田区)は6月19日、マレーシア国営エネルギー会社、Petroliam Nasional Berhad(以下、ペトロナス)と進めているマレーシアにおけるCCS(二酸化炭素の回収・貯留)に係る共同スタディと連携した、日本を起点とするCCSバリューチェーン構築を目指す共同検討を実施することで合意し、既述4社による覚書を締結したと発表した。
4社は今後、JFEスチールの日本国内の製鉄所で排出するCO2の分離・回収、およびマレーシアまでの液化CO2の海上輸送と受け入れまでのCCSバリューチェーン構築について、必要な設備やコストなどを含めた検討を行っていく。

ニデック ブラジルEmbraerと空飛ぶクルマ部品事業で合弁

ニデック(本社:京都市南区、旧日本電産)は6月18日、米国子会社のニデックモータ(以下、NMC)がブラジル航空機メーカーのEmbraer S.A.(エンブラエル、以下、Embraer)と空飛ぶクルマの部品事業を手掛ける合弁会社を設立することで契約を締結したと発表した。
2025年大阪・関西万博を機に、大きな成長が期待される空飛ぶクルマの部品事業を収益の柱の一つに育てる。同合弁会社は6月19〜25日に開催される第54回パリ航空ショーで、空飛ぶクルマと呼ばれる電動垂直離着陸航空機(以下、eVTOL:イーブイトール)向けに製品およびサービスを提供し、Urban Air Mobility(以下、UAM)市場へ新規参入することを発表する。
なお、同新会社の電気駆動システムの最初の販売先はEmbraerの子会社、Eve Air Mobilityとなる。

JERA 脱炭素へ三井物産から混焼実証実験用アンモニアを調達

東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資するJERA(本社:東京都中央区)は6月16日、火力発電所の脱炭素に向け、三井物産との間で碧南火力発電所(所在地:愛知県碧南市)4号機で行うアンモニア混焼混焼実験用の燃料アンモニアの売買契約を締結したと発表した。
JERAおよびIHIは、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、碧南火力発電所で2021年度から、燃料アンモニアの大規模な混焼技術の確立に向けた実証実験に取り組んでいる。今回契約したのは同発電所4号機の2023年度末から開始する大規模混焼(熱量比20%)に向け、燃料となるアンモニアを調達したもの。

脳動脈瘤の発生にがん遺伝子の変異が関与 既存薬で治療法に道

理化学研究所や東京大学などは、脳の動脈が膨らんでこぶ状になる「脳動脈瘤(りゅう)」の発生に、がん関連遺伝子の変異が関わっていることを突き止めたと発表した。変異に伴う脳動脈瘤を腎臓がんの既存治療薬で抑えられることを動物実験で確認した。研究成果は6月15日、米科学誌「サイエンス」の姉妹誌に掲載された。
今回の成果により、開頭手術か血管内カテーテル治療しかない脳動脈瘤治療の現状に、薬物療法という第三の選択肢の可能性を開くことが期待される。

脱炭素へ次世代航空交通システムの試験飛行 米シアトルー成田で

国土交通省によると、飛行中のパイロットが地上の管制官などと相互にやり取りして、最適な経路を決め飛行する次世代の航空交通システムの試験飛行が初めて行われ6月12日、このシステム米国・シアトルを出発した便が成田に到着した。この試験飛行は11日から6日間かけて実施されている。
国交省によると、通常、飛行中の航空機が気象条件の変化などで経路を変更する場合、地上の管制官などの指示通り飛行するが、現場のパイロットが実際に遭遇している風速や風向きなどが加味されず、燃費や二酸化炭素(CO2)の排出量などで最適な経路を選べないという。今回の試験飛行はこうした現状を踏まえたもの。

経産省 脱炭素へCO2地下貯留 国内外の7事業を重点支援

経済産業省と独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は6月13日、火力発電所などから出る二酸化炭素(CO2)を回収して地下に貯留する技術について、国内外の計7プロジェクトを重点的に支援すると発表した。支援する事業は「CCS」と呼ばれ、国が掲げる2050年のカーボンニュートラル達成に必要とされる。
支援対象プロジェクトは、北海道電力、出光興産、ENEOSなどが進める国内5事業、マレーシア、オセアニア地域での海外輸送の2事業が選定された。政府は2030年までに年600万〜1,200万トンのCO2貯留を目標に掲げており、これら7事業の実現で年1,300万トン分が確保できるとみている。

日立「量子ビット」の効率制御で新手法 実用化を加速 

日立製作所は、ケタ違いの計算能力を持つ次世代コンピューターについて、その頭脳にあたる集積回路を構成する「量子ビット」を効率よく制御する新たな手法をを発表した。実用化に向けて開発を加速する方針。
量子ビットについて、場所を固定せずに移動させることで、構造をシンプルにできるほか、隣り合うことでできる起きるエラーを抑える仕組みになっていて、量子ビットの数が増えた場合も効率よく制御できるという。
量子コンピューターは、国内で理化学研究所が国産の初号機を開発し、今年3月にサービスを開始したほか、NECは東芝などでも開発を進めている。

日産自 次世代LiDAR技術活用の交差点事故回避技術を公開

日産自動車(本社:横浜市西区)は6月9日、次世代LiDAR(ライダー)を活用した運転支援技術を搭載した試作車による交差点事故回避技術を公開した。この技術により、信号や標識を見落とした車両が目の前に現れたときには、相手の位置や速度の変化を高い精度で計算し、必要なグレーキ操作を瞬時に判断して衝突を回避する。急ブレーキを作動させた後も、危険を回避し次第ブレーキを解除するなど、状況の変化に直ちに対応するという。

JERA,日本触媒,千代田化工 水素供給網構築でNEDOの事業に採択

JERA(本社:東京都中央区)、日本触媒化学(東京本社:東京都千代田区)、千代田化工建設(本社:横浜市西区)の3社は6月9日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」に採択されたと発表した。
この事業はアンモニアを水素エネルギーキャリアとして有効活用することを目的に3社の知見を合わせることで、既存の技術より競争力あるアンモニア分解技術の確立に向けて、アンモニアから水素を取り出すための触媒の開発を行うもので、2025年度までの約3年間にわたって実施する。

Skydio ドローンの遠隔操作による目視外飛行の許可取得

自律飛行技術によるグローバルリーダー、米国のドローンメーカーのSkydio(スカイディオ、本社:米国カリフォルニア州)は6月7日、国土交通省航空局より無人航空機の飛行「カテゴリーⅡ」で、「無人飛行機の飛行に関する許可・承認」を得たと発表した。同飛行許可取得は、Skydioが日本国内で展開するすべてのドローン機体と、その搭載ソフトウェア種類を対象とするもの。一部例外を除いた日本全国で、場所・時間を問わず、運用規模を広げて、遠隔操作による目視外飛行を柔軟に行うことを可能にする。Skydioは米国最大のドローンメーカーで、自動飛行技術のグローバルリーダー。

クボタ 東京農工大と営農型太陽光発電で3年間の共同研究開始

クボタ(本社:大阪市浪速区)は6月6日、東京農工大学と営農型太陽光発電設備下での、最適な作物の栽培方法の確立を目指した共同研究を開始したと発表した。両者の共同研究の実施期間は2023年1月〜2025年12月。東京農工大学敷地内、約25aで行う。栽培作物はブルーベリーほか。

シスメックス 網膜疾患の原因特定へ試薬 販売承認取得

血液検査機器大手のシスメックス(本社:神戸市中央区)は6月5日、医薬品医療機器総合機構(PMDA)から、眼の網膜の働きが損なわれて物が見えにくく鳴る「遺伝性網膜ジストロフィ」の原因遺伝子を特定する試薬や解析プログラムの製造販売承認を5月31日に取得したと発表した。
遺伝性網膜ジストロフィとは、遺伝性変異で網膜の機能に障害が生じる疾患の総称。代表的な病気には徐々に視野が失われる「網膜色素変性症」がある。

丸紅と富山地鉄 黒部市内路線バスで顔認証決済の実証実験

丸紅(本社:東京都千代田区)と富山地方鉄道(所在地:富山市、以下、富山地鉄)は6月1日、富山地鉄が運行する黒部市内路線バスの生地循環線で、顔認証技術とアプリ型プリペイドカードを連携させた顔認証決済の実証実験を同日開始したと発表した。期間は6月1日〜8月31日。
今回の実証実験を踏まえて、公共交通機関や利用者の手ぶらニーズが高い分野で顔認証決済の早期事業化を目指す。

安川電機 米Oishii社と資本業務提携し植物工場を完全自動化へ

安川電機(本社:福岡県北九州市)は5月31日、Oishii Farm Corporation(本社:米国ニュージャージー州、以下、Oishii社)と30日に資本業務提携したと発表した。
Oishii社は米国ニュージャージー州を拠点に、いちごを製造・販売するベンチャー企業。将来的にいちごの完全自動生産の実現を目指している。
今回の両社の資本業務提携で、Oishii社が今後建設予定の工場で行う全行程(播種・育苗〜収穫・検査〜箱詰め・出荷)の自動化の取り組みに対して、安川グループが持つロボットなどの製品およびソリューションを提供していく。