出光とJERA 伊勢湾地区で水素供給網構築を検討

出光興産とJERAは6月16日、伊勢湾地区における水素供給網構築していくことで覚書を締結したと発表した。
多くの産業が集積する伊勢湾特は将来、水素の大規模な受け入れ・供給拠点となるポテンシャルがある。同地区で事業を手掛ける両社が、水素のサプライチェーン構築に向け、拠点整備、輸送手段に関する技術および経済性の分析・供給ネットワークの構築で連携する。

大阪ガスとINPEX 豪2州で水素事業化調査に参画

大阪ガスとINPEX(旧・国際石油開発帝石)は6月17日、オーストラリアのエネルギー大手AGLエナジーが率いる南オーストラリア(SA)州およびニューサウスウェールズ(NSW)州におけるグリーン水素ハブ構想の事業化調査に参画すると発表した。
再生可能エネルギーを用いて水を電気分解することでグリーン水素を製造し、それぞれ同州内の事業者に供給するとともに、海外への輸出も目指している。また、グリーン水素を活用して、メタネーションにより製造される合成メタンおよびグリーンアンモニア製造についても検討する予定。

系統用蓄電池活用の太陽光発電の出力制御量低減へ3社が協働

NTTアノードエナジー(本社:東京都千代田区)、九州電力(本店:福岡市)、三菱商事(本社:東京都千代田区)の3社は6月10日、再生可能エネルギーのさらなる活用および導入促進に向けて、系統用蓄電池を活用して太陽光発電の出力制御量低減に貢献する共同事業の検討を開始したと発表した。
3社は、出力制御されている電力の有効活用による脱炭素の推進および、新たな調整力等創出による電力の安定供給に寄与するため、各社が持つ経営資源やノウハウ等を活用して共同で取り組むことに合意。その第一歩としてNTTアノードエナジーが九州内に設置する系統用蓄電池を活用して、事業立ち上げに向けた具体的検討を進める。

伊藤忠・INPEXなど 陸上輸送の燃料ビジネスで連携

伊藤忠商事(本社:東京都港区)、伊藤忠エネクス(本社:東京都千代田区)、INPEX(本社:東京都港区)、INPEXロジスティクス(本社:新潟県上越市)の4社は6月7日、再生可能資源由来燃料のリニューアブルディーゼル(以下、RD)の日本初となるタンクローリー車での使用に係る協業に着手したと発表した。
これによりINPEXロジスティクスは、伊藤忠商事が世界最大のリニューアブル燃料メーカーのNeste OY(本社:フィンランド)から調達し、伊藤忠エネクスが供給するRDを、北陸・甲信越地方で国産原油および石油製品の輸送を担う18台のタンクローリー車の燃料として使用する。同地域でのRDの使用並びにタンクローリー車でのRD使用は日本初となる。

コスモG 直営SSなど計603施設に再生エネ電力に切り替え

コスモ石油マーケティング(本社:東京都港区)は6月7日、100%子会社コスモ石油販売が運営する全国のサービスステーション(以下、SS)・車検場の計603施設で使用する電力を2022年5月で実質再生可能エネルギー由来の電力へ切り替えたと発表した。この計画を公表した2021年5月、3〜5年以内をめどに切り替えるとしていた当初計画を大幅に前倒し、約1年で完了した。

NTT ノキア、富士通、NECと初の6G実証実験

NTTとNTTドコモは6月6日、フィンランドの通信機器大手のノキア、富士通、NECの3社と協力して、早くも次世代の通信規格「6G」導入に向けた初の実証実験を始めると発表した。2030年ごろの実用化を見込み、技術面で先行したい考え。
6Gは、現在普及しつつある第5世代(5G)移動通信システムの次の通信規格。

シャープ 太陽電池で世界最高の変換効率32.65%達成

シャープ(本社:大阪府堺市)は6月6日、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「移動体用太陽電池の研究開発プロジェクト」で、実用サイズの軽量かつフレキシブルな太陽電池モジュールで世界最高の変換効率32.65%を達成したと発表した。これは同社が2016年にNEDOのプロジェクトで達成した世界記録31.17%を更新するもの。
試作した化合物3接合型太陽電池モジュールは、フィルムで太陽電池セルを挟んだ構造のため、軽量かつフレキシブルな特長を兼ね備えており、高効率化と軽量化が求められる様々な移動体への搭載が期待される。

三菱重工 インドネシアの既設火力向けアンモニア利用発電へ

三菱重工は6月3日、インドネシアにおける既設火力発電所の燃料としてアンモニアを導入することで、同国のエネルギー脱炭素化を支援する事業化調査(FS)に着手したと発表した。
経済産業省が公募するFS事業の令和4年度採択案件として、同社の2案件がこの程採択された。スララヤ石炭焚き発電所および同国内既設ガス焚き発電所が対象。いずれも同国で豊富に産出する石油・天然ガスの改質で得られるアンモニアについて製造・輸送・燃料消費およびCO2貯留にわたる一連のバリューチェーンの構築を視野に入れている。
スララヤ案件は三菱商事および日本工営と共同で取り組み、2030年ごろの運用開始を視野にプロジェクトを進める。既設ガス火力発電所案件は、東電設計と共同で2020年代後半の運用開始を視野にプロジェクトを進めていく。

TGES 都市ガス・LPガス切替え可能な小型防災用発電設備

東京ガスエンジニアリングソリューションズ(本社:東京都港区、以下、TGES)は6月2日、YGK通商(以下、YGK)と共同開発した都市ガス・LPガス切替え対応可能な小型防災用発電設機「G-Sketto(ジースケット)」の販売を開始したと発表した。
これは都市ガス仕様の小型防災用発電設備(出力3kVA)で、停電時も燃料切れの心配なく電気を使用することができる。また、新開発のマルチ燃料対応ミキサーを搭載しており、燃料バルブ操作のみでLPガスに切り替える事が可能。軽量コンパクトな設計のため、建物近傍の空きスペースや屋上に設置可能だ。避難所や公共施設、医療施設での照明、充電等の非常電源やコンビニ、飲食店、集合住宅等での給水ポンプや冷凍冷蔵庫等の用途での普及・拡大を目指す。

トヨタ 電動車用バッテリー技術活用の住宅用蓄電池発売

トヨタ自動車は6月2日、長年にわたる電動車の開発で培った高度な電池技術と、車載部品・ユニットを活用した住宅用蓄電池システム「おうち給電システム」を開発したと発表した。同日より同システムの先行予約を開始し、8月より住宅メーカーや総合施工会社を通じて、日本国内で販売する。
おうち給電システムは、トヨタの電池制御など電動車用バッテリーの技術を応用しており、8.7KWhの定格容量と5.5KWの定格出力を備え、平時だけでなく、災害などによる停電時にも家全体に電力を供給することができる。

日建設計と住友林業 木質梁とPC床版の「合成梁構法」

日建設計(本社:東京都千代田区)と住友林業(本社:東京都千代田区)は5月27日、のこぎり状に凹凸を付けた木質梁とRC床版(鉄筋コンクリートを用いた床版)を組み合わせた合成梁構法を共同開発したと発表した。
木とコンクリートの圧縮強度が近い特性を活かし、両者を強固に接合しロングスパンを実現する構法。梁せい(梁の高さ)を抑えられるため建物の階数増加にもにもつながり、オフィスや学校、病院などの中大規模木造建築の普及を推進する。

JR東日本・ENEOS 鉄道の脱炭素化へ水素燃料で連携

JR東日本とENEOSは5月25日、鉄道の脱炭素化に向け、水素を燃料とする電車の実用化および、水素の供給施設「水素ステーション」の共同開発を進めることで連携協定を締結したと発表した。両社は2030年までの社会実装を目指し、国内初となる水素ハイブリッド電車および同車両向け定置式水素ステーションの開発を連携して進めていく。同ステーションは、水素ハイブリッド電車をはじめ、多様なFCモビリティ(燃料電池車・FCバス・FCトラック等)や駅周辺施設へCO2フリー水素を供給する、総合水素ステーションとする。

これらの取り組みを実現させたいとしている。

三井化学 軟包材マテリアルリサイクル設備稼働

三井化学(本社:東京都港区)は5月26日、名古屋工場内に設置した、印刷されたフィルムからインキを除去し、再び軟包材フィルムに再生する軟包材マテリアルリサイクル設備の稼働を開始したと発表した。
同社は、循環型経済の実現に向けて廃プラ等の廃棄物を資源と捉え、再利用する取り組み「RePLAYER(R)」の一環として、軟包材のマテリアルリサイクルの実証試験「RePLAYER(R)-Renewable Plastics Layer System-」を進めている。
これは、コンバーターでの印刷前後の廃棄フィルムを回収し、インキを除去してペレット化し、もう一度軟包装フィルムに再生する仕組み。今回の設備稼働により、軟包装フィルムに適した再生材料の技術開発を加速し、今年度は廃棄フィルムの回収を一層拡大し、再生材料のサンプル供試を本格化する計画。

大林組とパナソニック 建設作業員の顔認証統合IDで実証

大林組(本社:東京都港区)と、パナソニックコネクト(本社:東京都中央区)は5月13日、共同で建設作業員への多様なサービス提供に向けた顔認証を活用した統合IDプラットフォームの構築に着手し、通勤時のシャトルバスへの乗降確認や入退場時のセキュリティチェックなどを想定した顔認証の実証実験を実施したと発表した。
今回の実証実験は2025年の大阪・関西万博に向けて、本格化する夢洲における建設工事を想定したもので、顔認証の確実性とスムーズさを実験した結果、サービスの提供による利便性や快適性が向上できることを確認した。
このプラットフォームに顔画像情報と本人情報をID連携することで、顔認証であらゆるサービスが利用できるようになる。

日揮と東洋エンジ 燃料用アンモニア工場を共同で建設

日揮ホールディングス(本社:横浜市西区)と東洋エンジニアリング(本社:千葉県習志野市)は4月27日、燃料用アンモニアの製造工場を共同で建設すると発表した。お互いの技術やノウハウを持ち寄り、事業の競争力に磨きをかける。まずはアンモニアの主要市場となる日本企業からの着実な受注を目指す。
プラント大手は案件ごとの協力は多いが、特定分野で全面的に協力するのは珍しい。
日本国内のアンモニア需要は発電向けなどに拡大することから、2030年に年間300万トン、2050年に3,000万トンへ増えるとの予測がある。

インドネシアのバイオメタン活用で4社が覚書

日揮ホールディングス(本社:横浜市西区)、大阪ガス(本社:大阪市中央区)、INPEX(本社:東京都港区)の3社と、インドネシア国営石油会社プルタミナ(本社:ジャカルタ)は4月25日、インドネシアにおけるパームオイルの搾油工程で生じる廃液(Palm Oil Mill Effluent、以下、POME)由来のバイオメタン活用に向けた共同調査に関する契約を締結したと発表した。
この事業はメタンガスを回収しバイオメタンとして利用することで、温室効果を持つメタンガスの大気放散を抑制し、カーボンニュートラル社会の実現を目指すもの。インドネシア・スマトラ島およびカリマンタン島で製造したPOME由来のバイオメタンをジャワ島などのインドネシア国内需要家に供給することを想定し、その実現可能性を調査する。化石燃料からバイオメタンへの燃料転換による需要家のスコープ1のCO2排出量を削減することを目標としている。

 

三菱パワー 欧州でボイラー燃料を石炭から天然ガスへ転換

三菱重工グループの欧州現地法人、三菱パワーヨーロッパは4月18日、欧州の製糖大手、ドイツのジュートツッカー社のオクセンフルト工場のボイラー燃料を石炭から天然ガスへ転換する工事の契約を締結したと発表した。
先進的な燃料転換ソリューションでクリーン・エネルギーを実現へ、天然ガスでCO2排出量を削減、ネットゼロ目標実現に向けたか時として採用。将来は100%水素への転換が可能な技術につなげる。
オクセンフルト工場では2022~2023年の製糖プロセス期間で石炭による熱電併給を終了、以後天然ガスに転換する。

パナソニック 純水素型燃料電池活用の実証施設を稼働

パナソニック(本社:東京都港区)は4月15日、純水素型燃料電池と太陽電池を組み合わせた自家発電により、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーでまかなう「RE100ソリューション」実証施設「H2 KIBOU FIELD」を2022年4月15日より稼働すると発表した。本格的に水素を活用する工場のRE100化は、世界初の試みとなる。
今回、滋賀県草津市の拠点に、5KW純水素型燃料電池99台(495KW)と太陽電池(約570KW)を組み合わせた自家発電設備、そして余剰電力を蓄えるリチウムイオン蓄電池(約1.1MWh)を備えた大規模な実証施設を設置した。ここで発電した電力で草津拠点内にある燃料電池工場の製造部門の全使用電力を賄うとともに、3電池連携による最適な電力需給運用に関する技術開発および検証を行う。

積水化学”ごみ” をエタノールに変換 実証プラント

積水化学、INCJ、積水バイオリファイナリーは4月11日、積水化学と米国ベンチャー、Lanza Tech NZ,Inc.(以下、ランザテック社)が共同開発した、微生物を活用して可燃性ごみをエタノールに変換する技術の実証事業の実施、技術検証および事業展開を行うことを目的として、岩手県久慈市で建設を進めていた10分の1スケールの実証プラントがこのほど竣工したと発表した。
実証プラントでは、BRエタノール技術の実用化・事業化に向けた最終段階の検証を行うため、スケールアップ時の技術検証、システム最適化、安定稼働の確認、事業性の確認などを行う計画。
同プラントの敷地面積は約2万5,000㎡、処理能力:一般廃棄物(可燃性ごみ)約20トン/日、製造量:エタノール1~2kL/日。

川崎重工 エアバスと水素航空機で連携 インフラ整備へ

川崎重工業(本社:東京都港区)と航空機大手、欧州のエアバス(本社:フランス・トゥルーズ)の日本法人は4月12日、水素を燃料とする航空機の商用化に向けて、水素の供給インフラの整備などで連携すると発表した。覚書を締結し、水素の生産から空港への輸送、航空機への補給まで、様々な段階における水素サプライチェーンのの構築を調査する。将来は水素航空機の開発を共同で進める可能性も示した。
空港の水素の供給網を整備し、航空機やトラックなど様々な交通インフラにも広げるためのノウハウを1年間に積み上げる。
川崎重工は2016年から取り組んできた水素の商用化に向けた技術実証をこのほど終え、水素の調達のめどを立てた。エアバスは2035年までに水素航空機の商用化を目指している。