半導体のルネサス 前期比2.8倍の最高益 工場自動化向け貢献

半導体大手のルネサスエレクトロニクス(本社:東京都江東区)の2021年12月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前期比2.8倍の1,272億円で過去最高となった。産業・インフラ向けの工場の自動化やデータセンター向けが貢献した。車載半導体の販売も好調だった。売上高は同38.9%増の9,944億円だった。

トヨタ 21年4~12月純利益58%増の最高 通期生産6%引き下げ

トヨタ自動車の2021年4~12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比58%増の2兆3,162億円だった。同期間では2017年の2兆131億円(当時は米国会計基準)を超え、4年ぶりに最高となった。為替の円安傾向などが後押しした。ただ、半導体や部品不足で、2022年3月期通期のレクサスブランドの世界生産計画は850万台と前回見通しから6%(50万台)引き下げた。
2022年3月期の純利益予想は据え置き、売上高は前期比8%増の29兆5,000億円と、従来予想より5,000億円減額した

塩野義 小児用コロナ飲み薬開発へ オミクロン株の感染急増で

塩野義製薬(本社:大阪市中央区)は2月10日、開発中の新型コロナウイルス感染症の飲み薬について、成人用の錠剤に加えて、小児用の開発を検討していることを明らかにした。「オミクロン株」が子どもにも感染が広がっていることから、対応が必要と判断した。小児用は飲みやすくするため粉薬とする計画で、成人用の錠剤の承認が得られれば、開発に着手したい考えだ。
塩野義は現在、成人用の錠剤の臨床試験(治験)を進めており、早ければ来週にも承認申請する方針。

IHI 国立バンドン工科大と農業残渣の燃料活用で共同研究開始

IHI(本社:東京都江東区)は2月9日、インドネシアの国立バンドン工科大学と共同で環境負荷をもたらす農業残渣(廃棄物)をバイオマス燃料として有効活用し、二酸化炭素(CO2)の排出量削減につなげる研究を開始したと発表した。
農業残渣の有価物化による農家の収入減拡大を目指し、インドネシアの総発電量の約70%を占めるジャワ島を対象に、農業残渣分布に対する既存の火力発電所の立地調査や輸送方法の検証を行う。また、IHIが日本国内でバイオマス混焼・専焼の発電所を手掛けてきた経験を活かし、混焼実験やバイオマスの高混焼率化・専焼化に向けた技術的検討も行い、農業残渣の調達から燃料利用までのバリューチェーン全体にわたって技術・事業の両面から検討を進めていく。

ロボット・AIが細胞培養 22年度理研が神戸市に拠点設立

理化学研究所などは2022年度、ロボットに細胞の培養などの実験を担わせる研究拠点を神戸市に設立する。iPS細胞(人工多能性幹細胞)の培養など、再生医療や生命科学の分野で、研究者が多大な労力を費やす単純作業を自動化することで、十分な研究時間を確保して新たな治療法の開発などを加速させるのが狙い。
理研が神戸に設立予定の研究拠点では、人の両腕のようなアームを持つロボットや顕微鏡、実験で用いる液体を試験管に注入する機器などを複数連携させたシステムを構築する。人工知能(AI)を使って熟練技術者の”技”を覚え込ませたロボットが、顕微鏡で撮影した細胞の状態を自律的に判断し、培養条件などを調節する。

双日 フィリピン・マニラのオフィスビル開発事業に参画

双日(本社:東京都千代田区)は2月8日、フィリピン大手財閥ユーチェンコグループ傘下の主要企業House of Investment,Inc.(以下、HOI)が進めるオフィスビル再開発事業「The Yuchengco Centreプロジェクト」に参画すべく、HOI傘下の特別目的会社、San Lorenzo Ruiz Investment Holdings & Services,Inc.(以下」、SLR)に対し、約60億円の増資引き受けおよび株式取得を行ったと発表した。
この案件は、HOIグループが保有・運営しているMapua Universityの建物の老朽化・移転に伴う、その跡地を利用した再開発事業。フィリピンの経済の中心部、首都マニラのマカティ市中心部に、地上27階、地下3階、延床面積約8万3,710㎡の大規模オフィスビルを建設する。2022年3月に着工、2025年6月完工および賃貸・運営開始予定。デザインコンセプトの構築には日建設計を起用している。

廃プラリサイクルによる資源循環実現へ検証 双日,花王など

双日は2月8日、Enevo Japan 、花王、凸版印刷、レコテックと協力し、神奈川県川崎市内のマンションにて、家庭から出る使用済みプラスチック容器の効率的な回収および水平リサイクルの実現に向けた検証プロジェクト『POOL PROJECT KAWASAKI』を開始したと発表した。
「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が今年4月1日に施行予定であることから、プラスチック製容器包装などの製造・販売・提供事業者による家庭から出る使用済みプラスチック容器の分別回収・リサイクルがさらに加速することが期待される。ただ、家庭から出るプラスチック容器の分別回収・リサイクルには①かかるコストが依然として大きい②回収率を上げることが難しく、十分な量を回収できない-などの課題がある。持続可能なコストで、再製品化に十分な量を安定的に分別回収できる仕組みの構築が急務となっている。

商船三井 マレーシア国営ペトロナスと液化CO2輸送で覚書

商船三井(本社:東京都港区)は2月8日、マレーシアの国営石油ペトロナスと液化した二酸化炭素(CO2)の海上輸送に関する事業開発の協力で覚書を締結したと発表した。発電所や工場などから出るCO2を回収して地中に貯留したり、工業原料に再利用する取り組み「CO2の回収・利用・貯留(CCUS)」を推進する。
両社はまずアジア太平洋地域におけるCCUSの実現のため、液化CO2海上輸送中心に検討を進める。CCUSバリューチェーン全体の見地に立った液化CO2輸送船の仕様検討等を行う。
今回の覚書締結を通じ、液化CO2海上輸送への取り組みをさらに加速させ、低・脱炭素社会の実現に貢献していく。

東洋エンジ 中国でポリアセタール設備の建設プロジェクト受注

東洋エンジニアリング(本社:千葉県習志野市)は2月9日、中国現地法人Toyo Engineering Corporation(China)(以下、Toyo-China)が、ポリプラスチックスが新たに設立した中国子会社が中国・南通市で計画するポリアセタール樹脂(POM樹脂)製造設備の建設プロジェクトを受注したと発表した。生産能力は年間9万トン。2024年完成予定。中国およびアジア市場におけるPOM樹脂の高い需要に応える。

日産自 欧州向けガソリンエンジン開発終了 規制見据え電動車へ

日産自動車(本社:横浜市西区)は2月8日、欧州向けのガソリンエンジンの開発を終了したと明らかにした。欧州で2025年から排ガス規制「ユーロ7」が導入されることを見据えたもの。同社は2026年度までに欧州で販売する車種の75%、2030年度までにすべての車種を電機自動車(EV)などの電動車にする目標を掲げており、”脱エンジン”を加速させる。
欧州連合(EU)の欧州委員会は2035年にガソリン車やハイブリッド車(HV)の販売を事実上禁止する方針を打ち出している。

塩野義と島津製作所 下水中のコロナのモニタリングで合弁会社

塩野義製薬(本社:大阪市中央区)と島津製作所(本社:京都市中京区)は2月8日、下水モニタリングを始めとする公衆衛生上のリスク評価を目的とした合弁会社、Advan Sentinel(本社:大阪市中央区)を設立したと発表した。
新会社は、塩野義のサイエンスを活かした新規分析手法の開発力や島津製作所の環境中の分子測定技術などに加え、両社が培ってきた下水モニタリングを通じたネットワークを持ち寄ることで、新型コロナウイルス感染症にとどまらない、次なるパンデミックや公衆衛生上のリスク把握などに向けたオールジャパン体制の構築を目指す。まずは喫緊の課題、新型コロナウイルスの感染状況の、より正確な把握に貢献する。

JSR ディスプレイ材料事業で中国上場企業との合弁設立で合意

JSR(本社:東京都港区)は2月7日、連結子会社のJSR(Shanghai)Co.,Ltd.がディスプレイ材料事業の中国でのさらなる事業活動強化を目的に、中国常州強力電子新材料股份有限公司(本社:江蘇省常州市、以下、常州強力電子社)と合弁会社「常州強力捷●雅新材料有限公司」を設立することで合意したと発表した。設立時期は2022年4月を予定。
JSRは中国におけるサプライチェーンの強化並びに現地化を目的に、今回の合弁パートナー、常州強力電子社に対して、ディスプレイ材料製品並びに原材料の製造委託を進めており、今回の合弁会社設立を通じて、両社間のさらなる関係強化および製造委託業務の安定運営に努めていく。

韓国の現代自 EV・FCVで日本市場に再参入 12年ぶり電動車で

現代自動車は2月8日、電気自動車(EV)と燃料自動車(FCV)で日本市場に再参入すると発表した。オンライン販売で購入してもらう新たな販売モデルで再上陸する。エンジン車は販売せず、電動車の展開に絞る。価格は479万円から589万円。5月から注文を受け、納車開始は7月を予定。同社は2009年12月に日本での乗用車販売から撤退、12年ぶりの再進出となる。

カネカ 生分解性ポリマーの大型能力増強 廃プラ削減・義務化

カネカ(本社:東京都港区)は2月7日、生分解性ポリマーGreen Planet(R)の大型生産能力増強を決定したと発表した。Green Planet(化学名はPHBH)で代替可能な使い捨ての汎用プラスチック製品は世界で年間約2,500万トンと推定。すでに実使用が開始されているストロー、カトラリー、コーヒーカプセル、袋、フィルム等だけでも年間500万トンを超える規模。このため環境意識の高いブランドホルダーからの引き合いが急増しており、供給能力の増強を求められているという。
Green Planetは植物油を原料に微生物によって生産されるバイオマスポリマーで、土壌中に加え海水中でも容易に分解し、CO2と水に戻り環境を汚染することがない。日本でも4月からプラスチック資源循環促進法により、使い捨てプラスチックの削減が義務化される。使い捨てプラスチックによる環境破壊に対する画期的なソリューションを提供できる素材の一つとして注目されている。

大日本印刷と東京食品機械 プラ使用量を90%削減の紙トレー

大日本印刷(本社:東京都新宿区)と東京食品機械は2月7日、プラスチック使用量を抑えた環境配慮型の密封性を有する紙トレーの共同開発を開始したと発表した。パッケージと包装システムにおける両社の開発力を掛け合わせ、酸素バリア性と密封性を併せ持つ「密封紙トレー」を開発し、惣菜や冷凍食品などの業界に向けて提供していく予定。

福岡市とトヨタ CJPTと共同で水素社会のまちづくりで連携協定

福岡市とトヨタ自動車は2月7日、水素社会の早期実現に向け、商用事業での協業に取り組むCommercial Japan Partnership Technologies(本社:東京都文京区、以下、CJPT)と共同で、相互に連携し多幅広い取り組みを推進していくことで合意し、その第一歩として燃料電池車両の導入に向けた検討を開始したと発表した。
具体的には、福岡市への給食配送車やパッカー車(ゴミ収集車)として燃料電池トラック、移動式発電・給電システム(Moving e)の導入の検討を開始した。今回の連携協定締結を契機に、今後3者は水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」という一連のサプライチェーンに関する技術開発や実証を行い、早期の社会実装につなげることで、市民が水素を身近に感じられる社会をいち早く構築するとともに、カーボンニュートラル実現に貢献するために積極的に取り組んでいく。

富士フィルム 微量の血液用いたコロナの抗体測定技術を開発

富士フィルム(本社:東京都港区)は2月7日、新型コロナウイルスの中和活性と高い相関性を示す血液中のlgG抗体価を測定する富士フィルム和光純薬の研究用試薬と、指先から自己採血した微量な血液を用いた抗体測定を可能にする技術を開発したと発表した。この技術を、自己採血による郵送血液検査サービスを国内で展開するリージャー(本社:東京都中央区)に提供する契約を締結。リージャー社が2月8日より、新型コロナウイルス抗体セルフチェックサービスを開始する。

スバル 21年4~12月減産21万台に拡大 部品調達難響く

SUBARU(スバル)は2月7日、2021年4~12月の生産状況について、期中の修正見通しを上回る21万台の減産を強いられたと発表した。半導体不足と東南アジアの新型コロナウイルスの感染拡大による部品調達難のため。昨年11月時点では2022年3月期の減産台数を17万台と見込んでいた。

日本プラスト タイで射出成形事業で第3工場竣工 4月より稼働

日本プラスト(本社:静岡県富士宮市)はこのほど、子会社の二ホンプラストタイランド(所在地:タイ・ラヨーン県、以下、NPT)が、射出成形事業の拡大とそれに伴う組み立てエリア、出荷エリア確保のために第3工場を建設し、1月11日に竣工式を行ったと発表した。4月より順次稼働する予定。

東芝 空調子会社の売却発表 合弁相手の米キャリアに1,000億円

東芝は2月7日、空調子会社の東芝キャリア(本社:川崎市)を売却すると発表した。東芝キャリアは東芝が株式60%、米空調大手のキャリアが40%を持つ。このうち55%を合弁相手のキャリアに約1,000億円で売却する。9月末までの売却手続き完了を目指す。これにより、連結対象から外すが、5%分は保有し続け、東芝ブランドでの空調機器の開発や販売は続ける。