トヨタ ポータブル水素カートリッジを開発 実証へ

トヨタ自動車と子会社のウーブン・プラネット・ホールディングスは6月2日、手軽に水素を持ち運びでき、生活圏の幅広い用途で水素エネルギーを使用できるポータブル水素カートリッジのプロトタイプを開発したと発表した。プロトタイプのサイズは直径約180mm、全長約400mm、質量は約5kg。
静岡県裾野市で建設を進めるウーブンシティをはじめとした様々な場所での実証を通じて実用化に向けた検討を進める。2022年6月3〜5日、富士スピードウェイで開催されるスーパー耐久シリーズ2022第2戦で、水素カートリッジのプロトタイプの展示を行う。

川崎重工 舶用水素ボイラの基本設計を完了 世界初

川崎重工は5月31日、クリーンなエネルギー、水素を燃料とする舶用水素ボイラの基本設計を世界で初めて完了したと発表した。同ボイラは、これまでのLNG(液化天然ガス)運搬船の建造で培った舶用ボイラの技術やノウハウと、同社が保有する水素燃焼技術のシナジーを活用して開発した。
すでに実用化されている小型の陸用水素ボイラとは異なり、波の揺動や設置スペースの制限が伴う船舶特有の条件や運用面などを考慮した設計となっている。なお、同ボイラを搭載した液化水素運搬船の推進システムについて、一般財団法人日本海事協会から基本設計承認を取得済み。

スズキ 使用済みリチウム電池のリユース技術開発

スズキは5月23日、自動車リサイクル料金の収支余剰金を活用した自社公益事業として、市場の廃車から小型リチウムイオン電池をソーラー街灯用電源に二次利用(リユース)する技術を開発したと発表した。
これまで使用済みとなった小型リチウムイオン電池は、余寿命を残したまま処分されていたが、今回の技術開発により、廃車10台分の電池を1基のソーラー街灯の電源としてリユースすることが可能になる。この技術は将来、発生量が増加する使用済み小型リチウムイオン電池の有効利用に道を開くもの。開発技術は公開することで、技術の普及を図っていく。

帝人F ポリエステルの新リサイクル技術 環境負荷低減

帝人フロンティア(本社:大阪市北区)は5月18日、循環型社会の実現に向け、新たに開発した解重合触媒を使用することにより、着色されたポリエステル繊維を石油来の原料と同等の品質に再生が可能で、従来よりも環境負荷が少ない新たなリサイクル技術を開発したと発表した。
今回開発したリサイクル技術は、従来のBHET法に新たに開発した解重合触媒を用いることで、再生ポリエステル原料の変色を抑制することが可能。また、DMT法よりも工程数が少ないためにエネルギー消費量が少なく、さらには排水、排液、解重合触媒などを再利用することができるため廃棄物の削減が可能だ。
同社は5月に松山事業所内にパイロットプラントを設置して実証試験を進めていくとともに、さらに高品質なリサイクルポリエステル原料の生産と環境負荷低減を実現するリサイクル技術の開発に向けて改良を重ねていく。
また、持続可能なバリューチェーンの実現を目指し、パートナー企業や国内外のコンソーシアムなどと連携して、「繊維to繊維」のリサイクルを実現する仕組みを構築する。

三菱造船と日本郵船 液化CO2輸送船で安全性承認を取得

三菱重工業グループ三菱造船(本社:横浜市西区)と日本郵船(本社:東京都千代田区)は5月16日、共同開発中の液化二酸化炭素(CO2)輸送船について、日本海事協会(本部所在地:東京都千代田区)から設計に関する基本承認(AIP)を取得したと発表した。船体の構造などを検査・証明する第三者機関から設計の安全性が認められたことで、さらなる大型化を含むプロジェクトに適した船型の検討を進めるなど、今後さらにCCUSバリューチェーンへの参画を促進していく。

川崎汽船 シンガポールのアンモニア燃料船で覚書

川崎汽船(本社:東京都千代田区)は5月13日、シンガポールにおける船舶向けアンモニア燃料供給の実現に向けたコンソージアムに、新たなメンバーとしてシンガポール海自港湾庁とともに4月に加入し、共同検討の加速に向けた覚書を締結したと発表した。
同プロジェクトはFleet Management Limited、Keppel Offshore & Marine、住友商事などがコンソーシアムメンバーとして進めているもの。
2050年までに海運業界の脱炭素化を実現するには、官民の緊密な連携が不可欠。また、港湾および船上でのアンモニアの取り扱いには運用面、安全面、環境面、規制面の問題を並行して解決しなければならず、複数の関係者間の協力が不可欠。
今回のアンモニア燃料供給網構築のためのガイドライン・安全基準の策定に向けた国際的プロジェクトに参画することになる。

環境配慮の生分解性樹脂使用のバリア包装材を開発

三菱ケミカルホールディングスグループは5月11日、ナカバヤシ、王子エフテックス、MIB、長瀬産業、旭洋と共同で、同社グループの生分解性樹脂「BioPBS(TM)」を使用した、食品向けバリア包装材を開発したと発表した。ナカバヤシが展開する環境配慮製品のブランド「asue」のライアップとして2022年の夏ごろ販売開始の予定。
BioPBSは、自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、自然環境への負荷が少ない樹脂素材。また、他の生分解性樹脂に比べ、低温ヒートシール性・耐熱性・柔軟性などで優れた性能を持つ。

環境配慮の生分解性樹脂使用のバリア包装材を開発

三菱ケミカルホールディングスグループは5月11日、ナカバヤシ、王子エフテックス、MIB、長瀬産業、旭洋と共同で、同社グループの生分解性樹脂「BioPBS(TM)」を使用した、食品向けバリア包装材を開発したと発表した。ナカバヤシが展開する環境配慮製品のブランド「asue」のライアップとして2022年の夏ごろ販売開始の予定。
BioPBSは、自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、自然環境への負荷が少ない樹脂素材。また、他の生分解性樹脂に比べ、低温ヒートシール性・耐熱性・柔軟性などで優れた性能を持つ。

IHI インドネシア国営PLN傘下とアンモニア混焼・専焼検討

IHI(本社:東京都江東区)は4月25日、インドネシア国営電力PLN子会社、プンバンキタン・ジャワ・バリ(PJB)と、火力発電所でのアンモニアやバイオマスの混焼や、将来的な専焼に向けた技術検討を実施することで基本合意書を締結したと発表した。2022年度中に両社で協力してアンモニア専焼の発電を前提とした技術開発を進める。

荏原 NIMSなどと水素製造技術開発で共同研究

荏原製作所は4月22日、物質・材料研究機構(NIMS)、静岡大学、太陽鉱工とともに、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業「水素利用等先導研究開発事業/炭化水素等を活用した二酸化炭素を排出しない水素製造技術開発/メタン活性化と炭素析出の反応場分離による水素製造」を実施する共同研究を開始したと発表した。
この研究では、NIMSが各機能要素のマスフローマッチングを、静岡大学が構造体化触媒の開発を、太陽鉱工が水素分離膜デザイン最適化を、荏原がシステムの大型化およびビジネスモデルの構築をそれぞれ担当する。

JERA,九州電,中国電 水素・アンモニアの導入で協業の覚書

JERA、九州電力、中国電力の3社は4月20日、発電用燃料としての水素・アンモニアの導入に向けて、協業を検討することを定めた覚書を締結したと発表した。水素やアンモニアは燃焼時にCO2を排出しないため、化石燃料に代わる次世代燃料として期待されている。
この覚書は国内で大規模な火力発電所を運営する3社が、燃料用の水素・アンモニアのサプライチェーン構築・拡大に向け、①国内発電所向け水素・アンモニアの調達費用削減等を目的とした共同調達②水素・アンモニアの輸送・貯蔵手段の確立③水素・アンモニアに関する政策支援・ルール形成へ働きかけ④他の国内電力会社等に対する本協議への参画の打診-で協業の可能性を検討することを定めている。

出光興産 国内初の商業規模SAF製造へ NEDOに採択

出光興産(本社:東京都千代田区)は4月19日、同社が進める世界初の年産10万KL級ATJ製造商業機の開発に向けた取り組みがNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)に採択されたと発表した。国内初の商業規模SAF(Suatainable Aviation Fuel、バイオエタノール航空機用再生燃料)サプライチェーン構築によるSAFの社会実装を目指す。事業期間は2022年度から2026年度の5年間の予定で、事業規模は457億円になる。
出光興産はSAFのプラントを、2025年度に千葉事業所(所在地:千葉県市原市)に建設する。2026年度から国内の航空会社などに供給する。

マツダ 次世代リチウムイオン電池開発がNEDOに採択

マツダは4月19日、提案した「次世代高容量高入出力リチウムイオン電池の開発」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から公募された「グリーンイノベーション基金事業/次世代蓄電池・次世代モーターの開発」の研究開発項目の一つ「高性能蓄電池・材料の研究開発」に採択されたと発表した。
今回同社が提案した事案は、カーボンニュートラルの実現に不可欠な電動車の普及に向けて、蓄電池・モータ-システムの性能向上・コスト低減などの技術的な課題解決を図ることで、将来的な自動車の電動化を支える基盤技術や地区衣電池・モーターの産業競争力強化窓を目指している。同事業でマツダは、高容量と高入出力を両立するリチウムイオン電池(LIB)の開発に取り組む。

大阪ガス 産総研とメタンガス合成に250億円投じ共同研究

大阪ガス(本社:大阪市中央区)は4月19日、産業技術総合研究所と共同で、メタネーションの生産効率の高い新技術の確立に向けた実験を本格化させると発表した。大阪市の此花区・酉島地区に試験設備を設け、国の補助金を活用しながら、2030年度までの9年間で約250億円を投じ、研究開発を加速する。
水素と二酸化炭素(CO2)から都市ガスの原料となるメタンを合成するもので、関連各社が効率よく製造する技術の確立に向け開発を急いでいる。大阪ガスはこの技術の研究や他社との連携を探るための新たな研究拠点も併せて設ける計画で、2025年に稼働を始めるとしている。

大林組 製造工程でのCO2排出80%削減コンクリート

大林組(本社:東京都港区)は4月18日、製造時のCO2排出量を最大80%削減するクリーンクリート(R)の技術をもとに、CO2排出量を実質ゼロ以下(カーボンネガティブ)と廃棄物削減を実現する「クリーンクリートN」を開発したと発表した。鉄筋コンクリートの材料として、2022年度中の工事適用を目指す。
クリンクリートは、セメントをCO2排出量が少ない高炉スラグ微粉末などに置き換えることで、製造時のCO2排出量を最大で80%削減するコンクリート。プレキャスト製品や現場打設のどちらにも使用できる。
今回クリーンクリートにCO2を吸収し固定化した炭酸カルシウムを主成分とする粉体を混ぜ合わせることで、その比率によってCO2排出量を差し引きゼロから、さらにマイナスにできる「クリーンクリートN」を開発した。

NIMS,金沢大 磁気冷凍システムで水素の液化に成功

国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)、金沢大学および大島商船高等専門学校からなる研究チームは4月11日、磁気冷凍システムの極低温における駆動を実現し、このシステムによる水素の液化に成功したと発表した。これにより、磁気冷凍法による実用的な水素液化が実証され、低コストで省エネルギーな水素液化プラントの開発に一歩前進した。
今回研究チームは、最適化された超電導磁石の磁場中に磁性体を出し入れすることで、高効率で発熱の少ない磁場変化を与える機構を開発。さらに能動的蓄冷式磁気冷凍(AMRR)に最適化した熱交換器を開発するとともに、磁性体形状の改良を実施。これらにより、冷却動作温度範囲の拡大と極低温で安定したAMRRサイクルを実現し、世界で初めてAMRRによる水素の液化に成功した。
今後この技術を高めることで、より高出力、高効率の磁気冷凍機を開発し、低コストで省エネルギーな水素液化プラントの実現を目指す。

帝人フロンティア ゴム補強用Pナノファイバー開発

帝人フロンティア(本社:大阪市北区)は4月11日、タイや、ホース、ベルトなどに使用される従来のゴム補強材よりも補強性能に優れ、環境負荷低減に貢献するゴム補強用ポリエステルファイバー短繊維を開発したと発表した。
ゴム補強用短繊維の断面をポリエステルナノファイバーとポリエチレンの2種類のポリマーを配した海島複合断面とすることで、少量の添加であっても従来品と同等以上の補強効果を発現し、環境負荷低減を実現するという。

関電 微細藻類によるCO2固定化PがNEDOに採択

関西電力は4月7日、アルガルバイオと共同で取り組む「微細藻類によるCO2固定化と有用化学品生産に関する研究開発」が4月1日、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業として採択されたと発表した。
同プロジェクトではCO2の固定効率を向上させる微細藻類の開発と、生産性の高い大量培養法を組み合わせ、コンパクトで高効率な微細藻類の培養システムを開発する。さらにCO2が固定された微細藻類を活用して、機能性化学品を生産するとともに、その残渣をバイオプラスチックの原料として利用することで、サステナブルなカーボンリサイクル技術の確立を目指す。
両社は2030年代での、工場から排出されるCO2を回収・固定化する藻類培養システムの実用化に取り組む。

日華化学 エレファンテックとポリエステルアップサイクル技術

ファッションテキスタイルの”ロスゼロ”を目指して、日華化学(本社:福井市)は4月6日、同社の界面科学技術をを応用し、エレファンテック(本社:東京都中央区)と共同で、染色またはプリントされたポリエステル布地から水を使わずに染料を簡単に取り除き、再度、染色・プリントによる意匠を付与することを可能とするポリエステルアップサイクル技術「ネオクロマト加工」を開発した発表した。
今回開発したのは、分散染料で染色されたポリエステル繊維から安全性の高い薬剤を用い、ヒートプレスマシンのみで大掛かりな設備を使用することなく、また水を使用せずに染料のみを数分間でほぼ完全に脱色できる革新的な技術。この技術の活用シーンは多岐にわたり、ファッションテキスタイルのロスゼロにつながるとみられる。

富士通「富岳」活用し36量子ビットの世界最速シミュレータ開発

富士通(本社:東京都港区)は3月30日、スーパーコンピュータ「富岳」のCPU「A64FX」を搭載した「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX700」で構成するクラスタシステム上で36量子ビットの量子回路を扱うことができる世界最高速の量子コンピュータ(以下、量子シミュレータ)を開発したと発表した。
この量子シミュレータは、量子シミュレータソフトウェア「Qulacs」を高速に並列分散実行可能にすることで、36量子ビットの量子演算において、他機関の主要な量子シミュレータの約2倍の性能を実現しており、数十年先の実用化が見込まれる量子コンピュータのアプリケーションを先行開発することが可能となる。これを受け2022年4月1日より、富士フィルムと共同で材料分野における量子コンピュータアプリケーションの研究を開始する。