出光興産 全固体電池の固体電解質の小型実証プラントの能力増強

出光興産(本社:東京都千代田区)は6月19日、全固体リチウムイオン二次電池の普及・拡大へ向け、固体電解質の小型実証設備第1プラント(稼働開始2021年11月)の生産能力を増強すると発表した。完工時期は2024年度の計画。また、2023年7月より小型実証設備第2プラントの稼働も開始。全固体電池の開発を進める自動車・電池メーカーなどへ、固体電解質を着実に供給していく。

INPEX, 大阪ガス 脱炭素げ世界最大級のメタネーション試験設備 

INPEXと大阪ガスは6月16日、共同でNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から採択された助成事業のもと、2021年より進めている都市ガスのカーボンニュートラル実現へメタネーションの実用化に向けた技術開発事業で、新たに千代田化工建設とEPC契約を締結したと発表した。これに基づき建設開始した試験設備は、世界最大級となる家庭用1万戸分に相当する400N㎥-CO2/h。メタネーションの実証事業期間は2021年度下期〜2025年度末の予定。

クボタ コンバインも無人自動運転 主要農機を無人自動化

クボタ(本社:大阪市浪速区)は6月14日、無人で自動走行するコンバイン「アグリロボコンバインDRH1200A-A」を2024年1月に国内で発売すると発表した。まず国内で販売し、年間50台の販売を見込む。価格は約2,200万円からと、従来機種と比べ20〜30%高い。
同社はすでにトラクターと田植機は無人自動運転を実現しており、今回のコンバイン投入で、主要農機で無人自動運転機種が出揃うことになる。これによりヤンマーホールディングスや井関農機など同業他社に先行する。
無人自動運転コンバインは、レーザー光を使ったセンサーと、人工衛星からの位置情報を使って自動走行する。機体の前後左右に設置したAI(人工知能)カメラで障害物も検知する。リモコンで遠隔操作して運転を止めることも可能という。

塩野義 新型コロナ治療薬「ゾコーバ」製造販売の本承認を申請

塩野義製薬(本社:大阪市中央区)は6月9日、国内で2022年11月に厚生労働省から緊急承認を受けた新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」について、8日付で製造販売の本承認を同省に申請したと発表した。緊急承認の際、本承認に向けて、臨床試験(治験)データの追加提出をしたうえで1年以内の申請が求められていた。

エーザイ認知症薬レカネマブ 米FDA諮問委が正式承認勧告

米食品医薬品局(FDA)は6月9日、エーザイと米バイオジェンが共同開発するアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」に関する諮問委員会を開き、正式承認を推奨すると勧告した。これを受け、FDAは7月6日までに可否を判断する予定。米国ではレカネマブは2023年1月にFDAが下した”仮承認”ともいえる迅速承認の状況にある。
米国で正式承認されれば日本や欧州など世界で一気に普及が進む可能性がある。レカネマブはFDAが迅速承認した際、提出された治験のデーターでは、早期アルツハイマー病患者に対し、認知機能の悪化スピードを27%遅らせる効果が示されている。

鹿島 「KaCLASS」開発 巨大地震の長周期地震動の揺れを低減

鹿島(本社:東京都港区)は6月6日、巨大地震に伴い発生する長周期地震動による超高層建物全体の揺れを、従来の耐震・制震架構と比べ大幅に低減する制御層制震構造「KaCLASS(R)」(特許出願済み)を開発したと発表した。
KaCLASSは、同調質量ダンパの原理を応用した制免震技術。建物高さの70%程度の位置に設けた制御層が地震時に変形することで、制御層から上の躯体には免震効果を、下の躯体にはTMD制震効果を与え、建物全体に大きな制御効果を付与するもの。今回、このKaCLASSを阪急阪神不動産(本社:大阪市北区)が事業を進める超高層タワーレジデンス「ジオタワー大阪十三」(所在地:大阪市淀川区)に初導入した。

東京都 次世代「ペロブスカイト太陽電池」実証実験開始

東京都は大手化学メーカーと共同で5月24日から、フィルム状の薄くて折り曲げることが可能な次世代の太陽電池として注目される「ペロブスカイト太陽電池」の国内最大規模の実証実験を開始した。場所は大田区の下水処理施設。同施設内にはおよそ9㎡にわたって、フィルム状のペロブスカイト太陽電池が設置され、最大1KWの電力を発電できるという。都は発電効率や耐久性を検証したうえで、2025年からの実用化を目指している。
ペロブスカイト太陽電池は、薄いフィルムに「ペロブスカイト」と呼ばれる結晶の構造をした物質を塗布するだけ。このフィルムが極めて微弱な太陽光でも電気に変える、次世代の太陽電池として注目されている。

東工大など4者が「富岳」で生成AIの言語モデルの研究開発開始

東京工業大学、東北大学、理化学研究所、富士通の4者は5月22日、スーパーコンピュータ「富岳」を活用した大規模言語モデルの分散並列学習手法の研究開発を、2023年5月から実施すると発表した。大規模言語モデルはChatGPTをはじめとする生成AIの中核として使用される深層学習のAIモデルで、4者は今後、今回の研究開発の成果物を公開することで、アカデミアや企業が幅広く使える大規模言語モデルの構築環境を整え、国内のAIの研究力向上に貢献し、学術および産業の両面で「富岳」の活用価値を高めることを目指す。

産総研・JST バイオマス由来のPBSとPA4組み合わせた新素材

国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)触媒化学融合研究センターと、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)は5月19日、共同でバイオマス由来のポリエステル(PBS)とポリアミド(PA4)を組み合わせた新しいプラスチック素材を開発したと発表した。この新素材は透明なフィルムとして成形することが可能で、フィルムは汎用プラスチック水準の強度があり、引き伸ばすほど強度が増すという特徴があるという。このため、この新素材の複合材料は、既存の汎用プラスチックフィルムや繊維の代替品や、医療プラスチックへの応用が期待される。

理研・インテル 量子計算機、スパコンを共同研究の覚書

理化学研究所と米インテルは5月19日、量子計算やスーパーコンピューター(スパコン)などの分野で共同研究を進める覚書を締結したと発表した。人工知能(AI)の高度化などに対応できる計算能力を確保する。理研は量子計算と従来のコンピューティング技術の掛け合わせなどにより、計算基盤を高度化する。インテルは量子コンピューターを動作させる制御チップや、ソフトウエアの開発キットなどを手掛ける。両者の協力により、求められる「ゼタ(ゼタは1兆の10億倍)」スケールの計算能力に必要な技術や応用の可能性などを探る。

家庭から排出される廃プラスチックを水素へ 官民の検討会発足

岩谷産業、豊田通商、日揮ホールディングスの3社は5月18日、廃プラスチックガス化設備を活用した低炭素水素製造事業の実現に向けて、14の会員自治体と12のオブザーバーとともに、廃プラスチックのケミカルリサイクルによる水素製造検討会を発足し、第1回検討会を実施したと発表した。水素製造開始は2020年中ごろを目標とする。水素製造能力は1.1万トン/年(廃プラ回収量:8万トン/年)。
同検討会では、再商品化手法の一種であるガス化ケミカルリサイクルを用いた各地域の大規模プラスチック資源循環システムの構築と、中部圏での先進的な地産地消低炭素水素供給システムの確立を目的とし、各地域で発生する廃プラスチックの効率的な収集を検討していく、

核融合発電の京大発ベンチャーに17社が105億円を出資, 後押し

次世代のエネルギー減として期待される核融合発電の研究開発を手掛ける京都大学発ベンチャー企業に、政府系ファンドや電力会社、大手商社など17社が合わせて105億円を出資し、官民で実用化に向けた動きを後押しすることになった。
この企業は、京都大学エネルギー理工学研究所の研究者らが立ち上げた「京都フュージョニアリング」で、世界初と鳴る小規模な実験用の発電プラントの建設を進めている。出資するのは政府系ファンドのJICベンチャー・グロース・インベストメンツ、三菱商事、三井物産、関西電力のグループ会社など。

中越パルプと丸紅 CNF使用の化粧品用途向け原料の販売開始

中越パルプ工業(東京本社:東京都千代田区)と丸紅(本社:東京都千代田区)は5月17日、中越パルプが製造するACCセルロースナノファイバー(以下、CNF)「nanoforest(R)」を使用した化粧品用途向け原料の販売を開始したと発表した。中越パルプが製造するCNFは、原料に未利用竹材を含む国産竹100%の天然繊維を使用。用途に合わせた形態で提供できることに加え、これを配合することで増粘性や触感改良機能、顔料分散安定性、洗浄性、保湿性、乳化安定性などを付与できるという。

京セラ デジタル捺染機開発, 水の消費ほぼゼロで布に印刷

京セラ(本社:京都市伏見区)は5月10日、水の消費量をほぼゼロで、布地にデザインを施せるデジタル捺染機「フォレアス」を開発したと発表した。フォレアスはインクジェットプリンターと同様で、幅は約2mまでの布地に最大8色でデザインできる。
同社は独自開発の顔料インクを採用。印刷後の洗浄を不要にしたことで、アナログ染色に比べ水の使用量を99%以上減らせる。環境負荷の軽減に力を入れるアパレル企業などの需要を見込み、2027年3月期に100億円の売上高を目指す。

岩谷産業・三菱重工 水素発電向けポンプ開発・販売で連携

岩谷産業と三菱重工業は4月26日、カーボンニュートラル実現に向けた革新的な水素供給システムを構築するため、液化水素昇圧ポンプの開発・販売に向けた覚書を締結することで合意したと発表した。
今回の覚書を足掛かりとし、三菱重工が開発した液化水素昇圧ポンプ(90MPa級)を用いて、国内向け液化水素ステーションの最適化および各設備を合理化したパッケージ開発を、岩谷産業と共同で進めていく。また、国内での水素発電設備および液化水素受入基地に、三菱重工製の液化水素昇圧ポンプが適用・導入できるように検討していく。

ラピダスの千歳新工場 9月に着工 鹿島が施工受注 25年1月完成

最先端半導体の国内生産を目指すラピダスは4月25日、北海道千歳市で計画する新工場の建設を始めると発表した。鹿島が受注、9月に着工し、2025年1月の完成を予定する。ラピダスは「2ナノ」と呼ばれる最先端半導体を2027年に量産することを目指している。

IBM開発の最新型「量子コンピューター」今秋めどに国内導入

ケタ違いの計算能力の高さがある次世代コンピューターとして研究開発が進められている「量子コンピューター」について、米国のIBMが開発した最新型が今秋めどに国内に導入されることになった。4月21日、IBMのジェイ・ガンベッタフェローと東京大学の相原博昭理事が東京都内で会見を開き発表した。この最新型は集積回路を構成する量子ビットの数が127とこれまでのおよそ5倍あり、商業用としては国内では最高性能となる。
この量子コンピューターは神奈川県川崎市内の施設に置かれ、使用権を持つ東京大学が国内の自動車メーカーや金融機関などとつくる協議会と共同で利用し、経済産業省が導入にかかる費用などとして42億円を補助するという。

IHI, 大阪ガス マレーシアでバイオマス活用のe-メタン製造の覚書

IHI(本社:東京都江東区)と大阪ガス(本社:大阪市中央区)は4月19日、マレーシアの大手国営ガス・石油供給事業者Petroliam Nasional Berhadの技術ソリューション部門、PETRONAS Global Technical Solutions Sdn.Bhd.と、マレーシアでバイオマスの未利用森林資源や農業残渣を活用したe-メタン製造事業の基本設計と詳細を検討するための覚書を締結したと発表した。
e-メタンは、既存の都市ガスインフラや消費機器が活用できるため、スムーズなカーボンニュートラル社会への移行と社会コストの抑制が可能とされている。

SkyDrive 「空飛ぶクルマ」の個人向け予約販売を開始

空飛ぶクルマおよび物流ドローンを開発するSkyDrive(本社:愛知県豊田市、スカイドライブ)は4月13日、空飛ぶクルマの商用機「SD-05」の個人向け予約販売を開始すると発表した。第一号機はすでに、ホンダジェットの日本1号オーナーでもある千葉功太郎氏が申し込んでいるという。
同社はこれまで企業向け(BtoB)に予約販売を推進しており、2022年11月にベトナムのディベロッパー、パシフィックグループより、「SD-05」を最大100機のプレオーダー(10機の確定、90機のオプション)で合意しているとしている。
SD-05は2人乗り(乗客1名、パイロット1名)で、最大航続距離は約10km、最高巡航速度は100km/hで移動できるよう設計している。