訪問介護の24年1〜10月倒産72件で過去最多 小・零細業者

東京商工リサーチのまとめによると、訪問介護事業者の2024年1〜10月倒産は72件に上り、2023年の年間67件を上回り、過去最多を記録した。報酬改定に伴い、訪問介護の報酬が引き下げられたことも経営を圧迫し、倒産増つながった。2024年は80件を大幅に上回るペースとなっており、小規模事業者の淘汰が加速している。
1〜10月倒産72件のうち、資本金1,000万円未満が61件(構成比84.7%、前年同期48件)、従業員10人未満が68件(同94.4%、同41件)と小・零細規模の事業者が大半を占めている。

伊藤忠 カワサキ株20%取得 米国で販売金融などで協業

伊藤忠商事(本社:東京都港区)は11月8日、川崎重工業の完全子会社で二輪大手のカワサキモータースの株式20%を第三者割当増資で取得し、資本業務提携すると発表した。取得額は800億円。
共同で米国で販売金融を手掛ける新会社を2025年4月に折半出資で設立。北米を中心にアウトドア需要の高まりで販売が伸びている二輪車に加え、オフロード四輪車の販売金融事業に乗り出す。

キオクシア 金融庁に25年6月までに東証上場方針を届け出

半導体大手のキオクシアホールディングス(HD)は11月8日、金融庁に2024年12月から2025年6月までに東京証券取引所へ上場する方針を届け出た。証券取引所から上場の承認を受ける前に、金融庁に有価証券届出書を提出する「承認前提出方式」を国内で初めて利用する。承認から株式公開までの機関を短縮できるのが利点。

JFEエンジ 横浜市発注の橋梁工事で「グリーン鋼材」を採用

JFEエンジニアリング(本社:東京都千代田区)は11月8日、横浜市発注の橋梁工事でJFEスチール(本社:東京都千代田区)が手掛ける「グリーン鋼材『JGreeX(ジェイグリークス)』」を採用すると発表した。対象工事は「都市計画道路桂町戸塚遠藤線(上倉田戸塚地区)街路整備工事」。
グリーン鋼材は二酸化炭素(CO2)排出量を削減した鋼材で、橋梁工事の環境負荷低減の取り組みの一環。同社が受注した橋梁工事でグリーン鋼材を採用するのは今回が初。工期は2024年7月〜2025年3月。鋼量は250トン。

TOYO インドでLNG受入基地用桟橋のトップサイド設備を受注

東洋エンジニアリング(TOYO、本社:千葉県習志野市)は11月7日、インド子会社、Toyo Engineering India Private Limited(以下、Toyo-India)が、Petronet LNG Limited(ペトロネット エルエヌジー、以下、PLL)より、インド・グジャラート州ダヘジのLNG受入基地用の3つ目の桟橋のトップサイド設備建築プロジェクトを受注したと発表した。
Toyo-Indiaは設計、調達、建設工事を一括で受注し、2027年の完工を予定。PLLはインドの国営企業4社が中心となって1998年に設立されたインド最大のLNG輸入会社。

カネカ 北海道・苫東工場の医療用カテーテル生産能力倍増

カネカ(本社:東京都港区)は11月7日、2024年8月に竣工した血清浄化器プラントに次いで、北海道の苫東工場内にカテーテルの新プラントを建設することを決めたと発表した。グループ会社のカネカメディックス(本社:大阪市)が出資し、2027年3月の稼働を予定。投資額は約100億円。今回のカテーテルプラントの新設により、生産能力は現状の約2倍になる。
陸・海・空のアクセスが良好な北海道の苫東地域から競争力のある製品をグローバルに提供することで業容を拡大し、医療用カテーテル事業は2030年にヘルスケア・ソリューション・ユニットで売上高3,000億円を目指す。

デブリ採取に初成功 本格回収へ分析 東電福島第1原発2号機

東京電力は11月7日、福島第1原子力発電所2号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的な取り出しに成功したと発表した。原発事故から13年半を経て、初めてデブリを回収した。今後の本格的な取り出しのために分析される。
福島第1原発事故では1〜3号機で炉心溶融(メルトダウン)が起こり、核燃料が炉内の構造物と混ざって推計880トンのデブリが発生。その回収作業は政府と東電が2051年までの完了を目指す廃炉工程で最難関とされる。

KADOKAWA下請法違反 公取委が勧告フリーランス買い叩き

公正取引委員会は近く、出版大手、KADOKAWA(本社:東京都千代田区)と、生活情報誌『レタスクラブ』を制作している子会社、KADOKAWA Life Design(本社:東京都千代田区)の下請法違反(買い叩き)を認定し、再発防止を求める勧告を出す方針を固めた。雑誌の製作に携わるライターやカメラマンに支払う原稿料などを著しく低く抑えたため。国がフリーランスの保護を進める中で、立場の強い発注者による不当な圧力に対する厳格な姿勢を示すもの。

関西の4百貨店増益 24年度中間決算 3社は過去最高益

関西に店舗を構える百貨店大手4社の2024年度中間連結決算が11月6日、出揃った。エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング、Jフロントリテイリング、高島屋、近鉄百貨店の全4社が増益となったほか、近鉄以外の3社は最終利益が過去最高だった。訪日客や国内の富裕層向けが好調でだった。

JAL 電動キックボードLimeと業務提携 100円利用で1マイル

日本航空(JAL、本社:;東京都品川区)は11月6日、電動キックボードなどのシェアリングサービスを手掛けるLime(ライム、所在地:東京都港区)と業務提携したと発表した。Limeのサービスを100円利用するたびに、JALの1マイルが付与される。電動キックボードの貸し出し拠点であるポートの設置にJALが協力し、観光地などで手軽な交通手段としての電動車両を普及させる。
11月7日から両社で沖縄県・那覇市内に設置した40ポートと電動車両180台を使ってレンタルサービスを始める。

日産9,000人リストラ策 生産能力2割減 業績大幅悪化で

日産自動車(本社:横浜市西区)は11月7日、大幅な業績悪化を受けリストラ策を明らかにした。世界で連結従業員の7%にあたる9,000人の人員削減を行い、生産能力も2割減の400万台程度に引き下げる。運営資金を確保するため、34%を保有する三菱自動車株のうち、10%分を三菱自動車に売却する方針。
今回のリストラや生産能力の削減に伴い、一部の工場閉鎖も視野に入れるが、具体的な時期や対象は明らかにしなかった。このリストラ策により固定費を3,000億円削減する計画。

豊田通商など 新東名で「レベル3」自動運転トラック実証 

豊田通商などは11月5日、大型トラックを使った自動運転「レベル3」(一定条件下で自動運転を実現)相当技術の実証実験を新東名高速道路で開始したと発表した。これは、経済産業省と国土交通省が推進する事業で、豊田通商などが受託し、いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックスなどが参加する。
実証実験は駿河湾沼津と浜松の両サービスエリア間で実施する。一般車に混じりながら、サービスエリアの特定の駐車スペースにトラックを安全に停車して発射できるか試す。高速道路本線では人が車を運転し、道路側の機器から発信される故障車や落下物の情報を安定的に受信できるかなどを確認する。実験は2024年末まで。2025年度はサービスエリアから本線への合流や車線変更を含めた自動運転の検証を行う。

島津製作所 バイオマスからCO2回収・発電する新興に出資

島津製作所(本社:京都市中京区)は11月5日、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンド「Shimadzu Futue Innovation Funds」(以下、、Shimadzu FIF)を通じて、京都大学発のスタートアップ、ライノフラックス(本社:京都市西京区)に出資したと発表した。ライノフラックス社はバイオエネルギー・炭素回収装置および関連機器の設計・製造・販売を手掛けるスタートアップで、バイオマス資源から高純度の二酸化炭素(CO2)を回収しながら、高効率に発電するプラントの開発を進めている。
ライノフラックスは、バイオマス資源を燃焼させずに金属イオン溶液の酸化還元反応により、バイオマス資源から電気エネルギーと純度99.9%以上のCO2を回収する技術を保有している。

グリーンハウス, 住友商 タイEpicure Catering社へ共同出資

グリーンハウス(本社:東京都新宿区)と住友商事(本社:東京都千代田区)は11月5日、共同企業体(JV)を設立し、タイの大手ホスピタリティグループのDisit International社の子会社、Dusit Foods社と戦略的パートナーシップ契約を締結のうえ、インターナショナルスクール向けフードサービス事業を営むEpicure Catering社(所在地タイ・バンコク)に共同出資すると発表した。
日本国内の食と健康、ホスピタリティ分野のフロントランナー、グリーンハウスグループのノウハウで、Epicure Catering社のタイにおけるインターナショナルスクール向けのフードサービス事業のさらなる成長を目指す。

スズキ 来春からインドで生産の量産EV「eビターラ」公開

スズキは11月4日、イタリア・ミラノで同社初の電気自動車(EV)の量産モデル「eビターラ」を公開した。これは同社がこれまでEVの試作車として公開してきた「eVX」をもとに開発した量産型の多目的スポーツ車(SUV)で、同社では世界戦略車のEV第1弾と位置付けている。
同社は今回公表したこの量産モデル、eビターラを2025年春にインドで生産を開始し、同年夏どろから欧州、インド、日本などで順次発売する。

東北電力 再稼働の女川原発2号機 機器不具合で原子炉停止

東北電力は11月4日、再稼働した女川原子力発電所(所在地:宮城県女川町、石巻市)2号機で発生した機器の不具合で、点検のため同日朝、原子炉を停止したと発表した。周辺への放射能の影響はないとしており、不具合の原因を特定し、対策を講じたうえで再び原子炉を起動させる。起動時期は未定としている。

「H3」打ち上げ成功 通信衛星「きらめき3号」を正常分離

日本の大型主力ロケット「H3」の4号機が11月4日午後3時48分、鹿児島県・種子島宇宙センターから打ち上げられ、ロケットは予定の軌道に投入され、搭載した防衛相の通信衛星「きらめき3号」を正常ぬ分離した。これで、H3の打ち上げ成功は3回連続となった。
きらめき3合は、高度3万6,000kmの静止軌道上で運用される。H3が高い軌道を回る「静止衛星を」打ち上げるのは今回が初めて。きらめき3号は大容量のデータを安定して送受信できる。陸・海・空の各自衛隊間で迅速な情報共有が可能となる。

24年1〜10月の建設業倒産1,566件 過去10年で最多 職人不足 

帝国データバンクのまとめによると、2024年1〜10月の建設業倒産(負債1,000万円以上、法的整理)は1,566件に上った。8年ぶりの高水準を記録した2023年をさらに上回る急増ペースで推移しており、通年では過去10年で最多を更新する見込み。
木材はじめ建築資材価格の高止まりに加え、建設現場での職人不足と求人難に伴う人件費の高騰が中小建設事業者の経営を圧迫、苦境に追い込んでいる。

自動車大手 PHVの投入加速 EVへの”つなぎ”から一転

脱炭素の本命と目された電気自動車(EV)時代への”橋渡し役”もしくわ”つなぎ”とみなされてきたプラグインハイブリッド車(PHV)だが、EVで先行する中国勢のグローバル市場での攻勢、過剰生産も加わって市場が混乱、にわかにPEVの人気が高まっている。世界的にEVの販売が減速する中、ガソリンと電気を併用できる実用性と環境性能が評価され、需要が高まっているためだ。
自動車大手の最近の動きをみると、トヨタ自動車は10月、主力のプリウスに、税込み400万円を切るPHVを追加した。マツダも10月に発売したSUV(スポーツ用多目的車)「CX-80」のラインアップにPHVを加えた。三菱自動車は11月1日、SUV「アウトランダー」の新型PHVモデルを発表した。ホンダもOEM供給を検討しているという。
欧米でも急速なEV化への見直し発表が相次いでいる。スウェーデンのボルボ・カーは2030年までにずべての新車をEVにするとしていた目標を撤回し、PHVの開発も進める。米ゼネラル・モーターズも同様の方針だ。
EVへの橋渡し役、もしくはつなぎとみなされてきたPHV人気は、EVの価格の高さや充電設備の少なさへの不安から、想定外の期間の活躍が期待できそうだ。