塩野義 コロナ治療薬「ゾコーバ」6〜11歳対象に治験開始

塩野義製薬(本社:大阪市中央区)は6月29日、新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」について、6〜11歳の小児を対象とした臨床試験(治験)を開始したと発表した。比較的症状の軽い患者120人を対象に実施する。治験ではゾコーバを1日1回、5日間投与した患者と、効果のない偽薬を投与した患者を比べて、主に安全性を確認する。

三菱造船と日本郵船 アンモニアと液化CO2兼用輸送船 承認取得

三菱重工業子会社の三菱造船と日本郵船は6月29日、日本海事協会からアンモニアと液化二酸化炭素(CO2)を運べる輸送船の基本設計承認を取得したと発表した。脱炭素社会のニーズに向け、燃焼時CO2を排出しない次世代燃料として期待されるアンモニアと、貯留地への運搬が課題の液化CO2の両方を扱える輸送船を開発する。アンモニア・液化CO2兼用輸送船の実用例はこれまでなく、建造されれば世界初となる。

エア・ウォーター 子会社がインドにシリンダガス充填工場新設

エア・ウォーターは6月28日、100%子会社のAir Water India Private Limited(以下、エア・ウォーター・インディア)が、北部デリー郊外のファリダバード近郊にローリー輸送中継基地を兼ねたシリンダーガス充填工場を新設するとともに、北部エリアの営業・サービス拠点としてグルガオンオフィスを開設したと発表した。
充填工場は2023年6月に建設を開始し、12月に稼働開始の予定。充填品目はアルゴン、酸素、窒素。充填工場面積は約4,400㎡。

豊田通商 サウジアラビアで初の再生可能エネルギー事業に参画

豊田通商は6月28日、サウジアラビアで設備容量119MWの太陽光発電所を建設・所有・運営し、電力を販売する独立系発電業事業(IPP)に出資参画すると発表した。これはサウジアラビアにおける豊田通商グループ初の再生可能エネルギー事業となる。
この事業は豊田通商のほか、フランスのトータル・エナジーズ、サウジアラビアのアルタカの3社の出資を受けた事業会社、ヌール・アルワディ・リニューアブル・エナジー・カンパニーが事業を推進する。同社への3社の出資比率は豊田通商40%、トータル・エナジーズ40%、アルタカ20%。総事業費は約140億円。年間を通して太陽光に恵まれたワディ・アド・ダワシールを発電所建設予定地として、2023年6月に着工。2025年3月の商業運転開始を予定。
同事業は環境省の令和4年度「二国間クレジット制度(JCM)資金支援事業のうち設備補助事業」に採択されている。

パソナG ユニタールと避難民・女性らのIT研修・就労支援で覚書

パソナグループは6月28日、途上国の人材育成を担う国連訓練調査研究所(UNITAR=ユニタール)との間で、女性や若者のデジタルスキル向上と就労支援に関する覚書を結んだ。ユニタールが自立支援の必要なウクライナからの避難民やアフリカのサブサハラ(サハラ砂漠以南)の若者らを選び、パソナグループがITリテラシー向上のためのオンライン研修を実施する。2023年度内に計5,500人に研修し、その後の就労支援も担う。

ヤマダHD 7月から家電店舗で三菱自動車のEV販売 法人向け

家電量販大手のヤマダホールディングスが7月から家電店舗で三菱自動車工業の電気自動車(EV)の販売を始めることがわかった。ヤマダHDと三菱自動車の各エリアの販売店が販売店契約を結び、軽自動車EV「ekクロスEV」と商用タイプの軽EV「ミニキャブ・ミーブ」を、ヤマダデンキの店舗で法人向けに販売するという。まず神奈川県と埼玉県のヤマダデンキの5店舗で販売開始し、順次拡大する。今後は個人向け販売も検討する。

大塚HD アルツハイマー病関連薬を厚労省に年内に承認申請

大塚ホールディングス(HD)傘下の大塚製薬は6月27日、抗精神病薬「レキサルティ」にアルツハイマー型認知症に伴う行動障害の治療薬としての効能を追加するため、厚生労働省に年内に承認申請すると発表した。国内での最終段階の臨床試験(治験)で有効性を確認できたとしている。レキサルティは5月、米食品医薬品局(FDA)から効能追加の承認を得ている。
国内でのアルツハイマー型認知症に伴う暴力などの行動障害を持つ55〜90歳の患者410人を対象に実施した治験で、行動障害の頻度や重症度が、偽薬投与の患者に比べて改善したという。

オリコ インドネシアのクレジットカードHonestに出資

オリエントコーポレーション(本社:東京都千代田区、以下、オリコ)は6月27日、シンガポールの本拠を置き、インドネシアでクレジットカード事業を展開するスタートアップ企業Honest Financial Technologies International Private Limited(以下、Honest)に出資したと発表した。今回の出資はスタートアップ企業との協業をスムーズに行うことを目的とした「Orico Digital Fund」を活用した。インドネシアにおける2022年のクレジットカード普及率がまだ5%程度であることなどからHonestのさらなる事業成長が見込まれる。

東芝インフラS インドの下水処理場の更新・改修工事8件受注

東芝インフラシステムズ(本社:川崎市幸区)は6月27日、インド現地法人、東芝ウォーターソリューションズ社(以下、東芝ウォーター)が、バンガロール上下水道局からインドカルナタカ州ベンガルール(旧名バンガロール)都市圏の下水処理場の更新・改修工事およびO&M(運用・保守)契約を3件、部分更新・改修工事を5件受注したと発表した。処理能力の増強および従来の下水処理方式の活性汚泥法から高度処理の嫌気無酸素好気法(A2法)への改造により下水処理水質を改善する。

23年版通商白書 22年貿易赤字の7割が化石燃料の高騰が原因

政府は6月27日、2022年の貿易赤字の増加分のうち化石燃料など輸入品の価格高騰が7割を占めるとした、2023年版通商白書をまとめた。過去最大の貿易赤字は貿易収支構造の脆弱性を露呈したとし、化石燃料の輸入依存度を下げる必要があると強調している。財務省が4月に発表した2022年度の貿易収支は21兆7,284億円の赤字で過去最大となった。

ニデックとソフトバンク HAPS向け高性能モーターを共同開発

ニデックとソフトバンクは6月27日、成層圏通信プラットフォーム、HAPS向け軽量・高効率・高信頼性のモーターを共同開発したと発表した。このモーターはソーラー発電のみでHAPS向け無人飛行機の長時間飛行を可能にする性能を備えており、ソフトバンク子会社のHAPSモバイル(本社:東京都港区)が目指す2027年度のHAPS向け無人飛行機「Sunglider(サングライダー)」の実用化に役立てる。

三井物産 マレーシアでペトロナス,仏トタールとCCS事業で連携

三井物産(本社:東京都千代田区)は6月27日、マレーシアの国営石油会社ペトロナスおよびフランスの総合エネルギー会社トタール・エナジーズのCCS事業会社、トタール・エナジーズ・カーボン・ニュートラリティ・ベンチャーズとの間で、マレーシアでのCO2貯留サイトの共同開発に関する契約を締結したと発表した。アジア太平洋地域でのCO2の回収および貯留(以下、CCS)、輸送を含むバリューチェーンを構築する。2030年ごろまでに同事業を開始することを目指す。日本、韓国、台湾の製鉄会社や製造業から排出されるCO2の受け入れを想定している。

AGC 世界初 実生産炉でのアンモニア燃料でガラス製造の実証に成功

AGC(本社:東京都千代田区)は6月27日、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託事業として、AGC横浜テクニカルセンターで取り組んでいる「燃料アンモニア利用・生産技術開発」で、世界初となる実生産炉でのアンモニアを燃料に利用したガラス製造の実証試験に成功したと発表した。
この事業は大陽日酸、国立研究開発法人 産業技術総合研究所、東北大学と共同で技術開発に取り組んでいる。2024年以降、スケールアップしたバーナー試験やAGC他拠点のガラス溶解炉での実証試験を計画。アンモニア燃焼技術の活用範囲を見極めたうえで、2026年以降の本格導入を目指す。

住友林業, IHI 脱炭素へ熱帯泥炭地の保全と適切管理で協業

住友林業(本社:東京都千代田区)とIHI(本社:東京都江東区)は6月27日、両社の合弁会社、NeXT FOREST(ネクストフォレスト、本社:東京都千代田区)が、AIスタートアップのRecursive(本社:東京都渋谷区、以下、リカーシブ)と協業し、熱帯泥炭地管理の初期AIモデルを構築したと発表した。
これにより住友林業の経験豊富な技術者のみができた地下水位予測をAIで行うことが可能となる。ネクストフォレストはこのAIを活用してインドネシアなど世界の熱帯泥炭地でCO2排出や森林火災の抑制に貢献していく。また、住友林業とIHIは熱帯泥炭地んぉ保全と適切な管理がカーボンニュートラルの実現、生物多様性や水循環の保全といった人類の生存基盤の安定化のために危急の課題と考えている。
熱帯泥炭地は、枯れた植物が土壌微生物の分解を受けずに、有機物の塊(かたまり)として堆積した土地で大量の水と炭素を含んでいる。インドネシアやコンゴ盆地、アマゾンに分布している熱帯泥炭地の面積は、全世界で8,200万ha(日本国土の約2倍)以上。貯蔵する炭素量は少なくとも890億トン(2017年の世界の炭素排出量の約10倍)といわれている。

ニデックマシンツール インドで切削工具の新工場 生産能力1.5倍に

ニデック(本社:京都市南区、旧日本電産)グループのニデックマシンツールは6月26日、インドの切削工具の製造・販売を手掛けるNidec India Precision Ltd.(所在地:インド・タミルナドゥ州ラニペット、以下、NMTI)に新工場を建設し、7月1日から生産開始すると発表した。
新工場はインド・チェンナイ近郊のラニペットの5万5,000㎡のNMTI敷地内に、床面積2,000㎡の工場を建設。主な生産品目はホブカッタ、ピニオンカッタなどの切削工具で、生産能力をこれまでの1.5倍に引き上げる増産体制を整えた。
NMTIの今回の増産投資は、2021年のニデックグループ入り後、初となる大規模投資で、顧客の需要増に迅速に答えていく。

トヨタなど3社 バイオガスから水素製造装置 タイで年内稼働

トヨタ自動車、豊田通商、三菱化工機の3社は6月26日、鶏糞や廃棄食料由来のバイオガスから水素を製造する装置をタイ国内に初めて導入すると発表した。同装置は三菱化工機が製作を担当。トヨタ自動車と豊田通商が協力してバイオガスや水素の圧縮、貯蔵、輸送に関わる全体のシステムの構築および導入、運用体制の構築を検討する。
3社および、それぞれの現地事業体とも連携を図り、議論しながら進めていく。水素を「つくる・はこぶ・ためる・つかう」ための、タイでの一連の取り組みの一環として、この装置を活用していく予定。

塩野義 コロナ薬「ゾコーバ」ジェネリック7社とサブライセンス契約

塩野義製薬(本社:大阪市中央区)は6月26日、同社が開発した新型コロナウイルス治療薬「エンシトレルビル(日本名:ゾコーバ)」について、国連が支援する機関を通じ中国、インドなど4カ国の後発医薬品(ジェネリック)メーカー7社とサブライセンス契約を締結したと発表した。契約したのは中国3社、インド2社、ウクライナとベトナム各1社の計7社。これにより、7社は低・中所得117カ国を対象とした同薬のジェネリック薬品の製造・販売が可能となる。

東芝 混合ガスのCO2濃度を1.7秒で測定センサー, 26年に実用化

東芝は6月26日、混合ガスに含まれる二酸化炭素(CO2)の濃度を短時間で調べられるセンサーを開発したと発表した。これまでの検知装置と比べ200分の1に小型化し、わずか1.7秒で物質の濃度を測定できるという。2026年をめどに実用化したい考え。今回開発した装置は6.5センチメートル四方で、高さは2.5センチメートルと手のひらに乗るサイズ。

産業革新投資機構 JSRを買収へ 非上場化で大胆な事業再編促す

政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)は半導体材料、フォトレジスト(感光材)で世界シェア首位のJSRを約1兆円で買収する。JSRは現在、東証プライム市場に上場している。海外を含めた競争当局の審査を経て、JICは年内に同社へのTOB(株式公開買い付け)を実施する。手続きが順調に進めば、2024年中に上場廃止となる見込み。
日本政府は半導体を戦略物資と定め、国内で戦隊品の量産に巨額の支援を始めており、国際競争力が強い分野でも成長投資を継続できる環境を整え、半導体の一連のサプライチェーン(供給網)を強くするとともに、非上場化で大胆な事業再編をしやすくする。