ホンダ 今期は増益予測から一転減益に 部品不足などが影響

ホンダ(本社:東京都港区)は11月5日、2022年3月期の連結純利益が従来予想の6,700億円から5,500億円にとどまるとの見通しを発表した。当期は増益を計画していたが、前期比15.6%減となる。世界的な半導体不足や、東南アジアの新型ウイルス感染拡大による部品調達難で予想以上の減産を余儀なくされているため。

帝人 パラ系アラミドのリサイクル技術開発・試験生産に成功

帝人(東京本社:東京都千代田区、大阪本社:大阪市北区)は11月4日、グループでアラミド事業を展開しているテイジン・アラミドB.V.(所在地:オランダ・アーネム市)が、パラ系アラミド「トワロン」長繊維のリサイクル技術を開発し、長繊維からリサイクル挑戦位を再生するパイロット生産に成功したと発表した。
テイジン・アラミドはこれまで20年以上にわたり、超繊維状のトワロンを使用したロープやケーブル、タイヤなどの使用済み最終製品を回収し、パルプ状にリサイクルして、自動車のブレーキパッドやガスケットなどの用途に向けて再利用する事業を展開している。また、近年はバイオ由来原料を使用したトワロン生産技術を開発。2021年にはトワロンのライフサイクルにおけるCO2排出量を2020年比で約30%削減している。
今回こうした環境に配慮した取り組みを一層強化する中でリサイクル技術を開発し、そのパイロット生産に成功したもの。

ニプロ 東洋紡と共同でCTAダイアライザの一貫生産工場を新設

ニプロ(本社:大阪市北区)と東洋紡(本社:大阪市北区)は11月5日、共同でニプロの大館第7工場内に、CTA製(セルローストリアセテート)ダイアライザ(人工腎臓)の一貫生産工場を新設すると発表した。世界で需要増が見込まれるダイアライザの増産に対応するため、2024年7月の稼働開始を目指し、生産体制の強化を図る。
ダイアライザは、腎臓の機能低下により慢性腎不全となった患者が、人工透析により血液をろ過し、毒素を取り除くために利用する医療機器。
今回両社が共同で新設する工場では、前工程で東洋紡が原料から製造した中空糸をそのまま後工程でニプロがダイアライザにまで加工、製品化する。両社の生産工程がスムーズに連携する一貫生産体制を構築することで、生産効率の飛躍的な向上が可能という。

商船三井 環境配慮のメタノール燃料船「Capilano Sun」竣工

商船三井(本社:東京都港区)は11月5日、環境負荷の低いメタノールと重油の2元燃料に対応可能なメタノール専用船「Capilano Sun」(キャピラノサン)が4日、現代尾浦造船(本社:韓国・蔚山市)で竣工したと発表した。同船は久福汽船(本社:広島県尾道市)から用船し、商船三井からWaterfront Shippinng Company limited(本社:カナダ・バンクーバー)向けに長期賃船される。
メタノール2元燃料船は、従来の舶用燃料を燃焼した場合に比べ、メタノール燃焼時の硫黄酸化物(SOx)排出量を最大99%、粒子状物質(PM)排出量を最大95%、窒素酸化物(NOx)排出量を80%、二酸化炭素(CO2)排出量を最大15%削減できる。同船は、メタノール燃料に水を混ぜて燃焼温度を調整する新技術を採用し、NOx3次規制をスクラバーなしでも満たすことができる最新型の低エミッション船。

10月トヨタ「ヤリス」4カ月首位,軽スズキ6年10カ月ぶり首位

日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)のまとめによると、10月の車名別新車販売だ数は1位がトヨタ自動車の小型車「ヤリス」で前年同月比43%減の1万596台だった。普通車(登録車、排気量660cc超)と軽自動車の中で最も多かった。4カ月連続の首位だった。軽自動車ではスズキの軽自動車「ワゴンR」が1位で、同79.7%増の8,808台だった。ワゴンRが首位になるのは6年10カ月ぶり。全体では2位。3位は日産自動車の軽「ルークス」で同23%増の8,696台だった。
ただ、販売上位10車種中6車種が前年を割り込み、部品の供給不足という生産制約があることで、販売は全体的に低迷している。
10月の国内新車販売台数は同31%減の27万9,341台だった。10月としては統計が始まった1968年以来、過去最低だった。

青山商事 スマホで自在操作 衣服内を温めるスーツを発売

青山商事(本社:広島県福山市)は11月4日、wearable社とのタイアップ商品として、ヒートモジュール対応のビジネススーツを企画し、同日から「洋服の青山」の主要店舗と公式オンラインストアで販売すると発表した。
このスーツはジャケット裏地の専用ポケットにwearable社が提供するヒートモジュールを挿入し、コードをもモバイルバッテリー(5V/2.1A以上)に接続。スマートフォンを使って温度調節するもの。
温度は37度から53度まで1度単位で自在に調節できる。最高温度53度の状態で歳代5時間の継続使用が可能。スーツは自宅の洗濯機で丸洗いできることに加えて、シワになりにくく撥水加工も施され実用性を備えている。素材はポリエステル100%。販売価格は本体2万9,000円(税込み3万1,900円)。

日揮HD 廃プラスチック油化によるケミカルリサイクル推進

日揮ホールディングス(本社:横浜市西区)は11月4日、旧札幌プラスチックリサイクルによって商用運転が行われた実績のある廃プラスチックの油化プロセスに関する技術を活用した、ケミカルリサイクルに関する自社ライセンスの開発を開始したと発表した。
旧札幌プラスチックで適用されていた油化プロセス技術は、他の油化プロセス技術では事前除去する必要がある塩化ビニル(PVC)を同時に処理することが可能であり、また残渣を適切に排出することで安全かつ安定的に連続運転が可能という技術的な優位性がある。
昨今、廃プラスチックのリサイクルは世界的な課題となっており、有効な資源循環システムの確立が急務となっている。

三洋化成「全樹脂電池」福井工場の本格稼働は遅れ22年に

三洋化成工業のの樋口章憲社長は11月5日、次世代リチウムイオン電池「全樹脂電池」の福井工場の稼働が遅れており、2022年の早いタイミングでの本格稼働を目指すことを明らかにした。当初は2021年10月の本格稼働を予定していた。全樹脂電池は三洋化成の関連会社APB(本社:東京都千代田区)が開発する。

商船三井 アンモニア燃料の大型アンモニア輸送船開発に着手

商船三井(本社:東京都港区)は11月4日、名村造船所(本社:大阪市)および三菱造船(本社:横浜市)と、アンモニアを燃料として航行する大型のアンモニア輸送船を共同開発することで合意したと発表した。
アンモニアは、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代のクリーンエネルギーとして石炭火力発電所における混焼利用や、水素キャリアとしての活用などを中心に、今後大規模な需要が見込まれている。2021年9月に発表された日本政府指針「第6次エネルギー計画案」でもアンモニアはカーボンニュートラル実現に向けた有力な選択肢として位置付けられており、2030年時点で300万トン、2050年時点では3,000万トンの国内での年間需要が想定されている。
商船三井は2020年代中のネットゼロ・エミッション外航船の運航開始、および2050年までのネットゼロ・エミッション達成に向け、アンモニア船舶用燃料への転換も進めていく。

ニプロ 中国3省に新たに営業拠点開設 販売網拡充

医療機器大手のニプロ(本社:大阪市北区)は11月4日、中国3カ所に、連結子会社、尼普洛貿易(上海)有限公司の医療機器の販売を担う営業拠点を開設したと発表した。場所は広西省南寧市、山西省太原市、山東省済南市で、3カ所ともにすでに営業を始めている。ニプログループの海外拠点は今回の3カ所を加えると、58カ国218拠点となる。

エーザイ DGと共同で認知症に関わるスタートアップと協業

エーザイ(本社:東京都文京区)は11月4日、認知症に関わる課題解決への貢献を目的として、デジタルガレージ(本社:東京都渋谷区、以下、DG)と共同で実施する協業育成プログラムを始動し、同プログラムに参加するスタートアップの募集を開始したと発表した。これにより、認知症に関連する様々な分野における課題について、テクノロジーとサイエンスによって解決し、Dementia Inclusive Society(認知症と共生する社会)の実現を目指す。
同プログラムではスタートアップが有する技術やサービスと、エーザイ、DGが有するリソースを掛け合わせ、協業の検討や実証実験を通じ共同事業化や業務提携、出資等を目指す「オープンイノベーションプログラム」と、設立間もないスタートアップには「アクセラレータープログラム」を実施する。

タカラバイオ コロナのレプリコンワクチン原薬製造の契約

タカラバイオ(本社:滋賀県草津市)は11月4日、VLP Therapeutics Japan(本社:東京都千代田区、以下。セラピューティクス・ジャパン)が国内6機関と共同研究開発中の新型コロナウイルス感染症に対するレプリコン(次世代mRNA)ワクチン原薬の製造委受託に関する基本契約を、同社と締結したと発表した。
レプリコンワクチンは、少量の接種で十分な抗体がつくられる、自己増殖型のmRNAワクチン。

トヨタ9月中間最高益1.5兆円 減産打撃も円安の追い風で

トヨタ自動車は11月4日、2021年9月中間連結決算を発表した。純利益が前年同期比約2.4倍の1兆5,244億円で、中間期として2年ぶりに過去最高を更新した。9月に新型コロナウイルス拡大による部品調達難や半導体不足で減産になることを発表したが、ドル・ユーロに対する円安により、想定以上の増益となった。ただ、同社では「実質的には下方修正」としている。

京セラ ベトナム工場に半導体パッケージ増産へ新棟建設

京セラ(本社:京都市伏見区)は11月1日、ベトナム工場に半導体パッケージを生産する新棟を建設する計画を明らかにした。同社では半導体を保護するパッケージ部品や半導体製造装置に使われるセラミック部品などの受注が旺盛で、増産体制を整えて需要の取り込みを図る。投資額は100億円規模とみられる。

SBI マレーシアのVenture TECHと共同ベンチャーファンド設立

SBIホールディングス(本社:東京都港区)は11月2日、マレーシアの投資事業子会社SBI Ventures Malaysia Sdn.Bhd.(本社:クアラルンプール)が、マレーシアの政府系投資機関Venture TECHとの間でアーリーからミドルステージまでの技術系未上場企業を投資対象とする共同ベンチャーファンド(正式名称:VENTURETECH SBI CAPITAL LP)を設立したと発表した。
このファンドは、IoTアプリケーション等のデジタル化によって農業等の伝統産業を根本的に変えていくことが期待される、「Industry 4.0」関連の革新的なテクノロジーを保有する、マレーシア地域の有望なスタートアップを投資対象とするベンチャーキャピタルファンド。

ラオックスG 中国山東省済南市で保税倉庫を運営開始

ラオックス(本社:東京都港区)は11月2日、グループのギフト物流大手ラオックス・ロジスティクス(本社:栃木市m、以下、LL)が、中国山東省済南市で保税倉庫の運営を開始したと発表した。ラオックスグループとして、保税倉庫の運営は今回が初めてとなる。
中国の年間最大ネット通販セールデー「独身の日」(11月11日)に備え、2021年10月30日よりグループ向けに物流事業を開始し、今後日本国内外の企業向けに保税倉庫の手配や各種通関業務サービスを提供していく。これにより、日本をはじめとしてその他ASEAN等の海外から中国大陸における一般貿易および越境ECの物流網をシームレスに構築し、日本企業の中国進出や中国全土への展開を支援する。

JR西日本 中間686億円の最終赤字 利用客回復遅れで 2期連続

JR西日本(本社:大阪市北区)の2021年4~9月期の中間決算は、売上高が前年同期比8.6%増の4,368億円となったが、最終的な損益は686億円の赤字となった。中間決算が赤字となるのは2期連続。緊急事態宣言の影響で旅行や出張の自粛、在宅勤務の奨励などにより、新幹線や在来線で通勤客をはじめ利用客の回復が遅れていることが最大の要因。ただ、賞与や広告宣伝費の見直しなどを進めた結果、赤字幅は前年同期比で縮小した。

米ファイザー ワクチン売上高4兆円超に 通期業績上方修正

米国製薬大手ファイザーは11月2日、ドイツのビオンテックと共同開発した新型コロナウイルスワクチンの2021年12月期通期の売上高が、360億ドル(約4兆1,000億円)になるとの見通しを発表した。7月時点の従来予想(335億ドル)から引き上げ、21年通期の業績予想も上方修正した。ワクチン接種が早く進められた一部の国々ですでに始まっている追加接種(ブースター接種)や子どもへの接種に向けて、世界で需要が拡大したことがこの要因。
ファイザー製ワクチンは、2020年12月に米食品医薬品局(FDA)などが緊急使用を承認してから、2021年10月末までに152カ国・地域に20億回分が供給されている。各国・地域などと供給契約を結ぶ23億回分が、2021年末までに供給されるとして見通しを引き上げた。生産量は2021年に30億回分、2022年に40億回分を見込む。

ENEOS,千代田化工 CO2フリー水素供給網の拡大実証に成功

ENEOSと千代田化工は11月2日、オーストラリアのクイーンズランド工科大学(以下、QUT)とともに2018年から進めていたCO2フリー水素の製造、輸送、脱水素に関する技術検証で、世界で初めて実際に使用できるレベルまで規模を拡大し、燃料電池自動車(FCV)へ充填することに成功したと発表した。
水素を貯蔵・運搬する際には、水電解によって生成した水素をタンクに一度貯蔵し、その次に有機ハイドライドの一種、メチルシクロヘキサン(MCH)に変換する必要がある。今回の技術実証では、その工程を大幅に簡略化し、水とトルエンから一段階の反応でMCHを製造する、ENEOSが開発した「有機ハイドライド電解合成法」を採用している。2019年3月に実験室レベルで成功していたが、実際に使用できるレベル(約6kg)にまで規模を拡大し、成功した。
2022年度には大型電解槽のベースとなる150KW(電極面積3㎡)級の中型電解槽を完成させ、2025年度をめどに5MW級の大型電解槽の開発を目指している。将来的には2030年度をめどに、CO2フリー水素サプライチェーンの構築に向け、技術開発を進めている。