産業革新投資機構 JSRを買収へ 非上場化で大胆な事業再編促す

政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)は半導体材料、フォトレジスト(感光材)で世界シェア首位のJSRを約1兆円で買収する。JSRは現在、東証プライム市場に上場している。海外を含めた競争当局の審査を経て、JICは年内に同社へのTOB(株式公開買い付け)を実施する。手続きが順調に進めば、2024年中に上場廃止となる見込み。
日本政府は半導体を戦略物資と定め、国内で戦隊品の量産に巨額の支援を始めており、国際競争力が強い分野でも成長投資を継続できる環境を整え、半導体の一連のサプライチェーン(供給網)を強くするとともに、非上場化で大胆な事業再編をしやすくする。

関空の5月国際線旅客数 前年の20倍の123万人余 19年の57%水準

関西国際空港を運営する関西エアポートが6月23日発表した5月の国際線旅客数は、前年同月比20倍の123万3,632人だった。新型コロナウイルス禍前の2019年5月の57%の水準まで回復した。このうち外国人は24倍の98万9,324人、日本人は11倍の23万5,030人だった。コロナ禍前のそれぞれ7割、4割の水準。

関空の5月国際線旅客数 前年の20倍の123万人余 19年の57%水準

関西国際空港を運営する関西エアポートが6月23日発表した5月の国際線旅客数は、前年同月比20倍の123万3,632人だった。新型コロナウイルス禍前の2019年5月の57%の水準まで回復した。このうち外国人は24倍の98万9,324人、日本人は11倍の23万5,030人だった。コロナ禍前のそれぞれ7割、4割の水準。

ソニーG 熊本県合志市に画像センサー新工場, 年内に用地取得完了

ソニーグループの半導体事業会社、ソニーセミコンダクタソリューションズは6月23日、オンライン会見で清水照士社長が、熊本県合志市に新工場を建設する方針を表明した。現在新工場の用地取得を進めており年内にも手続きが完了する見通し。画像センサー工場を想定しているという。

大阪メトロ 万博向け新型車両の出発式 6/25から営業運行

大阪メトロは6月24日、中央線森ノ宮駅駅(所在地:大阪市中央区)で、2025年大阪・関西万博に向けて導入する新型車両400系の出発式および試乗会を開いた。25日から営業運行する。新型車両は宇宙船を意識させるデザインで、車体前面を鉄道車両では珍しい八角形とし、前照灯を四隅に配置している。同日はおよそ30人が一足早く乗り心地を確かめていた。
中央線は万博会場の人工島・夢洲(ゆめしま)まで延伸する予定で、開幕までに23編成を導入して来場者の輸送を担う。夢洲駅(仮称)が完成する2024年度には大阪港ー夢洲間で、添乗員を乗せた「レベル2.5」相当の自動運転の実証実験を実施する予定。

物流の24年問題「”送料無料”表示をやめて」業界が強く要望

消費者庁は6月23日、「物流の2024年問題」に対応する政策パッケージに盛り込まれた”送料無料”表示の見直しに関し、実態把握のための意見交換会を開いた。第1回として現場当事者の全日本トラック協会から馬渡雅敏副会長が出席し、「”送料無料”の表示はやめていただきたい。送料は運送の対価としていただいているもので、決して無料ではない。消費者に誤った認識を与えるもとになってている」と指摘。「送料無料と表示されていることで、業界の地位が著しく低下し、(就労先として敬遠され)人手不足にもつながっている」などと、見直しの必要性を強調した。

パナソニック 国内向けエアコン生産拠点を滋賀・草津に集約

パナソニックは日本国内向けの省エネ性能が高いエアコンの生産拠点を、2023年度から2024年にかけて滋賀県草津工場に集約する方針を明らかにした。現在、当該機種は中国広東省の広州工場と滋賀県の草津工場で生産しているが、広州工場生産分を移管する。日本国内での上位機種へのニーズの高まりや、地政学的なリスクを考慮した。
今回の措置で商品の保管コストの削減や納品までの時間をおよそ4分の1に短縮できると見込んでいる。生産集約化により、草津工場では雇用を2割増やすとともに、生産ラインの自動化も進める方針。

紀伊國屋書店など3社が新会社設立へ 仕入れ・流通を共同で

紀伊國屋書店、蔦屋書店などを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ、日本出版販売の3社は6月23日、仕入れや流通を共同で行う新会社の設立に向けて協議を進めることで合意したと発表した。3社が持つ販売データを共有化し、AI(人工知能)を使った需要の予測に基づく発注システムを共同運営することで本の返品率を減らし、流通の効率化を進める方針。顧客向けアプリの開発など書店横断型の新たなサービスも検討する。新会社は今年秋の設立を目指す。

凸版印刷など3社 包装材料のマテリアルリサイクルで実証開始

凸版印刷(本社:東京都文京区)、三菱ケミカルグループ(本社:東京都千代田区)、共栄社化学(本社:大阪市中央区)の3社は6月22日、包装材料の製造工場から排出される廃プラスチックを水平リサイクルすることを目的とする、マテリアルリサイクル生産プロセスを共同開発する契約を3月15日に締結。6月より、生産実証プロセスの原理検証機の導入を含む、マテリアルリサイクルの生産プロセスの実証試験を開始する。
今回開発する技術は、プラスチック複合素材の包装材料を剥離・脱墨・分離し、素材別の樹脂として取り出すことが可能だ。取り出された各々の樹脂は品質劣化が少なく、洗剤やシャンプーなどのトイレタリー製品や食品の包装材に使用するフィルムの原料としての利用を検討している。3社は2027年度の社会実装を目指す。

シスメックス 微量の血液から脳内Aβの蓄積状態を測定する検査試薬

シスメックス(本社:神戸市)は6月22日、微量の血液からアルツハイマー病の原因となる脳内アミロイドベータ(Aβ)を測定する検査試薬を、6月から日本で発売すると発表した。この試薬は血液中のAβペプチドの比率を測定することで、アルツハイマー病の特徴の一つである脳内Aβの蓄積状態の把握を補助するもの。
日本における認知症患者数は、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人に相当する、675万〜730万人に達すると推計され、大きな社会課題となっている。

サイバーダイン PMDAにHAL小型モデルを製造販売承認申請

ロボットスーツ「HAL(ハル)(R)」を製造販売するサイバーダイン(本社:茨城県つくば市)は6月21日、既存の医療品、HAL下肢タイプを使えない小柄な患者向けに開発した小型モデルについて、PMDA(医薬品医療機器総合機構)に製造販売承認申請を提出したと発表した。小型モデルは対象とする体重が15〜50kg、身長が100〜150cm。適用疾患は既存モデルですでに承認を受けている脊髄性筋萎縮症といった神経筋難病(8疾患)と脊髄疾患(2疾患)。今回の小型モデルは欧州、米国、アジアなどの諸外国でも医療機器申請を順次進めていく。

大王製紙 東北大・東大などとCNF半導体材料開発を開始

大王製紙(本社:東京都千代田区)は6月21日、セルロースナノファイバー(以下、CNF)の新たな用途開発として東北大学、東京大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)と共同で、半導体材料開発を開始すると発表した。この開発テーマは、このほど国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」に採択され、今年度より4社で共同研究を行う計画。
植物由来のCNFが半導体特性を示すことはすでに東北大学の研究で見出されており、東北大(橋田特任教授グループ)、東大(磯貝特別教授グループ)、産総研(セルロース材料グループ、化合物半導体デバイスグループ)の4グループと共同で研究開発を進めていく。

SkyDrive 仏タレス社とフライトコントロールSのサプライヤー契約

空飛ぶクルマ(以下、eVTOL)および物流ドローンの開発を手掛けるSkyDrive(本社:愛知県豊田市)は6月22日、航空業界のグローバルトップリーダー、Thales(本社:フランス・パリ、以下、タレス社)とフライトコントロールシステムのサプライヤー契約を締結したと発表した。フライトコントロールシステムは、空飛ぶクルマで最も重要な要素の一つであり、パイロットの操縦装置からの入力を受け取り、機体の姿勢や速度を制御する機能を持ち、高い安定性・信頼性を担保する。これにより、同社はタレス社のeVTOLの「FlytRise」を、現在開発中の「SKYDRIVE」(SkyDrive式SD-O5型式)に搭載する。

5月の世界粗鋼生産5.1%減 景気回復遅れの中国7.3%減響く

世界鉄鋼協会のまとめによると、5月の世界粗鋼生産(速報値、対象は63カ国・地域)は、前年同月比5.1%減の1億6,160万トンだった。前年同月を下回るのは2カ月連続。最大生産国の中国が、景気の回復遅れにより鋼材需要が落ち込み、前年同月比7.3%減の9,010万トンにとどまったことが響いた。日本は5.2%減の760万トン、米国は2.3%減の690万トンだった。こうした一方で、需要が堅調なインドは4.1%増の1,120万トンだった。

日本とオランダ 半導体分野で産業界・研究機関の協力促進で覚書

経済産業省とオランダ経済・気候政策省は6月21日、都内で半導体分野で協力促進に向けた覚書(MOC)を交わした。覚書の要点は①半導体およびフォトニクス等の関連分野における政府・産業界・研究機関の協力を促進する②政策や国際連携の状況について情報共有する③その他の関連分野の二国間プログラムの可能性を模索する④ラピダスの研究開発プロジェクトの重要性について共有する。

出光興産 次世代営農型太陽光発電 実証事業 営農・発電の両立追求

出光興産(本社:東京都千代田区)は6月21日、千葉県木更津市の圃場(水田)で、2023年6月に農業と再生可能エネルギー発電を両立する次世代営農型太陽光発電の実証を開始したと発表した。実証機関は2025年9月まで。発電出力は45KW。
この実証には太陽光を自動追尾して可動する架台と両面受光型の太陽光パネル(両面モジュール)を導入。太陽の動きに合わせて自動的に両面モジュールの向きを調整することにより、農作期にはパネル下で栽培する農作物への太陽光照射を優先する。これにより従来の営農型発電に比べ、「営農」と「発電」の両立を一層追求した事業モデル構築を目指す。

荏原 日大と培養肉製造で共同研究開始 細胞農業の普及目指す

荏原製作所(本社:東京都大田区)は6月21日、脱分化脂肪細胞(DFAT)の開発者、日本大学生物資源科学部の加野浩一郎教授と、培養肉製造を目的とした共同研究を開始したと発表した。
DFATは食肉加工の過程で廃棄される脂肪組織から大量かつ安定的に製造でき、筋細胞および脂肪細胞に分化可能で、高い増殖能力と、骨、軟骨、血管、筋および神経細胞などへ分化転換する多能性細胞。培養肉はじめ細胞農業の様々な用途で安定的な細胞ソースとしての活用が期待される。
荏原は、DFAT大量製造装置と大量培養装置の開発により細胞生産技術の合理化を実現し、細胞農業が広く社会に普及することを目指す。

パナソニックエナジー マツダとEV電池供給で連携協議開始

パナソニックホールディングス傘下のパナソニックエナジー(所在地:大阪府守口市)とマツダ(本社:広島県安芸郡府中町)は6月21日、車載用円筒形リチウムイオン電池の供給に関する中長期的パートナーシップ構築に向けて競技を開始したと発表した。パナソニックエナジーは日本と北米の工場で製造したリチウムイオン電池をマツダに供給し、マツダはパナソニックエナジーから調達した電池を2020年代後半に導入予定のバッテリーEV(電気自動車)に搭載する方針。

大阪メトロ 万博投資に1,000億円 機運醸成へサテライト整備も

大阪メトロ(大阪市高速電気軌道)は6月21日、2025年大阪・関西万博に向け、従来の計画より200億円上積みし、1,000億円を投じることを明らかにした。万博会場の夢洲(ゆめしま)への延伸を予定する中央線の全駅に可動式ホーム柵を設置し、全駅の改札にクレジットカード「Visa(ビザ)」のタッチ決済も導入する。また、城東区・森之宮検車場跡地の約2haの遊休地に2024年から万博の機運醸成のためのサテライト会場を整備する。

ワインの天然醸造にブドウ皮の常在菌が大きな役割 大学研究G

奈良先端科学技術大学院大学と京都大学の研究グループは6月20日、ワインを天然醸造する際にブドウの皮にいる常在菌が大きな役割を果たしているとする研究成果を発表した。グループは酵母による発酵の条件を調べようと、ブドウの皮の表面にいる常在菌に着目。この常在菌と酵母をブドウの表面につけて発酵させる実験を行った。その結果、菌を加えた場合は、酵母だけの場合に比べて発酵する速度が大幅に速まったという。ワインができるメカニズムの解明につながる成果として注目される。