全銀ネット障害 140万件超に影響 完全復旧めど立たず

全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は10月10日、銀行間送金システムで同日発生した障害で少なくとも140万件の送金に遅延などの影響が出たことを明らかにした。各金融機関と同システムを結ぶコンピューターの更新作業に伴う不具合が原因で、完全復旧のめどは立っていない。

中国不動産・碧桂園 海外債務「支払い義務不履行の可能性」公表

不動産不況が伝えられる中国の、資金繰り懸念を抱える不動産大手、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)は10月10日、「海外債務の支払い義務を履行できない可能性がある」と公表した。香港取引所を通じて開示したほか、一部の香港ドル建て債務の返済ができていないことも明らかにした。

阪急バス 運転手不足で大阪・兵庫の4路線 11/5で廃止へ

阪急バスは10月10日、大阪府・兵庫県を走る4つの路線について、運転手不足を理由に11月5日で廃止することを明らかにした。阪急バスが廃止するのは①宝塚駅と大阪国際空港を結ぶ空港宝塚線②阪急園田駅と梅田を結ぶ阪北線の梅田系統③三宮駅前と有馬温泉を結ぶ三宮有馬線④阪急石橋北口や阪急豊中駅と西宮北口を結ぶ豊中西宮線ーの4路線。路線廃止により、これら路線の33の停留所も廃止される。
路線廃止の主な要因は、運転手不足、採算が取れていないほか、鉄道や他社の路線バスなど代わりとなる移動手段があることを考慮し決断したとしている。
なお、廃止される路線の定期券や回数券を持っている場合は11月6日以降、窓口で払い戻しを受け付けるとしている。

政府 トラックから「船・鉄道」へ10年で輸送量2倍に 24年問題で

政府はトラック運転手の人手不足が懸念される「2024年問題」への対応として、現在のトラック中心の輸送手段を変えていく「モーダルシフト」を進める方針だ。緊急対応として、今後10年程度で船舶の輸送量を5,000万トンから1億トンへ、鉄道は1,800万トンから3,600万トンへそれぞれ倍増させる目標を掲げた。
ただ、この目標に向け推進する課題も多い。①労働時間が減少するトラック運転手の賃金是正②フェリや鉄道(貨物列車)が荷物を受け入れ能力・余力が十分ではないーなどの問題があるからだ。

パソコン世界出荷7〜9月は7.6%減 7四半期連続減

米調査会社IDCのまとめによると、2023年7〜9月の世界パソコン出荷台数(速報値)は、前年同期比7.6%減の6,820万台だった。企業向け、消費者向けいずれも需要が低迷し、7四半期連続の現象となった。ただ、減少率は1ケタ台に縮小した。こうした中、米アップルは前年同期に供給が回復していたため、反動減で23.1%減となったのが目立った。

JERA ベトナム電力公社と脱炭素ロードマップ策定で協業の覚書

JERAは10月6日、ベトナム電力公社(所在地:ハノイ、以下、EVN)との間で、同社の脱炭素ロードマップの策定に向けて協業することを定めた覚書を締結したと発表した。この覚書は、同国の電力セクターの脱炭素に向けた情報共有および協議を進めることを定めたもの。今後両社は火力発電分野をはじめとするEVNの事業全体の脱炭素化に向けたロードマップの作成や、同社の火力発電所へのアンモニア・水素導入に向けた検討を進めていく。
EVNは、傘下企業と合わせてベトナムの発電容量の約4割を保有する、同国最大の発電事業者。

パワーエックス Audi八王子に超急速充電器「Hypercharger」納入

大型蓄電池の製造・販売を手掛けるパワーエックス(本社:東京都港区)は10月6日、アウディジャパン(所在地:東京都品川区)が販売代理店契約しているビジョナリング(所在地:東京都立川市)が運営するAudi八王子に蓄電池型超急速EV充電器「Hypercharger」を納入したと発表した。
同充電器は2つのポートを持ち最大で2台のEVの同時急速充電が可能。1台充電時の最大出力は150KW、2台同時充電の場合は1台当たり最大120KW、合計240KWの高出力で車両を充電する。店舗屋上に設置した太陽光パネルから発電した電気も使用する。両社は今後、同充電器の導入を本格化し、2023年末までに19基、2024年前半までに30基の設置を目指す。

札幌市とPPIH アジア店舗で「北海道産ホタテフェア」開催で合意

札幌市とパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(本社:東京都目黒区、以下、PPIH)は10月6日、海外における北海道産ホタテの消費拡大のため、PPIHグループのアジア店舗で、「北海道産ホタテフェア」を開催することで合意したと発表した。同フェアは11〜12月、シンガポール、タイ、香港、台湾、マレーシアなどのジャパンブランド専門店「DON DON DONKI」38店舗、寿司店「鮮選寿司」10店舗などで開催する。

マツキヨココカラ ベトナム・ハノイに初出店 店舗網拡大へ

ドラッグストアチェーン大手、マツキヨココカラ&カンパニーは9月29日、ベトナムの首都ハノイにドラッグストア店「マツモトキヨシ」を初出店した。ハノイ1号店はハイバーチュン区の商業施設「ビンコム・メガモール・タイムズ・シティ」内。店舗面積は170㎡で、日本のマツキヨの平均的な店舗よりは小さい。化粧品や健康食品を中心に扱う。
同社はハノイに先行して2020年10月、同国の消費の中心地、南部のホーチミン市にベトナム1号店を開設。これまでに6店舗を出店している。今回の出店を機に、今後はハノイにも店舗網を広げる。

サイバーダイン 新たに脊髄2疾患が「HAL」の保険対象に

装着型ロボット開発を手掛けるサイバーダイン(本社:茨城県つくば市)は10月5日、主力製品のHAL医療用下肢タイプ(以下、医療用HAL)について、2023年10月1日付で厚生労働省より新たに脊髄2疾患が保険対象になったと発表した。今回対象となったのは、HTLV-1関連脊髄症(HAM)と遺伝性痙性(けいせい)対麻痺の2疾患。これにより医療機関は医療用HALを導入しやすくなる。

出光とペトロナス 持続可能な航空燃料の供給網構築で連携

出光興産(本社:東京都千代田区)は10月5日、マレーシア国営石油ペトロナスと持続可能な航空燃料(SAF=Sustainable Aviation Fuel)のサプライチェーン(供給網)構築に向けて連携すると発表した。バイオ原料の調達や生産コスト分析などで協力する。SAFは廃食油を原料とするものが主流だが、需要の増大に加え廃食油の価格が上昇し、確保が難しくなっている。

積水化学 ペロブスカイト太陽電池をビル外装に実装 国内初

積水化学は10月5日、大阪本社(所在地:大阪市北区)が入居する堂島関電ビルに国内で初めてフィルム型ペロブスカイト太陽電池を実装したと発表した。入居するビルは現在、大規模リニューアル工事を実施中で、当該工事に合わせてペロブスカイト太陽電池を壁面に設置することで、ビルの環境負荷低減に加え、ペロブスカイト太陽電池による発電量のモニタリングや経年変化など長期的な品質評価に活用する。

ENEOS CN燃料の普及促進へHIF Globalと合成燃料の協業で覚書

ENEOS(本社:東京都千代田区)は10月4日、合成燃料を製造する世界大手のグローバル企業、HIF Globalと合成燃料の協業に関する覚書を締結したと発表した。両社は今後、日本におけるカーボンニュートラル(CN)燃料の普及促進を共同検討する。
HIFはチリとペルーの企業AMEが設立し、ドイツのポルシェAGの支援で合成燃料開発、グローバル展開することを目指している。同社が開発する合成燃料は、再エネ電力から製造するグリーン水素とカーボンリサイクルされたCO2を原料とする「グリーン合成燃料」で、既存の内燃機関自動車や航空機のエンジン燃料としてそのまま利用できる。

日機装 水素航空機向け液化水素ポンプの実液試験に成功 世界初

日機装(本社:東京都渋谷区)は10月4日、水素航空機向け液化水素ポンプの実液試験に成功したと発表した。モータ一体型ポンプが液化水素(−253℃)により満たされた極低温の状態(浸漬状態)で、小型電動モータによる高速回転を実現し、液化水素を送り出すことに成功したのは世界初という。
日機装は、水素航空機の研究開発を進める川崎重工業(本社・神戸市)から、液化水素ポンプ開発の委託を受けており、2025年度に納入することを目指している。

英スナク首相 主要都市結ぶ高速鉄道計画縮小を発表 費用高騰で

英国のスナク首相は10月4日、マンチェスターで開かれた保守党大会で、2009年に発表された英国の主要都市を最高時速360kmで結ぶ高速鉄道「HS2」計画について、「HS2は時代遅れの合意の、究極の例だ」と述べ、費用の高騰を理由に縮小することを発表した。これにより、計画されていた第2期の着工はせず、代わりに地方の交通網の整備を進める方針を明らかにした。
同計画では首都ロンドンから中部バーミンガムに向かう第1期が建設中で、車両の製造や保守を日立製作所のグループ会社などが受注している。第2期ではさらに北部のマンチェスターなどを結ぶ予定だった。インフレの影響もあり、建設費用がかさみ続け総額1,000億ポンド、日本円換算で18兆円を超えるとも試算されていた。

EU 中国製EVの調査開始 国の補助金で市場競争歪めている

欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会は10月4日、中国製の電気自動車(EV)を巡り、同国の補助金が欧州市場における競争を不当に阻害し、歪めていないか、正式に調査を開始したと発表した。フォンデアライエン欧州委員兆が9月、調査する方針を表明していた。調査の結果、問題が認められれば制裁関税も検討する。

米モデルナ コロナとインフル混合ワクチン 初期・中間治験

米国モデルナは10月4日、同社が開発を進める新型コロナウイルスとインフルエンザの混合ワクチンの初期・中間臨床試験(治験)で、安全性と効果が確認できたとする中間報告を発表した。年内にも最終段階の治験を始め、2025年の承認取得を目指す。この治験は50歳以上が対象。メッセンジャーRNA(mRNA)と、英国のグラクソ・スミスクライン社製のインフルエンザワクチンを接種し、免疫反応を調べた。
mRNA技術を使った混合ワクチンは米国ファイザーとドイツのビオンテックも開発を手掛けている。

ペロブスカイト太陽電池 事業化へ技術連携コンソーシアム発足

桐蔭横浜大学発スタートアップのペクセル・テクノロジーズ(所在地:川崎市)と麗光(所在地:京都市、マクニカ、MORESCOの4社は10月4日、次世代型太陽電池「ペロブスカイト太陽電池(PSC)」の国内生産に向けて技術連携コンソーシアムを発足したと発表した。2024年春をめどに試作品を開発し、今後3年以内にPSCの事業化を目指す。同コンソーシアムには三菱ケミカルが技術協力する。
PSCは、国内では積水化学工業、東芝、パナソニックなども実用化を目指しており、政府も量産化を支援する方針を掲げている。

ユーグレナ ブルーインパルスに国産SAF「サステオ」を初給油

ユーグレナ(本社:東京都港区)は10月2日、同社が製造・販売する国産SAF(Sustainable Aviation Fuel)「サステオ」を航空自衛隊松島基地の第4航空団に所属する第11飛行隊、通称”ブルーインパルス”のT-4中等練習機に給油し、F1日本グランプリ決勝戦での展示飛行に使用されたと発表した。ブルーインパルスにSAFが使用されるのは初めての試み。
サステオは原料に、使用済みの食用油と微細藻類ユーグレナから抽出されたユーグレナ油脂等を使用して製造した純バイオジェット燃料を、従来の石油系ジェット燃料と混合して製造した環境負荷の低い燃料。

中国電力 ベトナムの再生可能エネ発電事業4社に各35%参画

中国電力(本社:広島市中区)は10月2日、ベトナムの再生可能エネルギー発電事業へ初めて出資参画することで9月29日、BB Power Holdings Joint Stock Company(本社:ベトナム・ハノイ市、以下、BB PH)等の既存株主との間で、太陽光発電事業会社3社および水力発電事業会社1社にそれぞれ35%出資する契約を締結したと発表した。太陽光の発電規模は各5万KW、水力発電の規模は4.5万KW(いずれも稼働中)。
なお同事業への出資参画は、同社の台湾における水力発電事業のパートナー会社、Foxlinkグループと合わせて実施する。