2025年3月3日

食糧安全保障からコメ減反・生産調整策の抜本的見直しを

コメの価格高騰が一向に収まらない。スーパーの平均店頭価格は前年から約9割も上昇したままだ。値上がりの背景には、一部業者による投機目的の買い占めや売り惜しみがあるとされる。流通の目詰まりがあるなら、政府による備蓄米の放出量の上積みをためらうべきではない。
今回、日本人の主食であったはずのコメの不足が表面化、なぜ”令和のコメ騒動”とでもいうべき事態になったのか。端的にかつ突き詰めていえば政府の減反政策、生産調整政策の失敗だ。これを抜本的に見直しを図るしかないのではないか。食糧安全保障面から考えると、零細小規模の農家を別にすれば、米作農家は国として守っていかなければならない。欧米先進国などと比較すると、日本の食料自給率は極端に低い。農業の機械化・自動化で従事者を守らなければ、農業は衰退する。さらなる耕作放棄地の増大は亡国を意味する。
政府はコメ価格の安定を図るため、2018年に長らく続いた減反政策を廃止して以降も、転作に補助金を出して生産を調整している。しかし今回、需要の急増に柔軟に対応できない問題もすでに明らかになっている。
コメ農政は本来、生産者が一定の利益を確保でき、消費者にも過度な負担とならないよう、価格の安定を図ることが大前提だ。この大原則に沿った農政に立ち返る農政の大転換が求められる。