2025年3月11日

24年”従業員退職型”倒産87件と3割増 過去最多を大幅更新

帝国データバンクのまとめによると、2024年に判明した人手不足倒産のうち、従業員や経営幹部などの退職が直接・間接的に起因した「従業員退職型」の人手不足倒産は87件に上った。前年から20件、約3割増加したほか、多くの産業で人手不足がピークに達した2019年の71件を大幅に上回り、集計可能な2013年以降で最多を更新した。従業員を自社につなぎとめることができず、経営破綻に追い込まれた。
業種別にみると、最も多いのが「サービス業」(31件)で全体の35.6%をしめた。全産業のうち、サービス業が最多となるのは2019年以来5年ぶり。特に多いのがソフトウェア開発などのIT産業ほか、人材派会社、美容室、老人福祉施設など。いずれも人材の定着率が他産業と比べて低い産業が中心。次いで多いのが「建設業」(18件)。設計者や施工監理者など業務遂行に不可欠な資格を持つ従業員の退職により事業運営が困難になった企業が目立った。また、「製造業」や「運輸・通信業」では従業員退職型倒産が初めて年間10件を超え、工場作業員やドライバーの退職で事業継続が困難になったケースが相次いだ。