2025年2月9日

財務省文書の非開示訴訟「上告せず」過半数割れの効用?

森友学園に関する財務省の決裁文書の改ざんを巡り、関連文書の非開示決定を取り消した大阪高等裁判所の判決に対し、石破政権が上告しないことを決めた。石破首相は「誠心誠意、職務に精励されていた方が亡くなられたことを考えれば、判決を真摯に受け入れるべきである」としている。明らかに自・公で(いや、自民党単独でも)過半数議席を保持していた長期にわたる時代とは、全く異なった見解と言わざるを得ない。これまでの自公政権なら、どこまでもはねつけていたであろう判決を受け入れたのだ。今後、法令に則り改ざんの実情を、国民に対して、丁寧な説明責任が果たされることを期待したい。
この問題、安倍晋三首相時代の案件だ。当時、不当あるいは違法性を指摘された安倍氏は、国会答弁の中で後ろめたいところは全くないという意味で(そういうことがあれば)「首相の”座”はもとより、国会議員も即刻辞めますよ」とまで言い切った。その発言の重さに、関連文書に改ざんがあっても、何がどうあろうとも、関係閣僚としては”忖度(そんたく)”せざるを得なかったーーということだろう。圧倒的に過半数議席を保持していた当時の”安倍1強”時代だっただけに、異を唱えることは無理だった。
だが、議席の過半数割れ政権としては国民・有権者の声や思いに耳を傾けたら、そして野党への対応を考え合わせれば、自ずとこの結論になったのではないか。