けが乗り越え新横綱・稀勢の里が逆転優勝 大相撲春場所
3月26日千秋楽を迎えた大相撲春場所は、今場所前から相撲人気を盛り上げた力士の一人、新横綱稀勢の里が最終盤で衆目を集める大盛り上がりを見せ、けがを乗り越え、13勝2敗で逆転優勝した。新横綱の優勝は貴乃花以来22年ぶり。
稀勢の里は初日から12連勝し、優勝争いのトップを走っていた。ところが、悪夢は13日目。日馬富士戦で敗れ、土俵下に落ちた際、左肩を痛めた。打ち所が悪く、休場もやむなしの診断だった。しかし、稀勢の里は左肩から腕にかけてテーピングして、14日目も強行出場。しかし、力なく鶴竜に成すすべなく寄り切られ2敗目を喫し、容体の悪さが浮き彫りになった。
そんな中、迎えた千秋楽だった。相手は序盤の1敗後、白星を積み重ねてきた大関照ノ富士。14日目の相撲を見た観客には、どう考えても照ノ富士の優位は動かないものと映っていた。
しかし、目の前で予想だにしていないことが起こった。本割で、土俵際に追い詰められた稀勢の里が回り込み、右からの突き落としに照ノ富士が横転。続く優勝決定戦でも、土俵際で捨て身の右からの小手投げで勝ったのだ。まさに右手1本にかけた捨て身の作戦だった。照ノ富士は、恐らくじっくり攻めていれば勝てただろう。勝ちを急いだ、いや急ぎすぎた。それが裏目に出た。