糖尿病の”引き金分子”をマウスの実験で発見 阪大チーム
大阪大の研究チームは4月6日、脂肪組織に慢性の炎症を引き起こし、糖尿病など生活習慣病の原因となる分子を、マウスの実験で発見したと発表した。この分子の働きを妨げると、太らせても糖尿病は軽度に抑えられたという。論文は7日、米科学アカデミー紀要電子版に掲載される。
研究チームは慢性炎症の「最初の引き金」を探るため、マウスに高脂肪、高カロリーの餌を与え続ける実験を行った。8週間後に体重が通常の2倍になり、糖尿病が発症したが、体重が増える前の1週間後から、免疫に関するS100A8というたんぱく質が脂肪組織内に多く出ていることが分かった。このたんぱく質は炎症に関わる免疫細胞を活発にする働きがあり、研究チームは慢性炎症の引き金とみている。高脂肪、高カロリーの餌を与えると同時に、S100A8の抗体を週2回注射すると、糖尿病の発症は軽く抑えられたという。